今回は格差についてです。格差が何かといえば、単純にいえばAさんとBさんの収入の差のことです。


Aさんが年収300万に対してBさんが400万もらっていました。翌年、Aさんは年収300万のままでしたが、Bさんは年収500万になりました。100万円あった差が200万円になりました。格差拡大ですね。


いまは収入を例に取りましたが、貯蓄の差で格差を測るのもありといえばありですよね。ここに物価の影響も加味したい人は物価で割り算すればよかったりします。まぁそれはさておき、日本の格差を見ていきましょう。

なおグラフはクリックすれば拡大します。拡大して貼り付けるとぼやけるのでご了承ください。

日本のジニ係数の推移

ジニ係数


格差といえばジニ係数です。今回は説明を省きます。説明はそのうち。とりあえずジニ係数は格差を表す指標で、1に近いほど格差のなく、0に近いほど格差が大きい社会です。大きいほど良い感じです。

社会にはAさんBさんの2人きりではなくて、たくさん人がいるから、単純に比べられなくて大変ですよね。それでジニ係数という全体の格差を表す指標が作られたりしました。

それで、0.4だと社会騒乱が起きがちだそうで、日本はまさに、という感じです。(左上)
(左上)のままではのっぺりしているので、(左下)のように拡大しましたが、微妙な感じ。
(右上)のように前年比にしましたが、はやり増えも減りも見えず。
(右下)のように、前年比を累積にしてみても同じです。
ここからじゃちょっと何も読み取れそうにありません。なので次を見てみます。

各世帯を、世帯所得で分けたときの人数の割合の推移

各所得階級の人数


ちょっとくどいような表題ですが^^; 

ようするに1人暮らししてアルバイトしていて、年60万稼いでいたらあなたは50-100万円世帯に入りますよ。夫婦2人暮らしで年収520万なら500-550万世帯です。そして、その年50-100万円稼いでいる世帯の人数はどのくらい?という話です。


これ、みんなが豊かになればいいので、上位層の人数がどんどん増えていけばいいですよね。しかし、どこかの色に注目して右に見て行ってもらえばわかるとおり、1997年以後、右肩上がりです。

つまり、低所得の世帯が増えている。逆にいえば、高所得の世帯が全体で見て減っている、ということがわかります。97年は消費税5%を始めた年ですね。

次に、その層が、どのくらいの所得を得ているのか見てみます。

各層が得ている所得の推移

各所得階級の所得総額


ひとめで目につくのは、2000万以上の少数派だった人たちがいきなり目立ったことですね^^;しかし、2000万以上としか書かれていないので、この層の平均所得は本当はわかりません。もっと多いかもしれません。

さて、それはさておき見ますと、また右肩上がりです。ということは、あら、低所得層の稼ぎの割合が大きくなっているのか、高所得層の稼ぎの割合が低下しているのか、のどちらかです。どちらにしてもよろしくないことです。(前者は人数増加によるものでしょうし)

消費税おそるべし。ほぼ全ての所得層にダメージを与えています。高所得者が消費税ごときで自分の生活費に困らないといえど、会社の稼ぎが減っていて、結果給料が減ってしまっている、というようなことなのかと推測されます。

なんとなく全体の傾向が見えたところで、さらに別な見方をしてみます。

世帯所得を、所得順に並べたときの、節目の世帯の所得の推移

世帯所得の5分位1


タイトルが長いですが笑 中央値を例に取ればわかりやすいでしょうか。100世帯を所得の順番に並べたとき、50番目の世帯の所得が中央値です。わかりやすさ優先でざくっと言うなら。

同様に節目として、20番目、40番目、60番目、80番目の世帯の所得は、という話でしょうか。100世帯しかないわけないので、実際には20%番目、40%番目、、、ということになります。

しかし、なんか増えて減ってるなぁ、というくらいしか、のっぺりしていてわかりません。さらに見ていきます。


世帯所得を所得順に並べたときの、節目の世帯の所得の推移 前年比

世帯所得の5分位2


前年比にしてもちょっと微妙です。なのでこれを累積に。

世帯所得を、所得順に並べたときの、節目の世帯の所得の推移 前年比の累積

世帯所得の5分位3


%で流れを追ったら最初ののっぺりしたグラフより随分わかりやすくなりました。やはり97年で節目世帯の皆さんの所得もいきなり急落しているのがわかります。


また、8割目の世帯は儲けるときはでかいし、落ちるときも他の世帯に比べてタフですね。2割目の世帯が顕著ですが、下の世帯に行くほど、落ちるときに差が見えてきます。低所得世帯ほどデフレは苦しいとわかります。

