「ねえ君、君は歌舞伎役者なんだよね」
「そうですが」
「じゃあ、あの難しい口上とかも、すらすらと言えるように覚えていられるんだよね、そんな君が今回の出来事のほとんどを覚えてないなんて、私たち警察には理解できないんだよ」
「お言葉ですが、私も少しはめをはずしてしまいまして、正直泥酔していたのです。明確に覚えていることがほとんどないのです」
「それは困ったね。だけど、君は結婚前に、4時間であの希少宝石のルビーを探し当てたっていうじゃないか。そんな能力があっても、やっぱり何も覚えていないのかい?」
「ルビーを探していた時も、酔っていましたので…」
「え? どうやってあんな状況で、酔っていられるような気分になるんだい。これまた理解できないな」

「いえいえ、あの時は自分に酔っていたんです」


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