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小説家司馬遼太郎の「坂の上の雲」は読まれたことがありますか?
私は大の司馬遼太郎ファンです。
中国の司馬という人に遥かに及ばず・・・という意味から名乗られた名前が司馬遼太郎ですね。
それなら私は司馬遼遼遼遼遼遼∞遼遼遼太郎ですかね。
・・・・・・・くだらないことを言ってしまいました。
司馬先生の本はほとんど読みました。
もちろん東大阪にある司馬先生の実家(司馬遼太郎記念館)にも行きました。
そして、私が小さな会社をやっていた頃に、コンピュータの導入・サポートをしていた大阪の料亭「南地大和屋」には、司馬先生が頻繁に来られていました。
私は事務所で作業をしているときに、若女将から「今日は司馬先生が来たはるんちゃうかなあ」なんて教えていただいたこともあります。料亭という性質上、それ以上の事は申し上げられませんが、大好きな司馬先生と同じ屋根の下で仕事をしているのかと嬉しく思っていました。
それほど好きな司馬遼太郎でしたが、なぜか「坂の上の雲」だけは読みませんでした。
理由は二つありました。
一つは、この戦争以降の日本が嫌いだったことです。
そしてもう一つは・・・なんとなく読みにくかったのですが、あとでなんで読みにくかったのかが解りました。司馬遼太郎さんは、「坂の上の雲」を書いた後、「これは史記でもなく小説でもない。単なる書き物だ」と言われたことです。それを知った時に私はなんで読みにくかったのかがわかりました。
司馬遼太郎はノンフィクション作家ではありません。インタビューやルポタージュなどで現実を見せることによって読者に考えさせるという作家ではないです。
事実を書きながらフィクションの小説を書くというのは結構難しい気がします。その中で作家が考える小説のイメージを混ぜると、必ず事実と矛盾するところができてしまい、一体何を書いているのかわからなくなってしまうと思います。
単なる書き物と思うことによって、筆が進んだと「司馬遼太郎が考えたこと」には書いてあります。
そう思うことによってジレンマが吹っ切れたのでしょうか。
しかし、読み手の私には「坂の上の雲」は読めませんでした。
余談ですが「龍馬伝」。事実と違うと歴史愛好家は(私も含めて)騒いでいましたが、一作品としてはあれでよかったのではないでしょうか。
ところで日露戦争。
もちろん日本が勝ったことになっています。
戦争相手のロシア(帝政ロシア)は面白い戦争をする国です。
ナポレオンの時は、負けたふりをして退却退却の繰り返し。ナポレオン軍はどんどん攻めていった。しかし攻めすぎて縦に長くなった時に、一挙にロシアの反撃にあって総崩れになったと言われています。
それと同じ事が第二次世界大戦でのソ連にもありました。ドイツ軍が裏切りでソ連を攻めた時もソ連は敗走敗走の繰り返しでした。ドイツはどんどん攻めましたが、ドイツ軍が縦長になった時にソ連に反撃されて負けてしまいました。
ロシアは広大な土地を持っています。それを守ろうと思うと、多くの軍隊を抱えていても分散させるしかないわけです。だから一か所で戦争がおこると軍隊を集結させるのには、かなりの時間が必要なわけです。
だから最初は負けたふりをして時間稼ぎをするしかない。兵力が充実した時点で一挙に反撃をするわけです。
本当は日露戦争もそうだったそうです。
遼陽で勝ち、沙河でも勝ち、奉天でも勝った?日本軍はハルピンに向かってヨレヨレになって進軍したかったけど疲れて出来なかった時に、戦争は終わった。その時ハルピンにはロシア軍がどんどん終結していてもう少し戦争が長引けば満州陸軍は全滅していたそうです。
海軍の、歴史に類を見ない完璧な勝利と、戦争前に小村寿太郎がロシア嫌いなイギリスと手を組んだことによって陸軍全滅は免れたそうです。
イギリスは陸軍が遼陽で勝った時にマスコミで「日本は遼陽で大勝利!」、奉天でも「日本軍奉天で大勝利」と大々的に宣伝した。そして海軍が最も優勢な時にアメリカから声がかかって
「ハイ!日露戦争はそれまでよー。日本の勝ち!」
としてしまったそうですね。アメリカもイギリスも巨大化するロシアが大嫌いだったようです。
ロシアはハルピンで伝家の宝刀を抜こうとしていた矢先なので
「おっ・・・・・なにっ!・・終わり?・・・・ばかばかしい」
となったのでしょうか、現在に至ってもロシアの教科書などには日露戦争に関する記述が全く無いそうです。
しかし、わたしが嫌いなのはその後の日本です。
皆さんもご存じの通り、付け上がった日本は同じような奇襲戦法で真珠湾を攻撃した。
アメリカのルーズベルト大統領は真珠湾の奇襲戦法には気づいており、しかし参戦のきっかけを作るためにわざと黙っていたとも言われていますね。
もし日露戦争に負けていたら・・・・皆さんはどんな日本になっていたと思いますか?
朝鮮半島も日本もロシア領となって、資本主義ではなく社会主義共和国になっていたのでしょうね。そして中国とアメリカに向けて、日本はソ連の極東軍事基地になっていたでしょう。
だからとてもタイミングのいいところでイギリスに助けてもらったけれど、天狗になってしまった。
しかし第二次世界大戦には敗れてよかったかもしれません。勝っていたら軍需経済国になっていたでしょうね。
そう思うと、今の日本というのは薄氷を踏むような歴史の展開の結果なのですね。
そんなことを感じています。