親友が天使に見えた日の話。

 

私の親友のお父様は

50代で脳の難病を発症し

徐々に身体の自由がなくなり

やがて自発呼吸も

難しくなって行きました。

 

親友は、二人の時には率直に話してくれるものの、ご自宅に遊びに行ってもあまり介護の様子見る機会は少なくその様子のほとんどを彼女の話から伺っていました。当時は、病名を検索するという便利な時代になる過渡期でしたのであえて調べませんでした。

 

その日も彼女の部屋でお茶をいただいたりおしゃべりし、私が帰るところでちょうどお父様がデイサービスか通院から親友の兄の運転する自動車で帰宅されました。

 

後部座席に乗車していたお父様は以前からスリムでしたが相変わらず。黙っていればご病気とは思えない。けれども体を扉側に向けるのがやっとで、そこに運転席にいた兄より早く妹である親友が駆け寄り、父上の腰に両腕を回して抱き上げ、立ち上げさせました。寄り添いながら、杖をつくまだ若い父上を玄関まで連れて行きました。

 

 

運転席から降りてきた兄上がそっと私に自白しました。

「俺はちょっと苦手っていうか、怖いんだよね」

少しわかる気がしました。長子(長男・長女)って、

弱る親や祖父母の今の姿を受け入れることが

下の兄弟姉妹よりへたではありませんか?私はそうです。

 

親友が父上を抱えるその場面を思い出すたび、

今も西洋美術の宗教画の聖母子みたいな

神々しさを感じずにはいられません。

聖母というか、天使というか。

宗教や美術にうといので、イメージですUFO

 

 

今では「ヤングケアラー」という言葉もあるようです。

彼女のように

自動車を運転できる兄がいるとは限らない。

ただ一人、複数の家族の面倒を

見ている子もいると聞きます。

身近な人が、せめて挨拶でもいいから、

何か少しでも気にかけて、時に力になれる

そんな助け合いが

これからの時代にもできるといいです。

 

 

 

プロフェッショナルの天使たち

 

この親友のエピソードを思い出したのは、

天使たちに救われる側になっていて

まさに今病床にいるからです。

 

と言っても、やり方次第では日帰りでも出来る

抗がん剤治療の何回目か。

毎回入院で受けており、

慣れた場所となりつつある病院の大部屋です。

 

入院は、看護師さんたちの神々しさに触れたり

目にする機会がたくさんあります。

なるべく他の病床のカーテン内の会話は

耳を向けすぎないよう気をつけているつもりですが。

そこにも新たな学びが多いです。

 

一人一人の状況に合わせて個別に、

交代でも連携をとって継続一貫して管理することはもちろん、

おそらくは医療の範囲外に近いのでは

とこちらがためらう質問も「どうぞ遠慮なく」と聴き、

必要な時にその情報を駆使して

医療上や闘病生活上の問題の

打開策を提案してくれたり。

 

ここで見かける理学療法士さんも

若い方が多いけれど素晴らしい。

 

私の職場には元介護士の後輩も複数います。

若くして看護師・介護士・理学療法士など

病める人や弱った人も含めて

誰かの為に働くことを選ぶ。

 

自分のこれまでを考えると

その発想は少なくて。

 

人の優しさの深さは

年齢じゃないし、

なかなかそうある人に

なれるものではありません。

 

 

きっと全ての人が天使

 

毎回新たな学びがありました。

今回はシャワーの時。

 

主治医の許可があれば、30分シャワーを使えます。

同時に2人が隣り合わせの個室で

個別に浴びることができます。

 

本日お隣さんは、看護師の介助を必要とする大

先輩のお姉様でした。

看護師さんの声がけのタイミング、介入の度合い、

患者さんの私への気遣いと

(個室の構造上、彼女が出るまで私は出られないため、「ゆっくりどうぞ。私もまだまだかかります!」と伝えたところ、進捗状況をさりげなく独り言で実況)

 

何より、

未来の自分にも訪れるかも知れない場面を

予習させてもらえたことに

胸が熱くなりました。

この気持ちをすぐに感謝にできなくて

こうして書いて思い出して、今感謝しています。

 

 

考えの違う人、ペースの違う人、

患者、高齢者などを

場面によっては

疎ましく感じることもある現代人。

いたましい事件や犯罪の

報道を見ることもあります。

 

誰もが大抵何かにせかされ、

追われ、時に追い詰められて

見えなくなっている。

私も病気になる前も

病気になってからの今でもそうです。

 

そんな毎日の中でも

ちょっとした時に

あなたを待たせる人、

ペースの違う人に出会ったら

その人は実は天使天使かも知れない

考えてみるのはいかがでしょうか。

 

そしてあなただって

知らない誰かにとっては

ある瞬間には天使天使かも知れない。

 

信じるか信じないかは

あなた次第ウインク

 

神様がいようといまいと、

神様みたいなことをできるチャンスを

逃さないくらいに自分のコンディションを整えたいものです。

まずはできることからキョロキョロ

 

人間は誰でも少し天使だし、

他人は自分に生まれなかった自分

かも知れません。

 

思いがけずこんな天使も現れたり(^-^)