こんにちは。基礎的財政収支について4回目の話です。結構長くなりましたー。しかし今回で決着したいと思います。

ではさっそく、前回の話の続きから。前回は相関一覧表で、やはりPBバランスは、公的需要(政府支出)が多いほど改善しそうだ、という話しでした。

というわけで、今度は公的需要がメインの列を見たいと思います。

相関一覧表 公的需要 過去3年移動平均

PB6

はい。軒並み高い数字がたくさんありますね。ちょっとマークします。

PB7

水色で囲ったところが、同様にマクロのお仲間指標です。これらはだいたい同じように連動して動きます。相関係数が高いことからもわかりますね。いつものやつで既にわかっているやつです(私は)。CCCPIはコアコアCPIで、消費者物価指数のことで、ようするに物価ですん。

今回入ってないですが、民間平均給与やら失業率やら人口も同様に高い連動性があります。つまりそれらはすべて政府支出次第ってとこですね。これだけでもいかに政府支出次第で景気が動くかがわかりますが、

今回はあくまでPBバランスについてなので、新しい赤い点についてみていきます。

すると、基礎的財政収支対象経費がトップですね。PB対象費は、基礎的じゃないだけでほぼ同じ、お仲間です。だから87%と86%と1%しか変わりません。どちらも政府支出に強く連動していると。

社会保障費はこれ以上はなんだか中身見ないとよくわからないですが、やはり政府支出に連動していることがわかります。つまり、ニュースで叫ばれている社会保障費も、もっと大きいほど景気は良くなる(節約すると景気悪化)ってことですね笑

公債残高、、あ、これも前見たかな・・。マクロのお仲間です。

というわけで、次は一番関係が強かった基礎的財政収支経費について、相関一覧表の列を見てみましょう。

こうやって次々と見ていけるのが相関一覧表の強みです。データを並べさえすれば連動しているものが丸分かりです。

で、話を戻してPB対象経費です。

相関一覧表 基礎的財政収支対象経費

PBa1

水色がマクロのいつもの。オレンジのがまぁまぁ関係あるもの。あと70%以上ありそうなのを赤枠で囲っておきました。

PB対象経費はさっき述べた通り、お仲間なのでほぼ100%です(中身は99.~とほぼ一致)。

この中では地方交付税が新しいですね。あとPB対象収入。社会保障費も中身よくわからないですけど政府支出と高い連動性があるようです。

さて、ここでPB対象収入とありますが、これはいまさっき私が作った列です^^;
さっきまでの一覧表にはなかったので改めて追加して作り直しました。
名前は適当な造語です。

これが何かといえば、基礎的財政収支の収入側です。

収入 - 経費 = 基礎的財政収支

この収入に当たるのがPB対象収入です。中身は

PB対象収入 = 税収 + その他税収 (データに列にあります)

そして経費に当たるのが、今まで出てきた基礎的財政収支対象経費です。

ちょうど基礎的財政収支のプラスとマイナスに当たるんですねー。これは一番最初のデータ元のリンクに書いてあります。そーなのかー、とエクセルで確かめ計算したら確かにそのとおりでした。

この収入と経費にも63%のそこそこ強い連動性があるようです。ではこれは詳細に見てみましょう。

基礎的財政収支対象経費 と 基礎的財政収支対象収入 の関係

PB02
はい、相関係数もちゃんと一致してます。確認終了。

さて、見ていくと傾きが0.94とほぼ1に近いですね。経費が増えると収入もほぼ同じ割合で増えるようです。経費は公的需要と連動しているから、政府支出次第でやはり収入(税収)も増えると。

しかし、0.94では、経費が1増えたときに、収入が0.94増えるってことで、これじゃPBバランスは悪化してしまいますね。赤い近似直線だけ見るなら。

63%と相関がちと弱いので、青い実際の点は、完全に赤い線に一致しているわけじゃありません。割ともやのように広がりを持っています。点の多いところ、少ないところもありますね。

ちょうど傾きが1に近くて45度線のようになっているので、赤線の左上にある点の場合は収入の増加の方が大きくてPBバランスを改善右下にある場合は経費の増加の方が大きくてPBバランスを悪化させています。

どちらかというと青い点の方が多いですね。ではこれはいつ発生したものか、ちょっと見てみたくなりますね。

あ、その前に、実額もちょっと見ておきます。ほぼ1対1の増加なので、金額に2倍も3倍も差がある場合は、どうにも差は覆りませんからw

基礎的財政収支対象経費 と 基礎的財政収支対象収入 の推移 実額

PB00

昔っからほぼ同じなんですねー。しかし追い抜いたり追い越したりしてます。やはり「キレイに0.94の関係ではない」「永久に経費の方が大きく、PBバランスは改善のしようがない」というわけではないようです。

さて、ではその差異がやはり重要そうだ、ということで、前年比を時系列で並べてみます。さっきの赤線のグラフのタテヨコを、2つともヨコにして時系列にするだけです。またはこの実額のグラフを前年比にするだけですね。

