島田紳助「伝説のNSC講義」紳竜の研究 (4) | 鈴木太郎の思うこと

鈴木太郎の思うこと

自分の思うことを書いていきます

 
 
■XとYの分析

自分たちが誰を笑わすんや?どの世代なんやと。

どういう漫才をつくんのやって言うのが、一番はじめに必要。

じゃあ、どういう漫才をつくるんやって考えたときに、あの、でけへんものはでけへんのよ。みんな、いるやんか?全員、ちゃうねん。笑いのパターン、才能、おもろいと思うもんが。それでさっきも言うたように、分析をしたら色んな笑いがあることがわかる。いろんなオチのパターンがある。

自分が面白いって思うもんがあって、面白いと思う中でもふたつあるよな?

「面白いけど、でけへんよ」というのと、「これ、俺と一緒やん」って。

「これ、俺と一緒やん」って思ったオチのパターン、しゃべりのパターンが、一番自分に近いのよ。でも、その人(は、すでに)おるやんか?ほな、勝てへんやんか?だから、そんなもんをいくつか探すのよ、パターンを。



一人のタレント・・・漫才師だけとちがって。それで、それをいくつか探す。

そして・・・それが自分のできることよ。でけへんことはあかんのやで。人見て、おもろいな思いながら、あんなん出来へんなと思うたら、あかんのや。

これ出来ると。俺とおんなじや。俺が友だち笑わしてるときのパターンや。俺が笑わしてるときの普段のしゃべりの、これやねんって、自分に近い形のやつを見つけるのよ。オチのパターンを。



それで、もういっこ勉強や。

今から・・・俺らがやってた、三十年ぐらい前の漫才ブームがあった。あの頃からやったら全然残っているわけ。もっと前にもあるわ。四十年前でもレコードとか残ってるやんか。

その時に売れてた人、ずーっと今、何十年か四十年か、ずーっと漫才師、誰か売れてるんやから、それをずーっと全部、聞け。

全部、聞くだけ違って、どう変わってきたんか!?何が違うんやと、おんなじなんか?それを徹底的に調べんのよ。



それがいっつも言う、X(エックス)というのが自分の戦力、自分に何ができるか。

さっきのオチの中の、どんな笑いができるのかってこと、自分の中のを、まず必死で探す。

それで、Y(ワイ)。これは世の中の笑いの流れ。笑いは、いつも変化してる。時代の流れで変わってくるのよ。これを研究すんのや。

だから、このXとYがわかったら、そこで初めて悩むんよ。俺は何しよって?どうしたらええのやろって。どうしたら売れんのやろって。どんな笑いをつくろうって、初めて考えなあかんのよ。



でも、俺もたくさん仲間がいたりしたけど、いっぱい見てきたけど、このXも分からんと、Yも分からんと、悩んでる人ばっかりやわ。ほんまに。先輩も後輩も。

「紳助さん、新しい笑いをやりたいんですよ。どうしたらいいですかね?」って。バカか、おのれ。

先輩でも「どうしたらいい?紳助」「無理ですよ」って言うのや。説明してもしゃあない。無理ですよって言うのや。



そんなん、俺だって答え出ません。僕は貴方じゃないから。

僕が貴方に代わって一年間、一生懸命やったら、答え出えへんかも知れへんけど、公式はつくれると。でも、僕は貴方じゃないから、少なくともXは分かれへん。貴方に何が出来るか!?

でもYは・・・今は知らんよ、漫才してないから。

いま、俺が半年間、時間くれてYを出せって言われたら、半年ぐらいはかかるかも知れんけど、出せると思うねや。

笑いってどういう変化をして来たんか。これから五年後、十年後にどんな笑いに変わっていくんだっていうことは、今から勉強したらこっち(Y)は、出ると思うのよ。でもこっち(X)は、本人にしかわからへんことやのね。



だから、この公式を自分たちでつくらんとあかんと思うのよ。

たぶん自分ら、M-1でも二回戦で落ちたりしてるやんか?これ、なんにもわからんと漫才してると思うねん。ただ単におもろいこと考えよう。それでネタ合わせしよう。何かあたらしいことやろうぜ。よそがやってへんこと、しようぜって。

そんなんじゃ、絶対無理。



それでね、たまたまそれが出来ることがある、たまたま。それ、絶対潰れるねん。

何でかって言うたら、公式がない答えやねん。学校の勉強といっしょやんか?たまたま書いた数字が合うたことあるやん?それで売れたんとおんなじで、そこには自分に何の根拠もないわけ。

何の根拠もないのに売れたやつなんか、つぎ世の中は、さっき言うたように、Yは動くねんから。動いたYについていけへんやんか?たまたま合うた答えやから。だから、芸能界でおるやんか?お笑いで、一発屋って。まさにそれやねん。



なんで一発で終わるの?売れた奴が。

なぜ売れたか分からないし、たまたまや。たまたま前からやってきたんや、おんなじこと。たまたま時代が変化したんや。

だから、一発屋のほうがインパクトあんのよ。

さっきも言うたように、Yというものは動くでしょ?世の中は。笑いの変化やから。

おんなじことやって来たやつは、ここで(Yと)バッチャーンって当たってまうんよ。出会い頭で会うた事故やから、キツイわけや。キツイから、インパクトあるから、ボーンと売れる。でも、必ずニ、三年したらズレるよな?これはもう自分で修正、効かへんのよ。



でも長くやってる人っていうのは、これは俺だけとちゃうのよ。俺は今日は、こうやって言葉で説明してるけど、みんな言葉で説明しはらへんよ。さんまだって、みんな一緒。頭のなかで入ってることは一緒やねん。

世の中にあわせてるねん、自分を。だから、大事故にならへん、なかなか。接触事故ばっかりよ。



だから、「若い人を見て、興味を感じることありますか?」って、 さんまでも俺でも二人とも一緒やねんけど、まったくないねん。

なんでかって言うたら、「アホちゃう?こいつら」って思うのよな。なんか、練習してる子とか見て、「なに練習してんねん、こいつら」って。俺が見たら、ほんまに、ずーっと筋トレしてるようにしか見えへんのよ。無駄。



あの、オリンピックの体操選手の身体ってすごいよ。体脂肪率だって、4%やって。

こないだ、会うたら。水の中で溺れる、言うとったわ。でも、あの体操選手、日本代表のやつらは、野球のボールが投げれへんのや。なんでや言うたら、ボール投げれる筋肉がどこにもついてへんのよ。体操だけの筋肉がついてるのよ。だから、我々お笑いタレントもそうならな、あかんのよ。要らんねん、要らん練習は要らんねん。



それと、今の公式(XとYの関係)は絶対的なもんや。

これは今しゃべっても、どんだけ理解できるんか分からんし、この中で何人が、Xを分かり、Yを正しく分析するか!?だから、全員は無理やと思うで。

今日、しゃべった中で、何人かが分かると思うのよ。それで、いま世に出た売れてる人たちは、俺が今しゃべってるのを見て、俺に向かって「言うな」と。

「お前、何言うねや。秘密にしとかんか?」って思ってる思うねん。みんな、なんで思うかって言うたら、心の中でそんなもん当たり前にあるのね、売れてる人って言うのは。みんな、そうしてきてるのよ。いちいちしゃべらんだけで。だから、X + Y ・・・、そして自分はどういう形のものをつくるかっていうのを、かならず、まずやる。











※ 上記動画の 20:30~27:20までの書き起こし