*舞台劇の[小品]風であり、登場人物の語りや背景、時期は混ざっています。
さて・・
夜半に電話が鳴り続けた。
ぼうっとした耳にぼくのともだちの声が聞こえてきたのです。
酒と女に嫁さんを泣かしていたので、距離を置いていた。
「あいつが火を付けたんだよーつ」
私は目が覚めた。
風呂場に籠った嫁さんが、新聞紙などに火を付けて叫んでいると・・
「消したのなら消防車は呼ぶな」
だが、
彼は消したと言っていたが、後ろが騒がしい音がする。消防関係者の声がした。
騒動の後、
離婚して、元嫁さんと小さな子供は実家に帰って行った。
現住建造物放火罪の未遂は刑法112条で処罰されるが、“諸事情を考慮”し起訴猶予処分となったのです。
アパートの大家には、示談金を支払って退去した。
彼は寂しかったのでしょう、ごくたまに電話してきた。仕事を回すこともあったので。
子供への養育費は仕送りしていると、聞かずとも話すので聞き流した。
数年後のことです・・
彼の妹さんが会いたいと訪ねてきました。
自殺していた。
忠告が身に染みたと言っていたそうです。
「独立して金銭と時間が自由になると、若い男はやりたかったことをするから気をつけろ」
これは私の言葉ではありません。
下請けの社長さんで、根っからの職人でもある相談役みたいな方の人生訓でした。私も聞いている。
ぼくのともだちの写真を渡された。
貸した金は、それで良しとしました。
了
森田童子-さよなら ぼくの ともだち
古方
2014/05/28
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森田童子さんの1975年のライブ。