妹を亡くした私は当然悲しみに支配された。
しかし自分のそれは母に比べたらちっぽけなものだと、私は感じた。
憔悴する母を見て、自分はしっかりしなければいけないと強く思った。今思えばその瞬間から自分は悲しみや憤り、後悔といった負の感情に無意識に蓋をするようになったのかもしれない。
妹を亡くす前と後で、客観的に見たら私はほとんど変化が無かったと思う。当然、歯を食いしばりながら笑うことも涙を堪えることもあった。ただそれでも塞ぎ込んだり日常生活が崩壊するようなことがないように努力はしたし、実際にそれは達成できていたと思う。
しかしそれが正しかったのかとここ数年思うようになった。あの時、もっとワガママに涙を流し、怒りをぶつけていたら何かが違ったのではないかと。いつしか妹を自死で亡くした事実を自分から消そうとして、妹を最初からいなかった人のようにしていないか?そう感じるようになった。
そうやって騙し騙し過ごしたここ数 年はもう帰ってこないし、それをやり直したい気持ちがある訳ではない。そもそも私は今、とても幸せである。
ただ誰にも心の傷や痛みを打ち明けることが出来ずに自らこの世を去った妹を、自衛のために存在しなかったように振る舞うのが許せなくなったのである。これまで人に話さなかった諸々をここで吐き出しながら、まずは等身大の自分で亡き妹への思いを募らせていきたい。