2014年のGDPが発表され、皆さんいろいろ分析されているのでちょろっと。やっぱり自分で作るのが一番わかりますね。ではさっそく本題。
名目GDPの推移 実額1994-2014

まず、単純に名目GDPの実額の推移です。増えてるなー、と思いますが、前年比が重要です。では前年比はと見ると
名目GDPの推移 前年比1995-2014
・・・減ってますね。一応プラスですけども。
それじゃとGDPの内訳を見てみます。
名目GDPの内訳の推移 実額1995-2014

圧倒的に消費(30万円以下の出費)が多いです。続いて投資(30万以上の支出)と政府の(消費)支出がナンバー2,3です。在庫と純輸出は1~2%くらいしかないのでどうでもいいですね。
ここからは上から3つが非常に重要とわかります。在庫や純輸出が倍になっても大したことないですから。そもそも在庫が倍になっても困りますし、輸出も売上2倍を目指すより、消費や投資、政府支出を5%だけ増やそう!って目指した方が現実的ですよね。元の額が圧倒的に違いますし。
消費300兆×5%=15兆
投資100兆×5%=5兆
政府支出100兆×5%=5兆 計25兆
純輸出10兆円×2倍=20兆
ちなみに10兆円は2007年以前の、リーマンショック以前の調子の良い時期。2014年はマイナス10兆円です。
さてさて、そして今年のGDPはプラスになっていますが、結局どれが一番貢献したの?という図です。すなわち寄与度です。
名目GDPの内訳の推移 寄与度1995-2014

みると純輸出が一番貢献していることになっていて、次に在庫ですね。。。
在庫増えても嬉しくないですよね。。純輸出は貢献してくれてよかったかな・・・
と思いきや、ちょっと待ってください。実額の推移を見ると
在庫と純輸出の推移 実額1995-2014
在庫 純輸出
11/3/31 -328 4,595
12/3/31 -1,364 -6,079
13/3/31 -1,323 -10,180
14/3/31 -3,878 -15,944
15/3/31 -1,594 -11,367
「在庫と純輸出でプラス!」って、「マイナス幅が減りました!」ってだけです@@
震災の年から、在庫も純輸出もマイナス続きです。在庫にしても震災前から減らし続けています。純輸出は震災後からマイナス続きです。
マイナス幅が減って、その分良くなって、それが今年は一番GDPに貢献したんですねー。
しかし、マイナスなのは変わりありません。
というか
「名目GDPの割合で、たった1~2%しかないものの変動分が一番プラスです!」
って、、、意味ないに等しいですね。それが在庫だったり、マイナスの純輸出だったり。ウェイトの圧倒的に高い消費、投資、政府支出がいかに停滞しているのかがわかります。
そうそう、寄与度を見ると政府支出がGDPに+の寄与をしてくれています。それはありがたいことです。しかし、そのプラス幅がやはり大きさでいう1~2%の在庫と純輸出より小さいわけです。
また、投資には政府の投資(固定資産支出)分も含まれているので、その内訳をみると
投資の内訳の推移 実額1995-2014
企業が設備に出費してくれましたようです。ほんのわずかですが。あと政府も。しかしこのグラフ上だけでもピーク時にはほど遠い回復です。特に政府の減りがひどいですね。いかに固定資産、すなわちインフラにお金をかけてないかがわかります。そして堅調な住宅購入がさらに減りました。
実額でみてもしょうがないので前年比で見てみましょう。
投資の内訳の推移 前年比1995-2014

ああ、今年は全部2013年より悪化したんですね。みんな(政府まで)投資を控えたんですね。住宅なんか急転直下です。皆買い控えたようです。
1997年の消費税、2008年のリーマンショック、2011年の震災と同じ傾向が見て取れます。翌年には回復傾向が見えるかもしれませんが、それは前年比だからです。前年との比較だから、翌年は低い年が基準になり、少々の回復でもV時回復したように見えるんです。
だから累積で見てみると
投資の内訳の推移 前年比の累積1995-2014

