パリから住んでいる地方都市へと向かうTGVに乗る時、重いスーツケースをひょいと持ち上げてくれた人がいたのでお礼を言おうとして見上げると…M君(25歳)でした。

M君は1年前に同じ趣味のスポーツクラブをやめて、それ以来会ったことがありません。
私のことを冗談まじりにナンパしてた(というか、彼はちょっと興味のある女性は皆ナンパしてたけど、根が良い人だし、ナンパは日常的褒め言葉かわりという感じで笑わせてくれるので人気者でした)面白い男の子でしたが、珍しい病気にかかっていることが判明し、大学院の勉強が忙しいこともあってクラブを辞めたのでした。

病気のせいで激しいスポーツはできないけれど、きちんと薬さえ飲めば全く普通に生活できると聞いてまず安心。彼は無事に経済学部の修士号を修了して大手の銀行のパリ本店に就職し、私と同じTGVの同じ車両で出張先に向かうということでした。
彼が先に乗っていたり、違う車両だったりしたら会えなかっただろうから、フランスに戻ってすぐのびっくりする偶然です。

彼はネクタイ、スーツ、コートというビジネスマンの格好で、私が知っていたラッパー風ファッションの男の子はもういません。

結局TGVに乗っている3時間半、ずっとおしゃべりしてしまったのだけど、仕事の話をたくさんする彼に、日本の大学時代の同級生の男子達を思い出しました。

就職した途端に会社人間になってしまった元同級生の男子たちです。

M君はこれからエリート銀行マン街道まっしぐらを目指すよう。

やっぱり厳しい世界のようで、M君は自分でも自分が変わっていくのが怖いと言ってました。

でも、マジ顔で ”シトロンはほんとに僕と同じ年にしか見えない!” というお世辞を言ってくれるところはまだ変わっておりません(笑)。

TGVが目的地に到着し、M君は市街電車の停留所まで私の荷物を運んでくれて、私の市街電車とは反対方向の市街電車に乗りました。

また会う日まで元気で、お世辞をまたマジ顔で言えるM君でいてねー。