星後藤礼奈さん (箏・三味線奏者)

 「箏を世界に広めたい!」福井鯖江から発信

 

 後藤礼奈(ごとう・れな)さん。1995年生まれ。福井県鯖江市出身。

 福井県立武生東高校→名古屋音楽大学邦楽コース卒業。

 福井県出身の女性アーティストを中心とした演奏家派遣会社Concerto(コンチェルト)所属。箏、フルート、ピアノからなる和洋折衷ユニット「玉響(たまゆら)」のメンバーとして活躍。

 「後藤礼奈 箏・三絃教室」主宰。

 邦楽や古典の曲だけではなく、J-popやジブリ、ディズニー、ロックやアニソンなどジャンルにこだわらず演奏し、箏の可能性・魅力を発信している。

 

             

 

1 福井県鯖江市

○鯖江市

 鯖江といえばやっぱりメガネ!私自身はメガネをかけないのですが、県外の方との初対面トークは、

「あなたのかけているメガネ、鯖江のメガネですよ!」

から始まります!!

 

○家庭の音楽環境

 祖母と母は、私が生まれる前から音楽を仕事としていました。

 箏と三味線を両方教えられる祖母、グループを組んで和楽器を広める活動をし続けている母、どちらも憧れの存在です。

 

             

           (2000年11月3日。七五三ですよん♪)

 

○筝・三味線を始めた時期

 祖母も母も箏の先生なので、小さいころから家にあった箏を触ったりして遊び、演奏したのは3歳頃らしいです。全然覚えていませんけど(笑)。

 

 一方、三味線を始めたのは、大学に入ってからです。邦楽コースということもあり、箏・三味線は必修でした。

 それに伴い地唄もやらなければならず、とても苦労しましたアセアセ(後述)。

 

             

 

    

 

2 小学時代

○外遊びが好き

 めちゃくちゃ活発な女の子ピンクハートで、2歳下の弟と一緒に、毎日夜ごはんが出来るまで、公園で泥んこになりながら遊んでいました。

 特に、バドミントンが好きで、 腕が筋肉痛筋肉になるまで(笑)遊んでいました。

 

            

            (今日もバドミントンやるぞー)

 

○音楽活動

 家では箏を祖母に(時には怒られ泣きながらタラー)教えてもらい、学校では3年生から吹奏楽部に入り、打楽器に打ち込んでいました。

 

              

 

                      

3 中学時代

○部活動

 中学でも吹奏楽部に入り、マリンバシロフォンなどの鍵盤系からドラムスネアなどの太鼓系まで、様々な打楽器を経験しました。

 

 課題曲がマーチであることが多くて、スネアをよく担当していたので「裏拍の達人」と呼ばれていました(笑)。 私のリズム感は、ここで培ったと思います。

 

 3年生の時には部員投票で副部長になりました。「仲間」と音楽出来るのが楽しくて、毎日部活のために学校に行っていたようなものです(笑)。

 コンクールや定期演奏会、イベントなど舞台に立つ機会がたくさんありました。マイケル・ジャクソンを踊ったり、ブルーライト劇で声優をしたり…すごく楽しかったです。

 

                   

4 高校時代

○福井県立武生東高校 (越前市)

 まず…制服のオレンジリボンが可愛いことです↓(そこか・・・笑)。

 

          

 

 勉強にも力を入れている高校でしたので、勉強もおろそかにせず、箏の練習に励みました。

 私は普通科だったのですが、音大を目指してからは、自習時間に、音楽の先生が音楽理論やソルフェージュを教えてくださるなど、手厚く支援してくださいました。

 

○音大をめざす

 武生東高校は吹奏楽に力を入れている学校で、私は吹奏楽を続けたい気持ちもありましたが、それ以上に箏を極めたい気持ちを優先しました。つまり帰宅部です(笑)。である以上、誰よりも最初に学校を出ることを目標にしていました(笑)。

 

 高校2年生の時に、福井県音楽コンクールで邦楽部門が設立され、コンクールにも出場するようになりました。

 この時に、音大に進学して、もっと箏を専門的に学びたいと思いました。

 

○バンド結成。ドラム担当

 部活には入りませんでしたが、「仲間」と音楽をしたいという気持ちは強くありましたので、同級生とバンドを結成しました。もちろん担当はドラム!

 

 学校の倉庫のような場所で練習を重ね、2年生と3年生の時の文化祭で演奏(いきものがかり・絢香など)、しました。私の青春ですキラキラ!!

