タルイ工房 新ネコ日記

タルイ工房 新ネコ日記

墨アーチスト・イラストレーター垂井ひろしの日記です。ネコの観察日記ではありません、念のため。


府中市美術館で開催中、
長沢蘆雪展を見に行ってきました。



早く見に行きたかったのですが、

モタモタしてたら

会期後半となってしまいました。



うららかな陽気のもと、

京王線の特急で府中へ。

そして府中駅からテクテクと20分弱、

府中市美術館へ。



開館時間の10時に

5分ほど遅れて到着すると。。。


すでに長蛇の列!


マヂか!



どのくらい待つのであろうか?


はるばる遠くから来たので、

見るのを止める!

別の日に出直す!

という選択肢はありません。


腰を据えて

待つことにします。








待つこと55分、

ようやく入場。


この美術館はしっかりと

入場制限をしていたのでした。


なので、

館内はめちゃくちゃ混んでいる

ということはなく、

しっかり作品を見ることができました。


私、堪え性が無いので、

作品の前に人垣ができるほどの

混みようだと

もう作品を見る気力が

なくなってしまうのであります。



外でたっぷり待たされましたが、

適切な入場制限だったと思います。









長沢蘆雪は

江戸時代中頃に京都を拠点として

活躍した画家で、

円山応挙の弟子です。

なので円山派ということになりますが、

円山派の中でも

異端な存在と評されています。


応挙の精密で写実的な描写を

ベースとしながらも

そこから逸脱し

技術に裏打ちされた崩し、


「奇想」

常識にとらわれない

自由な発想

大胆で奇抜な構図


「かわいい」

無邪気でとぼけたユーモア


というのが長沢蘆雪で、

そんな蘆雪の作品が

現代でも大人気であります。





(以下の画像では

奇抜で大胆な構図は分かりませんが。。。)


紀州 無量寺 襖絵(部分)








紀州 無量寺 襖絵(部分)





あらためて、

和紙に墨は

本当に凄い!

本当に素晴らしい!



250年くらい前の作品ですが、

ぜんぜん褪せてはいない。


2026年の今も

蘆雪の筆致が息づいている。

生々しいのです。










デフォルメされていて

すっとぼけた表情の

何とも言えない犬さん。












この、手数を抑えて

ラフな感じに描いた作品と

円山派らしい

精密で写実な作品との

極端な対比が素敵です。



江戸時代に、既に、

「ゆるかわいい」が

あったのですね。



 






蘆雪の

ラフな筆で描く

何ともとぼけて

かわいい犬の絵は


「蘆雪犬」

と呼ばれています。




私も蘆雪犬を描いてみました 笑





展示の最後に

写し絵の体験コーナーがあります。

筆ペンなので、

濃淡が出せませんが。









やはり、
肉筆原画を
間近で見れる。

これは本当に貴重です。

繰り返しになりますが、
筆致が息づいているのです。


眼福眼福。


デジタル作品や
生成AI作品では
こうはいかないですよね。


眼福眼福。






先日、

京王線の府中に行く機会があり、

天気も良かったので、

ちょっと足を延ばし
かなり久しぶりに国分寺を
訪れてみました。

私は19歳から14年間、

国分寺に住んでいたのです。



あらためて言うまでも無いですが、
府中は武蔵國の国府があった地、
国分寺は武蔵國の国分寺があった地、

であります。



奈良時代に聖武天皇が
仏教で国を守り

世を安定させようと
全国の國、それぞれに
国分寺と国分尼寺を

建立するよう命じたのが

「国分寺国分尼寺の詔」


中学高校の授業で教わりました☝️





というわけで、

府中と国分寺を結ぶ

国分寺街道をテクテクと北上。






東京農工大学農学部



バンドの結成時メンバーでもある

幼馴染の友人が行っていた大学。


国分寺のアパートから自転車で

何度かここの学食でお昼を食べたなぁ。


おっと、ここの学祭でも

何度か我がバンドのライブを

やらせてもらったのでした。


懐かしい。





引き続き、

国分寺街道を北上。

 

明星学苑の前を通過。




東元町三丁目交差点を左折

元町通りを西に進む。


元町通り、

こんなに細い通りだったか。




しばらく歩くと


「お鷹の道」の入り口です。




変わってないな。


でも、水量が少ないのが気になる。




「お鷹の道遊歩道」は、

国分寺崖線の湧水による

小川に沿った遊歩道で、


江戸時代、この辺りは

徳川御三家、尾張藩の

御鷹場(鷹狩り場)であったので

お鷹の道と呼ばれるようになりました。



お鷹の道の小川は

国分寺市内を流れる野川に合流、

野川は三鷹市、調布市を流れ

狛江市で多摩川に合流、

そして東京湾へ流れ込みます。






この遊歩道に面したアパート

「コーポお鷹の道」

に住んでおりました。



もう何十年も経つのに

ぜんぜん変わってない。


あぁ懐かしい。




お鷹の道の小川の水は

本当にきれいで、

私が住んでいた頃から

ホタルの保護活動が行われています。


現在もホタルの幼虫のエサになる

カワニナの保護活動が続いているようです。




お鷹の道に住んでいた

ずいぶん昔のこと。


ある日、風邪を引いて熱を出し、

平日の午前中、寝ていると


ワイワイガヤガヤ

何やら外が騒がしい。


布団の中で

聴き耳を立てていると

どうやら遊歩道に

たくさんの子供たちと

引率の先生が来ているようだ。


「では、放流します!」

とか言ってる!


