テーマを★不思議な話 心霊 から「小品」に変更して推敲しました。
*舞台劇の[小品]風であり、登場人物の語りや背景、時期は混ざっています。
スピリチュアルについて話す人は、脆弱な精神の持ち主と誤解される方が多いですね。
しかし、不思議な体験は、深いところの意識を鍛えます。
これは、若い頃の話しです。
子供のときから可愛がってくれた叔母からの唐突な頼みでした。
叔母が、娘夫婦の引っ越したばかりの転勤先のアパートを訪問して異変に気づいたからでした。
火のついたように泣く孫の赤子を心配したのです。
叔母も霊的な感性が高い。
引っ越したばかりであったが、娘に転居を勧めた。しかし、婿は会社が近いし便利な場所なのでと応じませんてした。
笑い飛ばしたのです。
だが暫くすると、強気な娘婿が、怪奇現象の一つで震えあがりました。
買ってきたお菓子が、食卓から忽然と目の前で消えたのです。
気にするようになると・・
夜中に天井裏で動き回る軋む音がする。
天窓の奥に髪の毛が無造作に散らばっていた。不動産屋が引っ越し前の引き渡しでは、「清掃済」とのことだったが。
物が、忽然と目の前で消える現象は、我が家系では珍しくない。前兆現象です。
娘婿さんには黙ってました。
叔母に連れられて、そのアパートの部屋に入ると、お守り札が鴨居に貼ってありました。
部屋の気になる何点かを視て、静かに心に留める。
夜、寝床を用意してもらい私だけが部屋に残りました。
その夜のことは、思い出すと腕に鳥肌が立ち、顔も引き攣ります。トラウマになっているようです。
夢の中で、3人の亡者が、お棺の中の「ちいさな物」を貪っているのが見えた。そのさまにゾッとした。
供養を念じながら夢から抜け出そうとしたとき、異変を感じました。
身体が動きません。非常に強い金縛り。
これを解く法を知っているが、夢から抜け出すために力を使いはたして動けなくなっていた。
その時、頭の傍を女が歩いている。亡者です。
意識をそちらに向けて金縛りを少しづつ解いていきました。
その時、こちらの気配に女は、眼の端へ隠れるようにして避けます。
視線を遁れて障子の向こうの台所に潜んでいる。
凄まじい「憎悪の念」が伝わってくる。狂気の想念です。
私は息を整え、面を上げて一気に、台所に駆け込みました。手に数珠を握りしめて。
床面は血の海です。
だが、一瞬にして女と共に消えた。
夜明けまで、静かに誦経して御供養です。
朝、顛末を大家さんに話し、ここを引き払うと言いなさいとアドバイスしました。(自分も逃げ出したかったw)
半信半疑の若夫婦は、大家さんの家に行く前に近くのお店のおばさんに、アパートの噂を聞いたそうです。
あっさりと噂を教えてくれました。
「あそこで女の人が殺されて・・・その後に入った人も、赤ちゃんを餓死させたのよ」(新聞報道されている)
「・・・あそこに入ると夫婦別れするんょ」
その事情を聴いて真っ青になった若夫婦は、大家さんに談判するべく行ったそうです。
其のころでも契約書に「重要事項」の告知義務が大家にあります。
大家さんの様子は、ほとんど何も言えない状態でした。
やっと・・・「台所の床で血だらけで死んでいました」と白状しました。床マットを張っただけの後始末。
その後に叔母から、その話しを聞いたが、気配を隠し潜む亡者の霊がいるとは思いもよらぬことでした。
追伸
霊現象のことを依頼されても応じられません。
医者でいえば「見立てだけで治療できない半端医者」だからです。
*もの凄い怨念と強い気が、長年放置されて増幅したのでしょうか?
この話は、一部プライバシー保護のため、変えてあります。 ご容赦ください。