以下の図の解説、第三回目です。
おさらい、なぜ大事なのかは、上から下の水槽への水の投下、
つまりは政府支出が、民間給与を左右するからです。
見ての通り、50年以上続くデータですね。
久々にマネーストック絡みのグラフを上げました。
一応 下の水槽の背景がマネーストックです。
国家予算の投下と給与の推移
上の水槽で政府がお金を作ってました。それを下の水槽に流してました。
以上です。
それが今は、日銀が分離し、直接お金をもらうのではなく、
国債を現金交換券として、財源としているわけですね。
つまりは、国債制度が、現代の通貨発行です。
なので、政府の発行する国債残高を指して「国の借金」など、
適当なことを言う人がいますが、間違いです。
国債残高こそが、通貨発行量に他なりません。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな国債についての話です。
そんな国債ですが、国債は10年満期だったりして、
満期になったら、政府はお金を返さないといけません。
外国だったら、借換債と言って、また同額の国債を発行します。
新規国債で集めたお金で、返済するわけですね。
しかし、日本だけは60年償還ルールというものがあり、
例えば、満期国債が600なら、次は500の国債を発行します。
100不足しているわけです。
外国
600の国債が満期になる
→600の借換債を発行して、返済資金を集める→返済する
日本
600の国債が満期になる
→500の借換債を発行して、返済資金を集める→返済する
では、不足している100はどうするか?
→税金から回収して、返済に当てます。
これが流れ図中の-14や-75の意味です。
つまり、国債が満期になるたび、下の水槽から回収して、支払います。
これが外国なら、税金で回収されません。
お金を返済する相手は、国債保持者だから、
どっちみち民間に返すことには変わりないですが、
問題は返す前、ってことですね。
外国→新規国債100を発売し、購入してもらう
日本→100を税金で回収する
前者と後者ではまったく違います。
・税金で取られたら返ってこないですけど、
・国債購入なら、満期になったらお金は返って来ます。まったく損をしません。
つまり、税収で元金払いをしている日本は、
国債の満期毎に、民間経済の縮小が起こります。
よって、明日から新規国債の発行を止めるとしたら、
日本の国債はだんだん減っていき、60年で消滅します。
もし、国債が全部消えたら、国債の金額分だけ、
民間経済のお金マネーストックの大半が消滅することになります。
つまり、国債発行というのは、60年で消える一時的なお金と同じです。
消えるときに、きっちり100×6を、税金にて回収するわけで。
しかし、だったら国債の元金払いで回収される額を見込み、
多めの国債を発行すればいいだけの話です。
カンタンな例
外国 新規国債30
日本 新規国債40 元金払いで10消える 合計30
↑ 日本は多めに発行しよう
それが、以下の図の本当の意味です。
枠で囲まれていない所、国債費と公債金。公債金が国債財源のお金です。
だから、公債金の方(新規国債の発行量からのお金)が多いです。
それで、国債費(債務償還費)という名称で、国債100の元金払いをしています。
この図はよく
「借金の返済を、より多くの借金を借りて、返済している」
「自転車操業だ、けしからん!」
と、安易に語られますが、当たり前なんですよね。
元金払いを見越して、多めの国債を発行しているだけです。
第一、外国だと、元金払いをしないので、この債務償還費という項目がありません。
すると、発行する国債も、その分少なくしても、大丈夫。
国債を少なく発行したいのなら、60年償還ルールをなくせばいいのです。
再掲
外国 新規国債30
日本 新規国債40 元金払いで10消える 合計30
↑ 日本は多めに発行しよう
そうして、国債は一時的なお金とはいえ、その間財源となり、民間に投下されるのは大きいですね。誤解を招きやすいだけで、最低限、社会はこれで回っています。
また、無くさないにしても、120年返済にするのはどうでしょう?
→ 一気に元金払いが半分になりますよ?
では240年?480年?こうして永久債(コンソル債)の発想へと繋がります。
永久に返済不要なら、通貨発行みたいなものですよね。外国と一緒です。
それから、流れ図の-75はどこから来たのか、だけ説明しておきます。
以前もブログに記載しましたが、特別会計まで全部含めた話です。
以下の特別会計が、借換債の処理をしています。
一般会計からの受け入れ23というが、先ほどの円グラフの23兆円ですね。
で、水色を見てもらえばいいです。
右の水色の合計が183。これが国債の返済額です。 600
左の水色の合計が108。これが不足した国債発行です。 500
183-108=75 税金で元金払いしている金額 100
政府の発行している国債の総額は1100兆円らしいですから、
75÷1100=6.8%消えていますね。
とはいえ、新規発行30兆円くらいは毎年あるので4%くらいでしょうか。
30-75=40
40÷1100=3.6%≒4%
というわけで、少しややこしかったですが、満期国債の返済の話でした。
>> オマケ
>> 政府が発行した国債の半分以上は、日銀が持っている
これについては、政府は先ほどの100も600も返済不要です。
日銀はお金を作れるので、お金は要らないんです。
よって、持っている国債が満期になっても、政府に返済を請求しません。
「請求免除しますね。国に寄付したってことで、国庫納付扱いでいいです。」
こういうことです。
つまり、日銀が買いオペで、国債市場から国債を買って、持ってしまえば、
民間経済から税収で100取られなくて済みます。
日銀はどんどん買うべきですね!
