ダライ・ラマは8月15日から20日までボツワナの首都、ハボローネを訪れ、「心と生命」と題する会議に出席するほか、講演などを行う予定だった。しかし、「極度の疲労」のため、医師から「今後、数週間は長距離の移動を控え、休養をとった方がよい」と診断されたため、82歳という高齢も考慮に入れて、インドの邸宅で休養することを決めたという。

 

 ダライ・ラマ事務所は11日にダライ・ラマのボツワナ訪問中止をボツワナ政府に連絡した。

 

 また、ダライ・ラマは17日、メッセージビデオで自らの訪問中止の釈明を行ったが、その表情は疲れ切り、目も落ちくぼみ、座っているのがやっという状態で、いつもの張りのある元気な声ではなくいまにも倒れそうな状態だった。

 

 このため、ダライ・ラマの病状に関心が集まっており、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」は「ダライ・ラマが外国訪問を直前でキャンセルするのは極めて異例。2015年10月以来で、がんが再発した可能性がある」と報じたうえで、中国政府もダライ・ラマの健康状態について強い関心を示しており、ダライ・ラマの輪廻転生の後継者探しの準備を本格化するのではないかと伝えている。

 

 こうした状況の中、中国チベット交流団体の代表団は21日、東京で記者会見し、チベット自治区の現状について「経済・文化など各方面の発展は、今までで最も良い時期を迎えている」と述べた。中央政府の支援や観光業の好調により、2016年の域内総生産(GRP)成長率が全国平均を上回る11.5%と高い伸びを続けている実績を挙げて強調するなど、間接的にダライ・ラマ側を批判。

 

 さらに、ダライ・ラマが廃止の可能性などに言及している「輪廻転生制度」については「必ず歴史的な決まりにのっとって行われるべきだ」との考えを改めて強調しており、中国側としてはダライ・ラマの後継者を中国内で探す準備を整えていることを示唆している。

 

 すでに、中国側はダライ・ラマに次ぐチベット仏教第2の実力者であるパンチェン・ラマについても、ダライ・ラマ側が指名した後継者を拉致監禁したうえで、中国側が任命した後継者を正式なパンチェン・ラマの生まれ変わりと認めて、既成事実化している。

 

 中国がダライ・ラマ死亡後、パンチェン・ラマと同じように、独自に生まれ変わりを

決定し、正当化するとみられる。

http://news.livedoor.com/article/detail/13526301/