 ボーカルは、現在シンガーソングライターとして福井県内を中心に活躍している大越佑華です。

 彼女とは、今もたまにごはんに行ったりしていますラブラブ

 

              (母・祖母と)

 

5 名古屋音楽大学 (名古屋市中村区)

〇名古屋音大を選んだ理由

 箏曲を専門的に学びながら、アンサンブルもやりたいと思っており、福井に近い大学で人数が多く邦楽コースがある大学が名音大でした。

  アンサンブルの授業もあり、先輩の弾き方も間近に見ることができ、とてもよかったです。

            

〇大都会名古屋

  名古屋は、一歩屋外に出れば「街」、まさに都会!キラキラって感じでした。

  私が住んでいた地域は、交通の便や環境もよかったので、住みやすかったです!

 

〇寮生活は1年

 一年だけ寮に入っていました。自然と友達も出来、なんと練習室も完備されている寮だったので、とてもありがたかったです。

 門限は22時。門限を過ぎると締め出されてしまうので、ギリギリの時は猛ダッシュうずまきしたのも、今ではいい思い出です(笑)。

 

○「めいおん(名音)音楽祭」

 毎年10月下旬から11月初頭にかけ数週間開かれる「めいおん音楽祭」の期間には、大学内で学生が自主開催の演奏会を開けます。

 それを見に行くのがとても楽しみで、友達の出ているミュージカルやコンサートはほとんど見に行っていました。

 私は、箏で電子オルガンとコラボレーションをしたり、邦楽コースで演奏をしたりしていました。

 

○三味線に苦しむ

 正直、大学4年間を振り返ると、正直(辛くて苦しいことばかりだっな・・・)と感じるのですが、もちろん音楽的に得たものはたくさんありました。

 自分の社中(後述)ではない曲や古典曲などを、その道のトップの先生に教えて頂けました。

 

 大変だったのが、三味線・地唄を習得することでした。先生に「あなた三味線嫌いでしょ?」と聞かれ、「はい」と言ってしまった時期も…アセアセ

 今は、胸を張って好きです!ピンクハートと言えます。

 

○音楽活動

 邦楽コースに在籍している人数がとても少なかったので、和楽器を必要とする舞台はたくさん出演させて頂き、老人ホームやお寺などではよく演奏しました♪

 

 

6 箏・三味線トーク

○筝と琴のちがい

 どちらも「こと」と呼びますが、「箏」は日本の伝統的な楽器で、絃は13本あります。「琴」は中国の伝統的な楽器で、絃は7本です。「箏」と区別するために「古琴」とも呼ばれます。

 

 つまり、「箏」と「琴」は全く別の楽器で、私が演奏しているのは「箏」です。しかし、常用漢字しか使えない場合は「琴」と表記されますので、一般の方には混同されてしまうようです。

 

 

○流派・社中

 流派は「生田流」です。「生田流」は、いくつかの社中に分かれており、宮城道雄(1894-1956)が創始者である「宮城会」、沢井忠夫(1937-77)や沢井比河流(1964-)の曲を演奏する「沢井箏曲院」、他に「正派邦楽会」「筑紫会」などがあります。

 

○昇段試験

 私は沢井箏曲院に所属しており、2018年に沢井箏曲院の教師試験を受験しました。

 沢井箏曲院は、初級・中級・上級・講師試験・教師試験という順に試験があります。上級まではテープ審査のみで、講師試験から東京で実技・筆記試験があります。

 私はそれまで中級までしか取っていなかったのですが、音大卒ということで上級・講師試験を免除され、飛び級という感じで教師試験を受験しました。

 会場を見渡すと、見るからに皆さんベテランで上手そうな方ばかりガーン

 試験は狭い部屋に一人ずつ入って、目の前に二人の審査員の先生方が並びますアセアセ

 めちゃくちゃ緊張ガーンしましたが、無事首席登代で合格キラキラすることができました。

 

    

 

○愛用の箏・三味線

 今愛用の箏は、高校生の時に母に買ってもらいました。キラキラキラキラとした音色が出るのでとっても大好きです。

 三味線は、祖母に大学卒業時に買ってもらいました。

 

   

 

○箏・三味線の魅力

 やはり、「日本」の伝統楽器であること。一音聴くだけで、「和」だなと感じられます。

 そして、絃を自由自在に操りたくさんの表現ができ、かっこよく、かつ落ち着く音色でもあることです。

 

            

