四角大輔さんの『自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと』を読んだ。
もうすぐ60代になろうというアラ還が何をいまさら20代の本をと思われそうであるが、なかなかこの本は熟年になってから読んだ方がよい内容であった。
著者の四角大輔さんは、平井堅、Chemistry、Superfly、絢香などをヒットさせたレコード会社の売れっ子プロデューサーから、好きなフライフィッシングのためにすべてをリセットして、ニュージーランドの湖畔で半自給自足生活をしながら執筆などをされている。
そんな四角さんが、自由になるために、物やお金、働き方、生活スタイルや心構え、人間関係で捨てたほうがよい50のことをあげている。
一言でいえば、新しい人間関係、新しいモノ、新しい価値観、新しい世界、と多くのものを次々とかき集めてしまいがちだが、自分に必要がないと思ったものは、ノイズにしかならないので潔く捨てること。捨てれば捨てるほど、視界と思考からノイズが取り除かれ、本当にやりたいことが明らかになるということである。
てるさんも高校生になったことから色気が出て釣りから遠ざかり、いろんな遊びをやってきたが、今は釣りだけでいいと思っているし、釣り以外の楽しみはお金も時間もかけたくないと思うようになった。仕事も昇進昇格よりも、楽しんでコミットメントすることが大切だと思うようになったし、人づきあいも本当に大切な人以外とのつきあいはいらない。
しかし、どれだけアドバイスしても20代でこの境地にはなれないと思う。本当に大切なモノ・コトは熟年になってわかるものである。
また、この年になると、老後のお金の不安も出てくるが、こんな一説があって、考えさせられた。
『ぼんやりとしたお金の不安の正体は、決心して買った高価なモノというよりも、なにを買ったのかすら思い出すことのできないほどの小さな出費の積み重ねだ。
ぼくたちは、本当に必要なものへの出費は先送りしがちになる。
その一方で、たいしていらないモノや短時間の喜びのために、惜しげもなく小銭を放出してしまう。』
たしかに小さな出費によってお金から自由になるチャンスを奪われているなあ。100円単位のモノにでも本当に好きか、必要かの判断基準を常にもって消費行動をしたいものである。
そんなわけでこの本は熟年の方にこそおすすめの、なかなかよい内容であった。