日蓮宗の秘法を修得した修法師(しゅほっし)は、守護を誓った諸天善神の神力で法華経を信仰する者に対し、加持・祈祷を修するものです。
古来の修法道は、現在とは異なるようです。
霊媒(シャーマン)と組んで加持・祈祷を行うもので、修法師のみでの招魂儀式は執り行いませんでした。
霊媒(巫かんなぎ)に憑依させた霊魂に修法師が働きかけるのです。
しかし、霊媒(童子)となる少年少女を探すのは、時代とともに困難になったのです。
まして神おろしなどは不可能です。
これは昔に聞いた話です・・・
ある酒の席で、老人の孫が霊媒として役に立つと話したことを修法師が聞きつけたのです。
野心的な若い修法師は熱心に頼みこみ少年を霊媒として仕込みました。
ある日、
修法師は誘惑に駆られてタブーを犯しました。
修法師自身の私事(わたくしごと)で、神おろしの招魂儀式を行ったのです。
憑いてきた霊を見た修法師は、僧侶としての戒律を破ったと悟つたのでしょう。
心から狼狽して、霊を還す修法を忘れて逃げ出したのです。
お堂に取り残されたのは少年だけ・・・
日暮らしの鳴く頃でした。
【癒し系】自然音 ひぐらし 真夏の雨上がりにて "Japanese cicada after