物価が上がれば失業率は下がり、物価が下がれば失業率は上がります。」
さて先月は
4月末に発表された物価と失業率から最新のフィリップス曲線を作成しました。
結果からいうと相変わらず変化なしです。好転材料がないですから当然といえば当然です。
完全失業率
2月 → 3月
3.5% → 3.4%
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/
たったの0.1%ダウンです。誤差みたいなものです。
ちなみに男女で分けると男性は4%を超えます。
ではまず、上記の3.4%が高いのか低いのか、全体的な長期の推移を見てみましょう。
(クリックすると拡大します)
消費者物価指数は1970年台から90年にかけて急上昇しています。そして鈍化。これではちょっとわかりにくいので、失業率はそのままタテ、物価はヨコにしてグラフを作ります。それが以下。
すると一目瞭然。一気にわかりやすくなります。このわかりやすさがフィリップス曲線とわざわざ命名された理由です。
赤線は4次関数で作った近似曲線です。4次にした理由は曲線の形が綺麗だったからです(笑
青い実際の点の形を見るに直線(1次関数)ではないですし、2次関数もちょっと合わなかったので。3次関数は形がちょっと汚かったのでスルー。理由はそれだけ。
何にせよ、相関係数が高いことから「物価が上がれば失業率が下がり、物価が下がれば失業率が上がる」という一致した動きをしていることが確認できます。
ちなみに相関係数は70%以上あれば強い相関があると言えます。20%以下は誤差。
さて、1971年から2015年と40年以上の長期データで動き方が見て取れました。今回の失業率3.4%はどのへんかというと、、、高さ的にまだ真ん中あたりにありますね。赤い線を見ると日本の失業率は本来2%くらいまで下がるようです。
最近の動きが見えないので拡大してみます。
すると、左から右へ、物価は上がっているのに失業率はほとんど下がっていないのがわかりますね。ちなみにヨコ軸で1%から2%に急に移動しているのは、2014年4月に消費税が5%から8%に増税されたからです。物価は急激に上がれど失業率は下がらず、です。
増税が失業率を下げる材料にならないのは当然です。なぜ世の中の物価が上がったからと、人を雇う会社が増えるのかと。むしろ景気が悪化して厳しくなりそうだから、人の雇用を抑えそうです。
それに、赤い線を見るに、物価が2%上がっているならば、本来失業率は3.4%どころか、3%を切っていなくてはおかしいです。増税による、失業率にとっては無意味な物価上昇だったと言えます。失業している弱者にとってほど物価が上がって苦しくなっています。
ちなみに「物価ばかり上がったって嬉しくない!」と思うかもしれませんが安心ください。給与は物価が上がる以上に上がります。以前の記事をどうぞ。
「物価が上がると借金が減る」
http://ameblo.jp/tasan-ame/entry-12010146682.html
では、増税によらずに物価を上げるためには?
実は物価は失業率だけでなく、日本の名目GDPにも比例しています。

綺麗な右肩上がりです。名目GDPが増えれば物価が増えるのが見て取れます。逆にいえば名目GDPが下がれば物価も下がります。
ここで名目GDPは中学校か高校で習った三面等価の原則の足し算で表すことができます。
名目GDP=消費+投資+政府支出
名目GDP=A+B+C
見ての通り、名目GDPはAかBかCが増えれば増えます。
だから、Aを増やしたいなら減税ですし、Bは今国債金利がほぼゼロなのでこれ以上下がりようがなく、増えません。流動性の罠というやつです。今の日本に金融緩和が効かない理由です。ですからCの政府支出を増やす財政出動が名目GDPを増やすのに有効であると言えます。
「政府は減税しろ!」「予算を減らすな!」
しごく当たり前なこういった言葉が今の日本に必要なのではないかと思います。90年からずっと人災不景気が続いているので歴代の総理大臣に、それに全ての議員にも理解してもらいたい、、、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
そういえば最近議員の足きりテストを設けろ!みたいなニュース記事も見たような。
まずまわりの方が勘違いなされていたら皆さんもぜひ言ってみてください。
「え、違くないですか?経済ってA+B+Cの足し算ですよね?」と。
ちなみにA+B+Cどころか、名目GDPの中身は具体的にはこちらで参照できます。
国民経済計算(GDP統計)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
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