というか皆さんピーク時から世帯所得が20-30%減です。よくこれで消費税8%、10%を目指そうという政治家を皆さん応援できますね。


ちなみに、各節目世帯同士の所得の相関一覧です。どのくらい一致しているか、です。

世帯所得の5分位4


世帯所得の平均値は私がよく使う指標で、名目GDPや物価、政府支出に比例しています。つまり、国策でどれだけ世帯所得が影響を受けやすいかがわかります。2割目除いて高い相関です。


中央値も平均値と強い関係ですが、6割目、8割目の世帯はもっと強いです。国策の恩恵はやはり高所得者からなんだなぁ、という感じが。2割目の人にはなかなか届きにくそうです。


さて、それでも、世帯所得ということから、一人ひとりの所得ではありません。働き手が複数人いる家庭では所得が大きくて当たり前です。なので皆さんの声を聞いてみます。


世帯の生活意識の推移

世帯の生活意識1


同じ国民生活基礎調査からです。全体の声ですが、バブル崩壊以後から普通の人が減り、大変苦しい人が急増しています。余裕って人は1割です。余裕な人は生活に心配なく余裕なんですからまぁほっといてもいいですけど。


さらに「苦しい」と「余裕」をまとめますと

世帯の生活意識2


こんな感じです。余裕があるのは1割以下。あまり変化なし。普通世帯は減少。そして苦しい世帯4割から6割に増加しました。すさまじいです。


こうして見てくると、ジニ係数からは見えませんが、格差は広がっている、、、豊かな人が減って、苦しい人が増えている、、、と言えると思います。良いのは豊かで余裕のある人が増えて、苦しい人の割合が減ることですよね。


世帯所得と民間平均給与は少々違いますが、似たようなものです。改めていつものグラフを確認で載せます。


名目GDPと民間平均給与の関係

名目GDPと民間平均給与


こうまで所得、給与が苦しくなっているのはGDPが低下しているからです。せめて5%成長でもいいと思います。そんなGDPを増やすのは簡単です。


三面等価の原則をちょっと組み換え
名目GDP=民間支出+政府支出=A+B


ただの足し算です。当然ABどちらが増えてもOKです。しかし不景気で民間が支出を増やすわけがないので政府が支出を増やすしかないと、消去法からわかります。そんな政府支出と名目GDPの関係は、火を見るより明らかですが以下にグラフ。

名目GDPと政府支出の関係

名目GDPと政府支出


当然比例関係です。規模にして100兆円の政府支出が110兆円に、10兆円だけ増えると、名目GDPも10%、、、500兆円が550兆円ほどに増えるようです。政府支出でのお金が民間に流れ、民間支出が増大する、、、支出した以上にGDPが増えるという乗数効果が見て取れます。


一般会計税収とも比例するので税収も増え、物価も比例するので実質的な国の借金も何もせずとも勝手に削れていきます。その額が膨大であればあるほど。そんな、1年に10兆円だけあれば充分な政府支出の財源も

マネタリーベースの推移

マネタリーベースの残高推移


お金を刷った総額を示すマネタリーベース。2年で200兆、1年にして100兆、自民党になってから刷っています。現在も月に4-8兆刷っています。


マネタリーベースの残高推移2


なのでお金がない、という言い訳は不可能です。だってこのお金で国債とか株を買っているわけですから。


たった10兆円でいいから、ここから政府支出に予算を投じれば景気回復です。自民党安倍政権は政権を取り戻し、たったひと月ふた月で充分なお金を刷りながら、景気回復を「してこなかった」「現在もしていない」ということがわかります。現在も景気回復をするに至るような発言すら見当たりません。逆はよく聞きますが。

バブル崩壊から2015年で25年。よく日本人はここまで我慢できるなと思います。景気が悪ければ政府も一緒になって節約しなければ、というのが間違いです。三面等価の原則というのは、高校生の教科書に載っているようなことです。それも5分で説明が終わるような足し算です。


足し算が間違っているだけで国民総ドツボにはまっているわけです。その常識で育った政治家、マスコミがそんな発言、報道を繰り返し、子供をまた再教育する。皆さんのまわりや子供だけでも説明してあげてください。


そしてできれば自分の街の市議や市長だけにも淡々と。別に感情的になるような必要はありないので。まんま足し算なので「1+1は2ですよ?」風に。


ムダな箱モノを作れとは言いませんので、単純に今の仕事の入札単価を上げたりするだけでもいいんです。お金の関係で後回しにしていた仕事を入札に出すとか。教育予算を増やすとか介護費用を増やすとか助成を増やすとか。いろいろお金必要なところ、必要最低限でもいろいろあります。


ぜひぜひよろしくお願い致します。


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今回使ったデータは以下のとおりです。

国民生活基礎調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21kekka.html