○得意・好きな演目

 好きな曲は、沢井忠夫作曲の「鳥のように」です。

 高度な技術もありながら、綿密に作り上げられた旋律を奏でるのは難しいですが、一番私が表現しやすい曲です。

 

○演奏スタイル

 古典や宮城曲を演奏する時と、現代曲やポップスなどを演奏する時は、姿勢や体の使い方を変えています。

 古典などは、ほぼ動かず、基本の姿勢は決して崩さず演奏するよう心がけています。

 現代曲などは、リズムに乗ったり、かっこよく見えるような体の使い方をしています。

 

○「間」の取り方が大事

 演奏で難しいのは、間やタイミングを感じ取ることです。

 もちろん楽譜はありますし、大体のテンポは決まっているのですが、演奏する相手によって、間や弾き方が変わります。

 

 例えば、箏と尺八で演奏する「春の海」では、相手の尺八奏者の間によって箏の間も変わります。

 それを感じ取らず、自分勝手に進んでしまうと、ぐちゃぐちゃうずまきになってしまいます。

 

         

 

○尊敬する音楽人

 もちろん私の師匠であるお二方です。

 小学3年生頃~現在も教えて頂いている島嵜佐知恵先生と名音大邦楽コース教授の芦垣美穂先生です。

 芦垣先生は、ほとんどの宮城曲を暗譜してらっしゃって、レッスンで「今日あなた何の曲?」と聞かれ、「○○です」と答えると楽譜を一切見ずにご指導なされます…。先生の頭の中は一体どうなっているのだろう・・・と思います。

 どちらの先生も、本当に雲の上のような存在なのですが、今でも向上心が高く、「学びたい」という気持ちをいつでもお持ちです。私も演奏活動をする上で心がけています。

 

           

 

○印象深いコンサート

 小学校6年生の時に、母が組んでいるグループの演奏会にゲストという形で出演させてもらいました。

 演奏会後お客さまをお見送りする際、「感動した」「本当によかった」と泣きながら声をかけて頂きました。

 (本当に音楽をやっていてよかった)と感じ、初めて(音楽を仕事に出来たら幸せだな)と思った瞬間でした。

 

    

 

7 プライベート・トーク

○得意なこと

 五線譜から箏譜に編曲することです

 

○趣味・嗜好

 昔からテレビっ子なので、バラエティやドラマ、お笑いや音楽番組をみるのが好きです。

 

○ファッションドレス

私服は、甘辛ミックス的なのが好きです。

可愛らしいスカートスカートもはきますが、上はライダースとか。

 

       

○スポーツ 親戚にプロ野球選手!!

 初公表なのですが、親戚にプロ野球選手後藤光貴がいたので、西武球場にたまに試合を観に行っていました!

 ※後藤光貴(投手。2000~2006西武→巨人→西武)

 

○アルバイト

 飲食店や試食販売、ウエディングなど様々なアルバイトをやりました。

 

          

○好きな食べ物・お酒

 好きな食べ物は、福井の「やきとりの名門秋吉」の純けい(厳選されたメス鶏だけを使用。秋吉イチ押し)です。

 焼き鳥が好きってことは酒飲み日本酒か?と思われそうですが、ほとんど飲めませんてへぺろ

 

           

○外国

 外国に行ったことは一度もありません。いつか、海外に演奏旅行してみたいです。

 

            

○国内

 高校の修学旅行で行った沖縄が印象的です。

 ほぼ旅行は近場しか行ったことがないので、沖縄は福井とは別の国のように食べ物も景色も違っていて、不思議だったし、新鮮な体験ばかりでした。

           

○レジャー

 今一番どこに行きたい?と聞かれたら、即答で「東京ディズニーシー」です!

 キャラクターの中では、ミッキーが一番好きです!!でも、最近はなかなか行けていないので、休みを取って早くタワーオブテラーに乗りたいです♪

 

             

○カラオケカラオケ

 カラオケは私のストレス発散なので、平気で5時間以上歌っています(笑)。その中でも、鬼束ちひろの「月光」をよく歌います。

 

           

8 大学卒業~現在

○Concerto所属へ

 就職は、地元の福井で考えていました。

 大学4年生の時、好きなテレビ関係か音楽関係に就職しようと思い、普通に就活もしていたのですが、書類審査が通り、面接の際どこに行っても言われたのは、「あなたは音楽をやったほうがいいんじゃない?」ということばかり…。

 

