ご存知ですか?
私の考えたフレーズではありません。
政治経済の授業を取っていた方は存じているかもしれませんね。
自民党の4代目総裁、池田勇人が高度経済成長を実現した計画です。
党のあゆみ 第4代 池田 勇人 池田総裁時代
https://www.jimin.jp/aboutus/history/prime_minister/100351.html
(1)減税、(2)社会保障、(3)公共投資を三本柱として経済成長を推進した結果、民間経済の潜在的エネルギーをたくみにひき出して、"世界の奇跡"といわれる高度の経済成長をとげました。
同計画では、当初の三年間は年率九%の成長を想定していたのに、現実には一〇%以上という予想を上回る大幅な成長をとげ、国民所得は十年間で倍増する想定だったのに、わずか四年余で目標を達成するというめざましい成長だったのです。
池田勇人内閣の政策 wiki
日本経済は予想以上の成長を遂げた。実質国民総生産は約6年で、国民1人当りの実質国民所得は7年(1967年)で倍増を達成した。
ではグラフで見てみましょう
5年目には国内総生産、名目GDPが2倍を超えているので、4年余り。
その前に政府支出は4年目にして2倍を超えていますね。
現代では「政府支出を節約しろ」「借金が増えるじゃないか」ということで、
もう控え気味、控え気味ですが政府支出も倍増してます。
政府支出は2018年度で137兆円ですから、
2022年度は274兆円になっている計算です。
単純計算、1年に政府予算を34兆円づつ加算していく計算です。
単純計算、25%UPですから、均等分配すれば、入札単価も全て25%UPになります。
原価が変わらないなら25%丸々利益になって儲けです。
そりゃ、景気が良くなってしまいますね!@@
まぁ、物が売れまくって供給が間に合わなくなるから、価格上昇して制限かけるので、
ずっとそんなことにはならないでしょうが。
では賃金と物価はこちらです。
よくある一点を基準にしたタイプだと、基準値のそばが潰れてしまいます。
経済は規模も成長するので、実額表示しても過去は潰れてしまいますね。
というわけで、5年毎に基準を移動したのか以下。
1955では、100%UPなので、5年間で賃金が「2倍」になっていますね。
1959こそ、景気に影が差したので、国民所得倍増計画が始まりました。
それから、60%UP、90%UP、130%UPと、路線が続いていくわけです。
対して物価
1955では、40%UP(給与は100%UP)
1965から、
50%UP(60%UP)
50%UP(90%UP)
70%UP(130%UP)
と続きました。全て給与UP以下です。
なので、ウィキを見ると7年目で実質賃金が「2倍」になりました。
では今の2つだけを並べて見ると
全区間において、物価以上に給与が上がっています。
素晴らしいですね。
これが物価以上に給与が上がる状態です。
物価より給与の変化率(前年比)が大きいからですね。
だから、後半の現代に近づくと逆転します。
不景気だと、物価が下がる以上に給与が下がってしまうからです。
これは単純な計算でもわかります。
100円の商品を100個売り、1万円の売上です。
原価は80円です。利益は20円です。
なので、総利益は20×100=2000円です。
この状態で物価=価格が5%下がると
100円 → 95円 になり
95×100=9500円
原価はそのまま80円なので、
80円×100個=8000円
よって総利益は9500-8000=1500円
価格は5%下落しましたが、
利益は2000円→1500円
つまり25%下落しました。
同じ売上を維持するためには、
もっと売らないといけないですが、
デフレでただでさえ売れない時代に、
他の店も値下げしているような時代に、
5%下げただけで、あなたの店が爆売れするでしょうか?
