では10月10日に発表された9月までのマネタリーベースとマネーストックです。
はい。相変わらずぺったんこです。マネーストックがぺったんこということは、相変わらず民間にお金が渡っていないということです。金回り(売買の回数)、信用創造も効いてないということです。あ、もちろんゼロということではないですよ?その最終的な結果としてのマネーストックが、図からわかるように、相変わらず底辺レベルの前年同月比からの増え具合ですね、というそれだけの話です。3-4%、ですかね。赤いバブル崩壊前の時期に戻っていただきたいものです。ずっと底辺で20年の不景気が30年になりそうですね。
それはそうとヨコ軸のマネタリーベースもとい日本円の総額も、前年同月比では確かにまだ30%以上増えているのがわかりますが、増えるペースがだんだんと落ち込んでいるのがわかります。これは政府の子会社たる日本銀行が、お金を刷るペースを低下していることを示しています。別にいいんですけどね、お金を刷って置いておくだけじゃ、景気は良くならないんですから、マネタリーベースとマネーストックは関係ありません。
あ、本末転倒に聞こえるかもしれませんが、このグラフを作っているのはリフレ派と言われる現在の経済政策の決定に影響を持っている経済学者らが「お金を刷って置いておくだけで景気が良くなる!」と言っているからです。えら~い?(えらくもないけど)経済学の先生すら言っています。
ですが、非常に残念なことに、上記を見れば一目瞭然。相関がございません。バブル崩壊後でぺったんこです。いきなり折れ曲がっています。他の相関ある普通の経済指標はバブル崩壊があろうと普通に連動してるわけで、落ち込みはすれどきちんと相関があります。それを、リフレ派の方々は「お金を刷れば景気よくなるの~!」と言っているわけですね。
「バブル前後で傾きがわかったんじゃないの?」と譲歩してあげてもダメでした。それは擬似相関で、時系列データなので時間の影響を排したりした程度で「これは相関がありません」「影響あるように見えるのは誤差の範囲」「気持ち影響あるような?(微風)」というものでした。
という記事を以前書きました。興味のある方はこちらをご参考ください。
金融緩和は物価に影響を与えるとは言えません
閑話休題。話を戻します。
以上、そんな「お金を刷って置いておくだけで景気が良くなる!」といった虚言を砕くために上記のグラフを作っております。
何度もそこかしこに書いたりはしているんですが、景気の回復をさくっと書くと、ようは皆さんの所得が伸びればいいわけです。
民間の平均給与所得は名目GDPの伸びに比例します。だから名目GDPを伸ばせばいいわけです。
名目GDP=消費+投資+政府支出
名目GDP=A+B+C
これは統計的に成り立っている分配面のGDPの式です。三面等価の原則の式のひとつですね。これを式変形すると(政府の統計にもあります)、
名目GDP=民間支出+政府支出
名目GDP=A+B
ちなみに名目GDPはすべての企業の付加価値(利益の変形)の合計です。そして右辺は支出なので、ざくっと書くと
利益=支出
となります。何もおかしくないので慌てないでくださいね。あなたがコンビニでジュースを買えば、あなたにとって支出でも、コンビニにとっては利益になる、というそれだけの話です。だから「金は天下のまわりもの」で、右辺の支出が伸びれば伸びるほど、名目GDPが増え、それが所得の向上につながり、景気が良くなる、というわけです。
しかしだからといって、民間支出、、、「個人や企業にお金を使いなさい、景気が良くなるから。巡り巡ってあなたも良くなるから」と言っても誰も使いませんよね。個人や企業レベルでは正しくとも、国レベルで考えると矛盾してくる、このようなこのような状況を「合成の誤謬」と言います。
ですので、景気が悪いときには消去法で政府が支出をするしかありません。政府が支出をすれば、上記の式から100%景気が回復します。なぜなら、政府が民間から買い物する量、額を増やすことにより、民間にお金が渡るからです。復興やインフラ整備、軍需品の更新や宇宙開発、環境対策機器の開発、研究補助、介護業界や医療業界の雇用補助に所得向上など、支払うべき先がたくさんある時期には、政府支出は大変有効ですね。支出先(特定業界優遇)に困りません。
景気回復するかどうかわからない、お金を刷って置いておくだけのリフレ政策にすがる必要などどこにもありませんね。ですが、翌年の公共事業関係費が1兆円削減とか最近ニュースを読みましたが。。。
以上の話はA+B+Cの足し算の消去法から来てるだけなのですが、大変残念な政治家、官僚、マスコミ、教授、評論家が多い国です。
支出するにしろ、財源はどうするのか?とありますが、日本の国債は現在スイスと世界最低を争っており、つまりは世界一安く資金調達できる国であります。経営者の方なら「今お金が必要ならば、今借りずしていつ借りろと?」という感じですよね。
また、文字通り政府の子会社たる日本銀行ではお金を刷って置いているだけです。それ、使えばいいですよね?
…。
ちなみに坂本竜馬に三岡八郎らも、明治維新の原動力として、太政官札、、、お金を刷って、それを財源にしました。それで支出の90%をまかなったそうです。
さて、それでも平気なのに、今度はハイパーインフレの心配をする人がいるかもしれませんが、政府支出の額を調整して、名目GDPが前年比○%以内に収まるようにすればいいだけですよね?以上。。
また、そんなある程度のインフレならば「1ヶ月であらゆるものの値段が10倍になっちゃう!給料も同じペースで上がるけど、早く使わないと大変!」なんてことにもなりません笑
そんな状況になる前に、それこそそのときに消費税なり上げて、政府支出だけでなく、民間消費を押さえつけ、名目GDPを前年比○%に押さえればいいだけです笑
なお、物価の上昇より給与の上昇のがペースは速いので、インフレ(所得上昇>物価上昇)はいいことなんです。デフレはその逆で、所得下落>物価下落だから悪いんです。
売値100円の原価80円の場合、利益は20円です。
5%物価があがると
売値105円に原価84円です。利益は21円です。
このように、物価上昇は基本的には国民を豊かにするんですね。物価下落はその逆です。
ですが、消費税のように、給与が上がる理由がないのに、国民にとっては強制的に物価だけ上げられたら、当然、買い控えが起きて、民間支出が落ち込みますね。
改めて
名目GDP=民間支出+政府支出
名目GDP=A+B
消費税を上げるということは、民間支出を押さえつけることであって、名目GDPを増やしたいのであれば、逆効果ですね。景気を上げようと政府からの支出を増やしている状況だとしたら、政府への集金を増やしてどうするのだと^^;
バケツに水を注ぎながら、より強力なポンプで水を吸上げているようなものです。
それで財政再建したい(政府支出を減らして、政府の借金もとい国債を減らしたい)というのはチャンチャラおかしいと言えます。まさにマッチポンプのお笑い劇場です。しかし、名目GDPは自殺者数や失業率にも影響するので笑えません。つまり、現状は「人災の失われた20年」というわけなのです。
…まだ書けるといえば書けるのですが、長くなったのでこのへんで^^;
いつも同じことしか書いてないといえばそのとおりなので、非常に困る、しかし同じ話で充分通用してしまうので、それはそれで楽(つまらない)今日この頃です。
ではでは