ひどさがはっきりくっきり浮き上がります。97年に5%に消費税増税されて、ぜんぜん浮上などしていません。むしろ悪化していって底で安定してしまいました。そこに2008年のリーマンショックでダメージ。さらに震災で落下。
震災は政治家の消費税と違って、国民の手で徐々に復旧可能ですので、だんだんと回復していくのが見て取れます。しかし、去年の消費税増税8%でまた下落しました。
97年の様子をみると、消費税はより投資を一段低いレベルに持っていくのではないでしょうか。
住宅の話でしたが、政府の固定資本、つまりはインフラ整備もひどい下落です。どんどん予算を減らしています。20年前より少ないって、20年でそれだけ余計に整備が必要なインフラが増えたと考えると、、、かなり不安です。
そして企業は投資を増やしたというより、維持している、という感じですね。投資がプラマイゼロに近いのは、ウェイトの高い企業の設備支出が、他をカバーしているから、と言えるようです。それもどうかと思いますが。
主要なGDPは-0.006%の成長率
今回の流れをまとめます。
名目GDP=消費+投資+政府支出+在庫+純輸出=A+B+C+D+E
5つの足し算
最初の3つA+B+Cで96%以上を占める(DEを+2%とした場合)。
今回名目GDPは前年比+1.4%
しかし増えたのは、1~2%しかない在庫と純輸出のおかげ!
しかも、増えたんじゃなくて赤字幅が減ったのが理由。赤字には変わりない。
ウェイトの高いABCは小さな小さなDEより増えてない。
A消費はマイナス。消費税増税で今後さらに冷え込みそう。
B投資はプラマイゼロ。アベノミクスの金融緩和はここを増やす政策だったが微動せず。中身をみると企業の設備投資(維持、メンテナンスっぽい)のおかげでプラスなだけ。住宅への支出は崩壊中。政府のインフラ投資はいまだに20年前より予算が少ない。20年放置したインフラ、余計にたまってそう。
C政府(の消費)支出がプラスに寄与。ありがたいです。ありがたいですが、100兆円規模なのに、そのプラスの増加額(寄与度)が、10兆円規模(現在はマイナス)の在庫や純輸出以下は情けないです。
ちなみに、D在庫とE純輸出の寄与度を抜くと、A+B+Cの主要なGDPは今回-0.006%の成長率(前年比)になります。ほぼゼロ。マイナスですし。
しかも名目GDPは税込みの集計なので、消費税増税してこれです。つまり税抜きで考えればどうしたってマイナス成長ですね。どう考えても増税しない方が良かったです。ありがとうございます。
今回は単純なグラフを多く使用してみました。なるべくシンプルにわかりやすい話で理解してくれる方が増えればなといいなと思いまして。納得いただけてましたら幸いです。
GDPを増やす経済対策
では2015年はどうするか、ですが、これもシンプルに。いつもブログに書いていることなのであまりくどくは書かないようします。なぜいつも同じことを書くかといえば、それが王道で、消去法で、単純にたし算で言えることで間違いがないからです。
名目GDP=消費+投資+政府支出=A+B+C
この3つでGDPのほとんどを占めるので、ABCを増やせばいいです。
A消費を増やしたいなら減税ですね。単純。
B投資を増やしたいなら投資減税や補助金ですね。単純。
C政府支出を増やしたいなら増やせばいいです。単純。
また、そうして企業が儲けても所得が向上しないと意味ないですから、給与UPしたり、新規に雇用したら、派遣を正社員にしたら減税とかにしてもいいですよね。
おしまい。
しかし財源は?
経済対策の財源
政府はいま金融緩和と言って、お金を2012年から大量に刷っています。このブログでもいつも書いていることですね。刷る業務自体は日本銀行がやってまして、そこから日本中にお金が出回っていきます。刷ったお金はマネタリーベースと呼ばれ、カウントされています。それが以下です。2012年まで100兆円だったのが、2014には300兆円です。たった2年で200兆増えました。最近も毎月刷られています。それが以下。
