先日発表されましたマネタリーベースとマネーストックをグラフ化しました。なぜこれをグラフ化するかといえば、アベノミクス第一の矢である金融緩和の成果がこれでわかるからです。

で、私としては「金融緩和をしても景気はよくならないです」「統計的にも言えないですよ」と書いています。

なぜ書くかといえば「そうすれば景気が良くなる!」と信じているか、嘘をつく人たちがいて、彼らが国策に絡んでいるため、いつまでも景気が良くならないからです。

別に経済学を履修したわけではないですが、理系だったので、基本的なグラフは作れます。それだけで真偽がカンタンにわかるので、周知のためにも本ブログを書いています。

前置きが長くなりましたのでさっそく本題です^^;

マネタリーベースとマネーストックの推移 累計 1971-2015 

マネタリーベースとマネーストック推移累計


まず大きく累計です。縮尺の違いでマネーストックがつぶれてしまってますね。両軸で見て見ます。

マネタリーベースとマネーストック推移累計2


こうなります。

ここで順番は前後しましたが、カンタンに言葉の説明です。マネタリーベースは政府が今までに刷ったお金の総額です。現在進行形で増えていますね。そしてマネーストックが民間のお金の総額です。政府の刷ったお金が民間に流れれば総額は増えますよね。景気が良くなります。

問題は「政府はお金を刷った。しかし民間に流れているか」です。

さて、話を戻しまして、両軸で見ましたが、あまり一致していませんね。関連があるとキレイに連動しているんですが。

ここでちょっといたずらを。両軸グラフを短期で見て見ます。

マネタリーベースとマネーストック推移累計3


「見てください!こんなに一致していますよ!マネタリーベースとマネーストックはこんなに連動しているんです!」

とやるのがよくある統計の嘘です。長期で見ればバレバレですが、両軸、短期は印象がぜんぜん変わりやすいです。

あとは対数表示とか

マネタリーベースとマネーストック推移累計4


縮尺が10倍づつのグラフです。「ほら、いまだに右肩上がり!」みたいに。こういうことをするのは数学のできない文系の人に多いかもしれません。統計かじった人からすれば「見た目にこだわってもしょうがないじゃん」ってところ。

脱線気味ですので進めます。

見た目や累積を見ても、両者の関係は見えてこないので、経済ですから前年比、前年同月比で見ていきます。


マネタリーベースとマネーストックの推移 前年同月比
マネタリーベースとマネーストック推移前年同月比


わかりやすくなりました。見てみると、バブル崩壊の1990年までは一致していたのが、以後はぜんぜん合わなくなっています。マネーストックは微動だにしません。

これをマネタリーベースをヨコ軸、マネーストックをタテ軸にするとさらに顕著です。


マネタリーベースとマネーストックの関係 1971-2015

マネタリーベースとマネーストックの関係2015


赤い時代、バブル崩壊前までは、右肩上がりの関係がありそうでした。しかし、以後はストンと落ちて、マネタリーベースが右往左往してもマネーストックはぜんぜん増えません。


ここの青い点が最新5月を含んでいます。前年同月比で相変わらず、ヨコ軸のマネタリーベースは40%近く前年より増えていますが、タテ軸のマネーストックは増えていません。相変わらず、政府がお金を刷れど、民間に流れていない、ということです。


マネタリーベースとマネーストックは擬似相関

これ、赤の右肩上がりと、緑の水平方向の2つの直線が引けますよね。普通はこんなことありません。バブル崩壊という要因が明らかに間に噛んでいます。


別の要因が間に噛んでいますから、マネタリーベースとマネーストックの赤の右肩上がりの関係は擬似相関です。


ですから、1990年から25年続いているこの傾向は、いくらアベノミクス第一の矢、金融緩和をしたところで、統計的に関係ないですから、マネタリーベースでマネーストックを増やすことはできません。


そういえばマネーストックの重要性を書いていませんでした。タテ軸にGDP、ヨコ軸にマネーストックを取ると

マネーストックとGDPの関係 前年比
 

マネーストックとGDPの関係


以上のように、マネーストックが増えれば2年後のGDPも増える。減れば減る、と連動しています。では最近はどうなっているかというと


マネーストックとGDPの推移 前年比


マネーストックはさっき見たとおり、地を這っています。そうすると当然GDPも地を這うわけです。GDPはもっとひどいですね@@


このように、マネーストックとGDPは関係があります。GDPと関係がある時点で、他にも給与、物価、失業率や自殺率とも相関を持ちます。そしてそれらにマネタリーベースは関係ありません。マネーストックとの関係の時点でおかしいですからね@@


ですので、マネーストックを改善すると景気が良くなります。増やす方法はGDPと連動しているので簡単です。


GDP=消費+投資+政府支出
   =A+B+C


ABCどれを増やしてもGDPは増え、連動してマネーストックも増えるわけです。Aを増やすなら減税。Bを増やすなら投資減税や補助金。あとは「Cを向こう十年間増やします!」と政府が宣言して、実際増やして、民間の購買意欲を高めてもいいですよね。そんなCを増やすことは、A+B+Cは足し算ですから、GDPを増やすことに直結します。


しかしAは消費税増税でマイナス。投資は流動性の罠状態につき増えません。ですから消去法でCが確実にGDPを増やすことができます。ABは民間ですが、Cは政府の支出ですからね。


なお、本当はここに純輸出も加えますが、規模1%くらいなので(しかも昨今マイナス)無視しています。


そうして、GDPを増やせばマネーストックも増えるわけですね。いつもこの話を書いていますが、みてのとおり同じ結論です。単純です。皆さんもぜひお使い下さい。


そしていつもどおり財源グラフも載せて終わりにします。今回実は既に載せていますがマネタリーベースのことです。

マネタリーベースの推移

マネタリーベースの残高推移


2012年まで100兆しかなかったのを、2014年には300兆です。2年で200兆お金を刷りました。最近を見ても

マネタリーベースの残高推移2


月に4兆は少なくとも刷っています。最新月は8兆刷りましたね!お金はたくさんあります。政府支出の財源には困りません。

GDPは現在500兆円ほどですから、510兆円になればGDPもとい経済成長率は2%達成です。つまり、Cの政府支出に10兆突っ込めば、足し算ですから日本は確実に景気回復します。

それしないで自社株買戻しならぬ国債買戻ししたり、株買ったりしているわけですけどね。そして経済成長0%なのに「良好だ」なんて言ってるわけです。本当、足し算なのになんでしないの?わからないの?って感じです。

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今回使ったデータは以下のとおりです。

時系列統計データ検索サイト マネタリーベース、マネーストックはここから
http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html#


国民経済計算(GDP統計)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html