ちなみに同じ2000円の利益をたたき出すためには、
134個売らないといけません。
つまり34%UP多く売らないといけません。
不可能ですよね。
だから安売りはしてはいけないんです。
大手の安売りは戦略で、
販売対象は庶民ですから、
安いのが良い、と多くの人が慣れているのはわかります。
ただし、売り手になればそれは逆転します。
と、話がマーケティングに移ってしまったので閑話休題。
もっと聞きたい人は関西の村松達夫さんを訪ねたり勉強してみてください。
ちなみに最初の潰れてしまう図だと、物価の成長が低すぎて見えないので、
縮尺自動調整したのがこちら。
はい。こちらでも物価と給与が連動しているのは確認できました。
数字上合っているのは相関係数でわかりますけどね。
そして対数表示をすると、給与 > 物価 というのははっきりわかります。
これだけ変化率、変化倍率が違うわけです。
というわけで
「不景気だから、物価が下がった方がいい」
という人がいますが、
「物価下がる以上に給与が下がるから不景気なんだよ」
と言ってあげてください。
で、原価上げずに価格上げれば、その分丸々儲け、ですからね。
先の説明の逆が起こるわけです。
原価も徐々に上がってくるでしょうが、それ以上に利益があります。
それに、原価があるから、値下げにも限界があります。
だから「物価が下がると会社は死ぬ」わけで、破滅的なわけです。
とはいえ、売れないから、安売りしているわけで、なかなか価格を上げられない。
それもよくわかります。
だから、民間でなく、政府が支出を増やして、
高単価で買い物してもらわないといけないわけです。
今回の最初の図で、政府支出も「2倍」になったと述べました。
さらに見ていくと以下のようになります。
基準=1の数字自体は省略しているので、
1964=4
1965=5
1965=1 省略
1961=1.2
のようになっています。
と、見ていくと、政府支出は
1960=1.6倍
1965=2.25倍
1970=2倍
1975=2.5倍
つまり、この20年で政府支出は「18倍」になっています。
年間平均に直すと大体16.5%UPです(指数的に増えていくから)
ですから「20年前の国の借金など18分の1」に過ぎません。
だから国の借金、政府の負債、国債を心配する方がおかしいのです。
成長すれば相対的に大したことがなくなります。
現代は政府支出を増やさず、20年も成長しないから、
20年前の政府の負債すら、重く重く感じているわけです。
ひとつ前のブログ記事で説明した通り、国債というのは通貨発行の変形に過ぎません。
かつ、国債が再開されたのは1965年です。
高度経済成長期とはwikiを見ると1955-1973となっています。
1955-1964の財源は国債ですらありません。
1947から、国債がストップしていたためですね。
2.26事件にて、高橋是清さんが軍部に暗殺されてから、
軍部の暴走で、国債発行にて、お金が使いきれないほど、集められ、
「国債発行は戦争につながる」と一旦停止を食らったわけです。
というわけで、高度経済成長期、というか、
国民所得倍増計画の前半の財源は
消去法で 2.の日銀からの小遣い制しかありえません。
財政ファイナンスは禁止だー、ありえない、とか、そこで思考停止している人は上記の財源を説明してください。歴史を勉強しましょう。
1930-1947年の国債発行 年平均
政府の歳出より、国債発行で集めている金額の方が大きい。資料は以下。
戦後の国債管理政策の推移「昭和22年~39 国債発行せず」
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou01.pdf
戦前債権市場と引受シ団の変遷
https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/6449/1/keizai281-09.pdf
↑上記の金額を、発行年で分割して計算したのが、上記の表です。
また、その時期の政府の歳出についてはこちらから
明治から平成の歳入、歳出の年間推移
https://www.petitmonte.com/politics_economy_life/revenue_and_expenditure.html
これをちょい修正してグラフ化したのが以下
戦時が増えすぎて見えないので拡大
2.26事件は1936年なので、そこから増えているのがわかります。
高橋是清さんは、昭和恐慌で、
銀行から預金を引き出す取り立て騒ぎがあったときに
お金を刷って、銀行の店頭に積み上げさせ、パニックを収めた人ですね。
1934年の世界恐慌でも世界一早く不況から脱しました。
しかし軍部が予算ほしいからと、大量にお金使ってしまうと、
景気が良くなり過ぎて、物価が上がってしまうから、
「落ち着け」と言っていたら是清さんは殺されてしまいました。
とりあえず、こうして戦前は国債発行でガツンと資金が集められました。
政府支出も5年で「3倍」になっています。
これでも国債で集めたお金を使いきれなくて、
このあとさらに倍増するわけですが。
また、1955-1964の政府支出の倍増ですが、
これを外貨による資金援助だという人がいます。
まず単純に「国家予算を援助してくれる国あるの?倍増していくほどに?」
と思うのですが、見ていきましょう。
半額は無償ですが、ガリオア・エロア資金があります。
これは1946-1949で、この時点で時期が合いません。
ちなみに18億ドル、うち13億ドルが無償。後はツケ。
ただし大半が物資だったとか。
1ドル300円として5億ドルだとすると、1500億円です。
先の表を見ると1945の政府支出が200億円なので、
当時の国家予算を優に超えます。
翌年から政府支出もGDPも倍増していったからいいものの、
これ外国からの外貨の借金なので、輸出で稼いで返す必要があります。
もしかしたら日本を借金漬けにする意図もあったのかもしれないですね。
もうひとつ、IMFによる借入
http://worldbank.or.jp/31project/introduction/index.html#.XjJZe2j7TyR
1966に終わり、総額8.6億ドル
1ドル300円で2700億円です。
1947には政府支出は2000億円になっているので、
1955-1964に倍増、倍増していった政府予算には程遠いです。
また、IMF以上の金額を貸し付けてくれる国があるでしょうか?