名目GDP、2014年は489兆円ですから、大体500兆円として、510兆円になればもうそれだけで2%成長達成なんです。いま月に少なくとも4兆刷ってるんです。それを財源に回せば確実に経済成長、デフレ脱却です。
しかし、使わない。事実、安倍政権、アベノミクスはそんなことすら達成できませんでした。いや、しませんでした。200兆のたった5%、10兆円でも国内予算に投じればよかったのに。
何に使っていたかといえば、自社株の買い戻しならぬ、国債の買戻しに。そして株を買って運用してるみたいです。前者はいわゆる金融政策ですが、後者は。。
それが昨今の株高です。しかし企業業績や民間所得が回復しているわけではないので砂上の楼閣です。アベノミクス当初は「第2の矢」の財政出動でそれを謳っていて、その期待から一気に株価が上がったのですが、もうそんな機運はどこにもありません。良くなる話、要素を聞きませんから@@
まぁ突っ込み所(文句)はおいといて、とりあえず財源はありますよ、という話です。
というわけで言いたいのはひとつだけ。
「国民のために金を使え!」
それだけです。
あと少しだけ続きます。
最大の問題は誤った常識と思い込み
つまり、バブル崩壊以後、日本の景気が25年もずっと悪いのは、お金の問題ではありません。「お金がない」「国の借金が大変だ!」と国民総出で思い込み、その中で育った政治家もやはり「お金がない」「国の借金が大変だ!」と誤った常識が正しいと思い込んでいることです。もちろん、記者たるマスコミまで乗っかっていることもありますし、そもそも「国の借金」などという言葉を使い出したのはこの国の財務省です。マスコミも財務省も50年以上昔からずっとそんなことをやっていますから筋金入りです。50年は一人当たりの国の借金が90円~!とか。
国の借金などどうでもいいです。お金を刷って買い戻せますし、現に安倍政権が金融緩和で猛烈に減らしていることこそ、その証左です。それに先日、24年間、日本は純資産額で世界一との報道がありました。
日本が24年連続で“世界一金持ち”に!日本の対外純資産が過去最高を更新し366兆円余 世界最大の債権国!!
http://nstimes.com/archives/12042.html
普通は負債だけでなく、資産も見ますよね。そして「対外」純資産ということに注意してください。つまり、外貨でいくら持っているかなんです。どの国も、自国通貨でどのくらいのお金を持っているかなど気にしていません。自国通貨など刷れるからです。
政府がそうして支出を増やせば、三面等価の原則の足し算から、GDPは確実に増えます。A+B+Cですから。
GDP=消費+投資+政府支出
ですから、問題は誤った常識とそれを正しいと思う思い込みと言えます。そして経営者の皆さんはわかるかと思いますが、お金をどう使うかの方がはるかに重要で難しいです。
しかし今の政府は楽ですよね。お金を使えば景気が良くなります。そしてお金の使い道がたくさんあります。全国のインフラ整備に復興、オリンピック。教員が足りないのであれば教育予算を。介護業界の賃金基準が低いのであれば増額を。エネルギー問題があるのならそのエネルギー開発に投じる。消費税で国民から回収するのではなく減税する。補助金も助成金も増やす。そうして景気がよくなれば、連動している失業率や自殺死亡率も低下すると思います。
だから問題はお金の問題ではありません。問題は誤った常識と思い込みで、重要なのはお金を使い道です。ですから、議員に近しい方はもちろん、話題が出たときに、隣の人から、そのデマを解消してあげてください。
「え?歳出削減は違うよね?お金使わないと」
「え?三面等価の原則ってわかる?足し算だよ?」
「え?お金はあるよ?2年で200兆刷ったけど?」
テレビや新聞の世間への刷り込み回数には勝てないでしょうが、端的に事実を指摘してあげてください。
◆ よかったらシェアやツイートお願いします ◆
ランキングはクリックいただけると多くの人に読んでいただけるようになります。
人気ブログランキングへ
※ 今回私が使った資料はここからだけです。
内閣府 年次GDP実額
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$graphwnd