しかも、
60年償還ルールにより、国債が満期になったら、
一度返済して、借換債を発行しないといけません、が
日銀保有の満期国債の場合
・返済不要 -600が発生しない
・しかし、新規国債は発行する +500が発生する
ということで、満期国債が政府財源となります=満期国債の現金化
これが恐らく、桂木健次さんの主張する満期国債の現金化の話です。
とはいえ、民間保有の満期国債の元金払いに使われて終わりだと思います。
国債整理基金特別会計は、流れ図で-75、税収補填がないとぜんぜん足りてなかったですから。
ちなみに、Webグループの某所でこの話を詰め合わせたところ、
私は、上記の説明なら、日銀保有の満期国債は、
500、400、300、200、100、0、と、現金化が起こり、政府が丸得するのかな?と思いましたが
桂木さんの話(多分)は、
600、600、600、600、600、0、と、現金化が起こり、日銀保有の満期国債は途中減衰しない
(最後60年目で一気になくなる)
ではないか、と話をいただきました。
外国みたいに、全額を借り換える、国債が減らないパターンですね。
60年後に消滅する以外は。
裏は、桂木さんなので、取れません・・@@
誰かこういった資料があれば、ぜひ、ぜひ、見つけてください笑
どちらにせよ、日銀保有の満期国債は、政府が丸得し、民間から税金回収しない、という結論です。
そもそも、どうしてこんなお得が発生するのか?
→日銀と政府はもともとひとつだったから、でしょうね。
なので、日銀に国債が保有された時点で、その国債は消滅しているも同然は同然です。利子も満期返済も不要になります。というわけで、政府的にも、民間的にも、得しかありません。
その意味で、国の借金総額1100兆円を問題視する人がいますが、
日銀保有と合算すると、大体550兆円くらいまで相殺されてしまいます。
「1100兆円だから大変だ!」と、何がどう大変なのかわかりませんが、
半分では話がぜんぜん変わってきてしまいますね。
以上、3回続けました、流れ図の説明でした。いかがでしたか?
まとめ
・国債発行が少ないから民間は渇水。
・国債発行が少ないからマイナス金利。
・日銀は国債を買って、現金出してる。国債がないと買えない。
・日本の国債はだんだん消滅していく。
・満期国債の返済時、元金払いを税収で行う。
・つまり、国債が消滅すると、その分経済が縮小する。
・つまり、国債は一時的なお金である(60年)
・国債は消滅より多く発行しないといけない:自転車操業は当たり前
・それが嫌なら、消滅ルールをやめればいい:外国と同様に全額国債発行
・60年じゃなくて120年消滅ルールにすれば元金払いが半減する(ただの形式であることが浮き彫り)
・国債は日銀が半分以上買っている。
・日銀が保有している国債は、政府は返済不要。民間から返済金を、税金回収しない。しかも満期時に現金化する。
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----編集後記----
最後、ちょっと話が難しくなってしまいましたね。詰め込み過ぎて申し訳ありません。このあたりの満期返済フローの図もほぼ考えていましたが、修正、改善入れてますので、またいつか。
桂木さんとの直接のやり取り(とはいえWeb上)は、私は解することができなかったので、間に誰か入って、行間を補足してもらえるくらいがちょうど良かったです^^; そこから一目でわかる図を作れれば、いいのかなと。
なお、補足で、
日銀は現先取引で、満期国債を政府に貸し出し、
政府はそれを更新して、国債市場に売り出し、
日銀がそれを買い直す、
という流れではないか、ということです。
ちなみに現先取引についてはこちら
http://glassonion.hatenablog.com/entry/20090205/1233803472
一言で言えば、
半年後に損も得もしないように、定価で売り買いできる取引(約束、権利)のことですね。
国債市場に流した国債を買い戻す、って話だと思います。
最近はずっとコロナですね。ツイッターをヒントにまた画像が溜まって来ましたので、手を変え品を変え、お知らせしたいと思います。