むしろ、借入にて国家予算を倍増していったら、
どうやって返済するというのでしょう?それこそ借金国家です。
しかしながら、円安にかこつけて稼ぎまくって、
現在の日本はトップクラスの外貨の黒字国家です。
世界各国の外貨準備高ランキングの変化(1990年・2005年・直近)
https://finance-gfp.com/?p=5697
というわけで、1955-1964の国民所得倍増計画の財源は、
国債でもなく外貨の借金でもありません。
さらに、増税も間違いです。
というか、増税で回収した以上に支出なんてどうするのです?
乗数効果で1.1倍にしたとか3倍にしたとか、そんな桁ではありません。
20年で18倍。
さらに1990までには60倍近くなります。
最初の図、公的需要=政府支出
財源が税金とか阿呆なこと言うのやめましょう。
加えて、安倍政権は一応名目GDP目標3%を掲げていますね。
物価目標2%はもう公言すらしなくなりましたけれども。
それでですね、3%成長、内訳を変更せずに成長したとすると、以下のようになります。
当然政府支出(公的需要)も3%づつ増えていくわけです。
もし、政府支出を増やさない、というのであれば、純輸出など規模が小さ過ぎてお話になりませんので、民間需要を激増させないといけません。
しかし、消費税10%で民間支出の75%に足かせをつけました。
国民の実質賃金の低下率は総理大臣史上、最悪です。
同時に人口の減少数も最悪です。
失業率は改善した、と述べる人がいて、確かにそうでしょうが、中身は派遣が激増して、所得格差が増大していますよね。しかも、国債も減少させるので、それと連動する政府支出も民間需要も増えるわけがありません。
また経済の流れ図を更新したので、その点確認してみてください。
大分テコ入れできてきたかなと思います。
マネタリーベースとマネーストックの概念を水槽で表現してみました。
この2つは水量計とでも考えればいいかと。
そして政府支出が民間経済へお金を注ぐ蛇口。
税金が吸い上げるポンプです。
さらに背景にはマネーストックの前年同月比のグラフをつけておきました。
以下に渇水状態に陥っているか、視覚的にわかるかと。
お金の量が少ないということは、民間経済の中でお金の奪い合いが起こる、つまり価格競争が激化します。価格競争ということは安売りを意味し、それはイコール物価の下落、デフレです。
他の経済指標も、諸々民間経済の中での結果ですね。渇水状態に陥っているから、デフレで不景気で給料も上がらず、恋愛や結婚、出産にも二の足を踏む。
政府が金融緩和して、上の水槽の水は増えれど、結局メインの蛇口、政府支出で閉じている。
いかがお思いですか?
さて、タイトルを思い返すと、池田勇人さんの国民所得倍増計画でした。
安倍政権に飼い殺しにされた藤井聡さんらも国土強靭化200兆円と述べていました。
通じるものがあると思いませんか?
ただし、安倍政権は7年も経ち、まったく拠出しませんでしたが。
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----編集後記----
コロナウイルスが流行ってきました。日本は中国に次いで2番目に危険な国だそうです。渡航制限しないからですね。これを書いている本日、WHOが緊急事態宣言を出しました。
まず渡航制限と2週間の隔離で収まるはずなのに、やらないからですね。もう安倍政権は末期過ぎでしょう。外国でも「安倍は嘘つき」「アベ ア ライアー」と市民からコールがかかるようです。
まずインフルエンザと同じような感染の仕方をするようなので、咳やくしゃみを人に向けてしないようにし、うがい手洗いで予防しましょう。他人からの防護はウイルスマスクしかないですね。
さて、次の記事は、、、ヒトラーとシャハトさんあたりを洗うのも面白そうだな、と思いました。
池田勇人は世界の奇跡と呼ばれる高度経済成長を実現しました。
高度経済成長、これは結果なので、国民所得倍増計画と言った方がいいですね。
同じく、世界恐慌から脱した高橋是清さんですが、同時にシャハトさんも脱しています。
シャハトさんはドイツでハイパーインフレーションが起きたときに収束させた人で、レンテンマルクの奇跡、とも評されました。
やはりまともな経済知識がないと、読みこんだ上で理解するのも大変ですけど、優秀な偉人がいた、ということを掘り起こしていきたいと思います。