ギャンブル小説「とったらんかい!」--亡者-- |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

競馬場、場外馬券売り場・・・・


無数の亡者が屯する。


どいつもこいつも・・・


楽をして、楽になろうという横着ばかり。


服装は地味。


センスなんてあったものではない。


ブルーカラー、ホワイトカラー、自営業者


そして無職の道楽者。


趣味や好きで楽しむものはそれでいい。


楽しめばいい。


借金で首が廻らない。


借金を何とかしよう・・・。


悲壮感さえ顔に浮き出た亡者が


無数にいた。


砂の坂を這い上がろうとする蟻。


蟻地獄。


そこは地獄につながる砂の坂。


レースの結果を見て


瞳一杯に涙を溜める輩。


呆然と立ち尽くす輩。


もはや競馬などではない。


一攫千金・・・などと思ってもいない。


何とか当てなければ、もはや明日は無い。


借金を返すために来ている輩。


そんな輩は、


半端な借金を背負っている。


借金は高額になるほど実質は借金ではない。


何億、何十億という借金をするもの。


それは何億、何十億と借金をする甲斐性がある。


逆に借金をしないものは徹底的にしない。


少しづつ借金を増やしていく者は


地獄を背に生きている。


砂の坂を這い上がりもがいている。


ゴロゴロした石を掻き分ける。


掻き分けても掻き分けても石が落ちてくる。


解っていてもすがるものがこれしかない。


競馬場には


そんな輩が無数にいた。


黙って仕事を頑張れば幸せはやってくるのに・・・。


沢山の人ごみのなかなのに


ぽつんと孤独にたたずむ。


レースが終わるたびに


苦々しく馬券を握り潰す自分がいた。