小説「砂坂を這う蟻2」--1、ジャンキュー-- |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

--- ジャンキュー ---


「おい、北野田行こうぜ・・・」


カズが誘ってきた。

「おう、行こうぜ行こうぜ」


北野田は大阪の難波から南海電鉄に乗って急行で
30分ほどのところにある。堺市の北部だ。



きたのだ


そこにお目当てのパチンコ屋があった。


我々が打つパチンコ台は決まっていた。


パチンコというより、今はもう無いが、ジャンキューというパチンコの一種だ。

13発打っては、左にある精算ボタンを押す。

今のパチンコは玉が一番下に落ちたら一つの穴のなかに消えていく。

しかし、ジャンキューはパチンコ台の下方に穴が横一列に沢山並んでいる。

隣通しの穴に並んで入れば入賞。

精算ボタンを押せば、並んだ数に応じて沢山玉が出てくる。


われわれは、いつものパチンコ屋に入り、何食わぬ顔をして互いに少し離れてジャンキューの台に座った。


カズは右側の店員の動きを、私は左側の店員の動きを確認する。


カズが私に目配せをした。

私も、左を確認してOKの合図をした。


ジャンキューは、いわゆる欠陥台だった。


当たっていなくとも、精算ボタンを爪先で引っかくようにぴんぴん・・と軽く押すと、接触不良から誤動作して当たりのランプが全点灯したかと思えば、玉がザーっと出てくる。


われわれは、歩調を合わせて店員の居場所を確認しながら一回ずつ確実に玉を増やしていった。


7,8000円になるとやめて帰った。


毎回出し過ぎると怪しまれるのだ。


「おう、今日も勝ったな。」

「今月は・・えっと・・10万は勝ってるな。」


カズが

「女でもイットコカ?」

「ええなぁ、信太山?飛田?福原?どこする?」


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