 (どうしよう・・・)と思っていた最中、母がある新聞記事を見つけました。それが、「福井出身のアーテイスト募集」するというConcerto株式会社が設立されたという記事でした。

 そこからConcerto社長の山本晴香さんに連絡を取り、所属させていただくことになりました。

 

※山本晴香さん(「名鑑」第27回)の記事は、↓

https://ameblo.jp/tarsuke89-shiraito/entry-12558159715.html

 

〇ユニット玉響(たまゆら)

 所属後、「箏を生かせるようなユニットを作らない?」と晴香さんに言っていただき、箏・フルート・ピアノの和洋折衷ユニット「玉響~たまゆら~」が結成されました。

 

 

 やはり、印象に残っているステージは、2018年、短編映画「フレル。~feel~」に生で劇伴をつけたシネマコンサート「こひ。」です(福井市アオッサ県民ホール)。

 第1部から第2部の間の休憩では、メイク・衣装・髪型・箏の調絃を全部変えなければならず、精神統一する間もなく舞台へ、という状態でした。

 

 初の大きいコンサート出演に、(今だったら、もっと出来たのになぁ・・・)と思うことばかりなのですが、たくさんの方々に支えて頂いたおかげで無事終えられ、感謝いっぱいのコンサートでした。

 

  

〇うたかたの夢

 「うたかたの夢」という名音大卒業生の同級生グループも結成しています。声楽コースに在籍していた2人がメンバーなのですが、1人は作曲・ピアノ、もう一人は歌を担当しています。

 現在は季節ごとに一曲、その季節の曲を配信しているのですが、「和」ではなく「日本」をコンセプトに、現在3曲YouTubeで配信しています。

 

           

〇メディア

 最近では、グループだけでなく個人での活動も多くさせて頂いており、一人でテレビやラジオに出演させて頂ける機会も増えています。

 箏・和楽器にスポットを多く当てて頂いているので、とても嬉しいです!

 

〇楽譜販売

 新しいことにも取り組んでいます。

 YouTubeに流した演奏動画の「楽譜を教えてほしい!」という声を多数頂いていたので、楽譜販売に向けて準備しています。

 

          

〇箏教室開設

 2018年に教室を開設して1年半になりますが、2020年になってからようやく3人の生徒さんが入ってきました。

 ちゃんとやるべき曲もやりながら、好きな曲を箏で弾き、楽しみながら通って頂けると嬉しいです。

 

   

〇モデル活動

 2019年から意外なお話も頂き…モデル活動もほんの少しですが、やらせて頂いています。

 毎回毎回、知らない自分を発見できますし、着物での撮影の際は、(こうするときれいに見えるんだな)と勉強になります。

 

         

9 今後の音楽活動

 「玉響」や「うたかたの夢」などのグループでの活動と並行して、個人としても、YouTubeやTikTokなどでの演奏動画の配信や指導・演奏などをやっていきたいと思っています。

 さらに大きな夢は、世界中に箏を広めること。そして、日本人の習い事といえば、「箏」「三味線」という世界を作ることです!

 

(取材を終えて)

 「名鑑」初の和楽器で、勉強になりました。「筝と琴のちがい」を知っている方、どれだけいるのでしょうか? (私が無知なだけか 笑)

 

 ほんわか癒し系、おっとりした印象の後藤礼奈さんですが、めざす演奏は「かっこいい」もの。YouTubeの演奏を見ますと、確かにかっこいい。

 

 伝統芸能の世界は難しいと思います。様式美は継承しつつ、時代に応じた変化を取り入れていかないと、硬直化しついには化石となってしまいます。伝統を継承してくれる次世代の育成は必須です。

 後藤礼奈さん24歳にして、早くもその役目を担っているといっていいと思います。

 

 後藤さんは、J-popやロック、さらに子供に人気(ご自分が好き?)のジブリ、ディズニー、アニソンなど多彩なジャンルを演奏し、積極的にSNSを駆使して箏の魅力を発信、また「玉響」や「うたかたの夢」で、他楽器とコラボにも熱心に取り組まれておられます。

 その柔軟かつ攻めの姿勢は、すでに福井では注目され、しばしば地元のマスコミにも取り上げられています。

 後藤さんの音楽人生は始まったばかり。福井から全国、さらにいつの日か海外へ雄飛されることを期待いたします。

                  

○SNS

twitter
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※後藤礼奈さんと同じ名古屋音楽大学卒業の山之内里衣さん(第16回)の  記事は↓

https://ameblo.jp/tarsuke89-shiraito/entry-12419734342.html