夏の暑い日でした。
いつもは使わない近道にある小橋の階段を下りようとして、フッと異様な気配に気づく。
熱気で揺らいだ階段を、亡者たちの薄い影が這い上がってきます。
やれやれ・・と、
小橋を渡るのを止めて、いつもの道にと引き返した。
・・子供の時、亡霊は見ないように避けています。
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それから数日後の事です。
幼稚園児の男の子が、風に飛ばされた傘を取ろうとして小橋から落ちてしまいました。
何日か、警察や消防団が捜索しましたが見つかりません。
幾日か経ってから、遺体は横浜港で発見された。
やっとご家族の元に帰って来たのです。
翌年だと思う夏の夕方。
両親と女の子が、小橋の上で弔う姿がありました。
声は掛けられません。
そばの淵は、昔から水死者が辿り着く哀しい場所。
合掌