基礎的財政収支対象経費 と 基礎的財政収支対象収入 の推移 前年比

PB03

ちょっと上下にジグザグと荒れてて、また青いの下に飛び出てるのも何箇所かありますが、ちょっと脈絡がないですね。

まぁ2つのグラフを見比べるのも大変なので、収入 - 経費 で、経費を基準に差を見てみます。

基礎的財政収支 収入の前年比 と 経費の前年比 の差の推移

PB04

うーん。いつがプラスでいつがマイナスなのかはひと目でわかるようになりましたが、これでもちょっと脈絡がなくてよくわからない。

では、前年比の累積にして、ジグザグを整理したのち、差をとって見ます。

基礎的財政収支 収入の前年比の累積 と 経費の前年比の累積 の差の推移

PB05

だんだんグラフのタイトルが長くなってきました笑
でもつけておかないとあとで何回も見直して面倒になります^^;

で、中身を見ると、なんかいい感じです。

1.1975年あたりまではほぼイーブンで、PBバランスは悪化せず。
2.しかし、その後悪化し、
3.1990年のバブル崩壊に向けて回復していき、
4.ピークのち、あとはずっと落下。

予想はついたので、ちょっと参考までにマクロ指標を一緒に載せます。

基礎的財政収支 収入の前年比の累積 と 経費の前年比の累積 の差の推移
+ 参考までに、マクロ指標の代用に、基礎的財政収支対象経費

PB06

基礎的財政収支対象経費は、公的需要と87%の高い相関を示したのでした。公的需要もとい政府支出は景気の大元で、GDPやら物価やら賃金やら人口やらいろんなものと連動しています。つまり基礎的財政収支対象経費もマクロ指標のお仲間と考えて差し付けないわけです。

まぁ、すぐそばにあったマクロのお仲間っぽいので参考指標として入れただけですw

それで比較してみると、

1.イーブンの時代は何も問題なさそうですが、

2.景気が悪化、つまり政府支出が減るのと同時に、PBバランスも悪化しているのがわかります。(1977年から。つまりイーブンのためには政府支出が前年比15%増が必要そう。右側タテ軸)

3.そのまま赤のマクロの景気はずっと悪いまま(一度底まで落下して、あとずっと前年比ゼロ% 右タテ軸)ですが、

一方でPBバランスは急に回復して行きます。1990年のバブル崩壊がピークですね。明らかにバブルに乗っています。

4.ピークを過ぎたらひたすら落下し始めましたが、1997年で一度踏みとどまります。98年と99年は少し立て直しました。これ消費税5%にしたからじゃ。しかし、3年後には、何もなかったかのように、落下路線にもどります。そして、過去最低になり落ち着きます。

その後、このへんからまたグラフが連動してますね。


5.また一度回復し始めますが、基本的には連動しているよーな。回復幅が大きいように思うんですが、これ、リーマンショックの前のバブルなんですかね?

以上、整理すると、基礎的財政収支もといPBバランスは

1.やはり政府支出と基本的には連動しているっぽい
2.資産バブル?の影響を受けて回復するようだ
3.増税で一瞬留まるが、すぐに何もなかったことに(意味がない)

という結論になるかと思います。

資産バブルと書いたのは予想です。なぜなら、赤いマクロ指標はずっと低調なわけで、1990年はバブル崩壊と言われているも、大多数の国民・・・労働者にとっては別にバブルでないからです。

多分昔の人のいう本当の労働者の好景気は1970-75年あたりじゃないかと思います。実質賃金が5年で1.4倍くらいなってたはずですから。給料20万の人が5年で28万。国民平均で

それに、1990年のバブル崩壊で、崩壊したというのは、土地や建物の価格らしいですから、資産バブルなんだろうなぁと。そのへんはまだ統計見たことがないので予想なのです。

以上で、ほぼ結論は出尽くしたでしょうか^

しかし最後に。

さて、現在は 収入 - 経費 では赤字で、基礎的財政収支がマイナス・・・その分は公債発行で補填しているわけですが、最初はPBイーブンでしたよね。実額もぜんぜん差がありませんでした。なぜか?

PB07

答え。公債の発行は1967年から始まったからです。それ以前は公債発行などされておらず、PBは多少マイナスなれど、収入 - 経費 でほぼ賄えていたからです。1966年時点ではゼロです(発行されていない)。

そして政府支出に連動している、最初はイーブンだ、と書きました。これ、減らしたから悪化していったんじゃ?そう思います。

さて、あとダメ押しをするなら、資産価格の推移のグラフをゲットして、その影響を上記のグラフから抜いてみてどうなるか?くらいですかね。そちらはぜんぜん未知なので、データを探すところからですが。

ではでは、まとめのまとめ、結論です。

・PBバランスは政府支出で回復する。減らせば悪化する。
・資産バブルは大多数の国民に関係ないのでどうでもいい
・増税も関係ないので、それを言い訳にして増税に持っていくのは理屈に合わない。


まぁ、PBバランスなど本来何も気にせずともいいわけですが、経済財政諮問会議の話に乗って分析してみました。結果は上記のとおりです。

PBを気にするならば、より一層の政府支出の拡大、財政出動が必要かと思います。
税収が増える=収入が増えるから増税を、というのも長期で見れば意味のないことです。

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