どうやら子供たちが

お鷹の道の小川に

何かを放流したようだ。


いったい

何を放流したんだ?



熱と薬で

ぼんやりした頭の中で

考える。


おいおい、まさか!

シャケの稚魚を

放流したんじゃないだろうな!


シャケなんか放流したら

海に戻って大きくなって、

1年後くらいに

お腹を赤くした大きなシャケが

遡上してくるぞ、

お鷹の道に!


お腹を赤くした

大きなシャケが何尾も

のたうつように

お鷹の道に!


大変だー。


はぁはぁ。。。

ゼェゼェ。。。





風邪が治って元気になって

後日知ったのですが、


ホタル保護活動の一環で、

小学生がカワニナを放流したらしい。


なーんだ。

シャケじゃなかったのか。。。





お鷹の道の遊歩道は

350mほど続きます。




小川の上流に向かって

ズイズイと進んで行くと



真姿の池があります。




真姿の池伝説は

省きます。



この辺りを

「お鷹の道真姿の池湧水群」といって、

国分寺崖線と呼ばれる連なった崖の

崖下から良質な水が湧き出ています。


なんと!

環境省選定の名水百選に

選ばれているのです。





お鷹の道に住んでいた頃、

ボトルで水を汲んでいる人を

時々見かけました。



でも最近は、

やはり湧き水の水量が、

減ってきているようです。





お鷹の道を更に西に進むと

武蔵国分寺があります。


観光客向けのカフェも出来てて

ちょっとビックリ。

 




武蔵国分寺跡


奈良時代、聖武天皇の詔で建立された

武蔵國の国分寺の遺構です。


金堂、講堂、七重の塔などを備えた

大伽藍だったそうですが、


鎌倉時代末期、

鎌倉を目指す新田義貞率いる討幕軍と

鎌倉を守る北条氏の幕府軍が

府中辺りで激しく激突

(分倍河原の戦い)

武蔵国分寺も戦乱に巻き込まれ

焼失したと言われています。







 

武蔵国分寺の楼門



武蔵国分寺跡のすぐそばに

再建されたのが

真言宗豊山派の武蔵国分寺です。


室町時代から再興され、

江戸時代に現在に伝わる伽藍が

整ったそうです。




さて、昔からあまり変わらない

お鷹の道、真姿の池、

武蔵国分寺ですが、


これより激変したと聞いている

国分寺駅北口に向かいます。


南口は私が住んでいた頃に

駅ビルができたり

大きく変わったのですが、

その後、

北口側も激変したそうなのです。




私が国分寺に住み始めた

1980年代、

国分寺の街は、

国分寺駅と中央線によって

南北に分断されていました。




私が住んでいた南側から

駅の北側に行くには、

入場券を買って駅を通るか、

(貧乏学生にその選択肢は無い)

駅から500m東側で中央線をくぐるか、

やはり駅から500m西側の

この花沢通りの橋を渡るかでした。



80年代末、

国分寺駅に南北自由通路ができ、

劇的に便利になったのであります。

\(^o^)/




橋を渡り、国分寺駅北口に向かうと



今も健在、

「だんごの輪島」


元プロボクシング世界チャンピオン

輪島功一さんのお店です。


国分寺に住んでいた頃

美味しくて何より安いので

時々買いに来ました。


お店に輪島さん本人がいることもあり、

穏やかな表情で

ニコニコしている輪島さんですが、


お釣りの計算をする時、

いきなりギロリと

鋭い目つきになるのが

印象的でした 笑。

怖いです 笑。




さて、やってきました国分寺駅北口。



うわっ


駅前に高層ビルが建っている!


ツインタワーかっ





(写真: 嘉多山信)


ありゃ〜、

なんだ!

このだだっ広い駅前ロータリーは!



かつての北口といえば

ロータリーといえるほどの広さは無く

ギリギリ、バス乗り場と

タクシー乗り場があったくらいで、

北口は、たくさんの小さなお店が

ひしめきあっていたのです。



あの喫茶店も、 

あの書店も、

あの床屋も、

レコードと楽器の新星堂も、

美大生のよりどころ

画材屋の美正堂はなこ も、

消えてしまった。



時が経ったのだなー。




北口の変貌ぶりに驚愕した後、

気を取り直して

南口に戻ります。





バンドの練習の後

酒を飲むんじゃなくて

ガッツリ定食を食べに行ってた

居酒屋の赤城は無い。





おっ、



珍屋(めずらしや)は健在!

LPを買ったもんです。




おっ



ほんやら洞も健在!


中山ラビさんは亡くなりましたが、

息子さんが継いでいるそうです。


ほんやら洞って、

つげ義春さんの作品

「ほんやら洞のべんさん」が

由来なんだそうです。


そーだったのかー。

この度、初めて知りました。




散歩も疲れてきたので、

国分寺駅から

中央特快で帰ることにします。

国分寺から新宿まで

18分というのに

またしても大きな驚き。


かつて特別快速は

国分寺に停車しなかったし、

新宿まで30分かかりましたからね。



以上、

変わらないお鷹の道と

激変の国分寺北口

でした。



「1975年のケルン・コンサート」

という映画を見た。




以下、鑑賞事前情報。


1975年 西ドイツのケルンで、

天才ジャズ・ピアニスト

キース・ジャレットの

コンサートが行われた。

ピアノによるソロで

完全即興演奏であった。


この夜の演奏は録音され

「ザ・ケルン・コンサート」という

ライブアルバムとしてリリースされ、

なんと!これまでに

400万枚のセールスを記録し、

世界で最も売れた

ジャズのソロアルバム、

ピアノのソロアルバム、

と言われている。

(今は、サブスクでも聴けますよ)



で、このケルンでの

伝説のコンサートを企画し

実現させたプロモーターが

な、なんと!

当時、まだ18歳の女子学生

ヴェラ・ブランデス



この映画は

伝説のケルン・コンサートの

舞台裏を奔走し

幾多の苦難を乗り越える

18歳のプロモーター、

ヴェラを主人公に描いた

実話ベースの

青春音楽映画である。




ねっ!

これだけでも、

とても見たくなる映画でしょ。


ワクワクします!



というわけで、

これは是非見たい!と思い

近場の映画館じゃやってないので、

電車を乗り継いで30分、

見に行ってきましたよ。





で、どうだったかと言うと、


ヴェラがミニスカートで

常に元気いっぱい走り回っていて、

スリリングで

飽きさせない映画だった。


フリーランスの

ジャズ・ジャーナリストが

蘊蓄を語り、解説してくれるので、

ジャズの歴史とか、

即興演奏のこととか、

キース・ジャレットがどれだけ凄いかとか、

分かりやすく良かった。




けど、

どうも腑に落ちない点がいくつかあって

イマイチ、

ヴェラに感情移入できない

というか、

話に引き込まれていかなかった、

私はね。



ヴェラが16歳にして

プロモーターを始めるきっかけの

描かれ方が弱いというか、


どんどん電話をかけまくるんだけど、

プロモーターとして成功例、実績を

重ねていく姿は描かれてなく、

いきなり女子学生プロモーターとして

雑誌で特集記事を組まれる。


プロモーターとして

成長していくところを

描いて欲しかった。



ヴェラが、キース・ジャレットの

即興演奏を聴いて感動し、

ケルンに呼ぼう、と考えたけど、

交渉の苦労とかは描かれてなくて

キース・ジャレットはケルンに

簡単に来てくれることになってる。


そして、

どうやってチケット完売し、

1,000人以上の観客を集めたのか、

プロモーション活動の奮闘ぶりも

あまり描かれていない。

ある地元ラジオ曲に交渉して

番組で宣伝してもらっただけだ。



もしかして、もしかしたら、

この映画はもっと長い作品で、

日本で上映するために

だいぶカットして

2時間にまとめた???


それなら、少しは腑に落ちる。




コンサート当日会場に

予定していたピアノが用意されてなくて、

違うピアノで演奏した、

というエピソードは有名で、

直前になっての舞台裏の

ヴェラと仲間たちの諦めない頑張りは

スリリングで目を離せない。



でもね、

クライマックスの

キース・ジャレットのコンサート。


もちろん全編とは言わないけど

満員のホールの静寂から

演奏が始まるところ、

そして、演奏の佳境から

エンディング、

拍手喝采、スタンディングオベーション。


当然、キース・ジャレットの演奏が

聴けるものと思ってた。


まさか、

関係あるとは思えない

歌モノのポップな曲が流れて、


私は、土俵の外に吹っ飛ぶくらいの

肩透かしを喰らわされた。


マヂかっ?!


キース・ジャレットの音源、

使用許可が得れなかったのか?


聴きたい方は

CD買ってくださいなのか?



もちろん、

ヴェラの奮闘を描いた映画だけど、

最後にキース・ジャレットの演奏が

使われないで、

コンサートは大成功しました!

万歳!涙涙の大盛り上がり!

にはならないよ、

少なくても私は。



なんだかなー、

腑に落ちないなー、

いいお話なのになー。


電車を乗り継いで30分、

おウチに帰ったのであった。



※ あくまで、私個人の感想です。

レビューを見ると大絶賛してる方もいるので、

評価の分かれる作品なんだと思います。