新編 太郎日記・わが家の郵政解散 -14ページ目

新編 太郎日記・わが家の郵政解散

トトさまが巻き込まれた郵政新党騒ぎ内幕の因縁をぼくの誕生から

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 父さまは、自由連合の選挙を2度手伝っています。
 平成13年の参議院選挙では政党の車を預かり、比例票獲得を狙って県内各地を遊説しました。
 運転をアルバイトの若いお兄さんに任せ、父さま好みの美人の女の人も一人、二人混じった7名のスタッフを引き連れ、あちらこちらと神出鬼没に演説をくり返し得意になっていました。
 自由連合は、この選挙で50人近い著名人を比例区の候補に立てました。作家の野坂昭如さん、タイガーマスクこと中尾聡さん、歌手の千葉マリアさん、発明家ドクター中松さん、元フイギアスケート選手の渡辺絵美さん、などなどの著名な人々を候補に並べ比例区の票を上積し2、3名の当選を果たそうと党首の徳田虎雄さんは考えたのでした。
 これら著名人候補が福岡入りする時に、父さまはお世話をおおせつかり、特にドクター中松さんは丸一日遊説のおつき合いをしたのでした。

 この選挙は同年の4月に小泉政権が成立した直後の最初の国政選挙でした。『自民党をぶっ壊す』と宣言して闘った総裁選挙から続く小泉人気で、自民党は比例区、選挙区ともに大きく得票率を伸ばし勝利します。
 党内の意見集約よりも、メディアを通して国民に直接語りかけ、
世論を味方に政策を遂行して行くという英国のサッチャーやブレアーのような政
治手法に対して自民党内には不満もくすぶり、あからさまに批判を口にするグループもあったのですが選挙の結果は、そんな声をかき消してしまう、首相の国民的人気を改めて示す形となりました。

 父さまの演説は、そんな小泉人気を利用して
「わたしたち国民の声を受けて改革を進める小泉首相の足を自民党内部から引っ張るグループがあると聞ます。であればわれわれ自由連合が自民党の外から小泉首相を守り、そして国民の皆さまの声に応える改革を支援・推進いたします。わが自由連合を率いる徳田虎雄は、徳洲会病院を率いて、独り、日本医師会と戦って来ました。日本医師会と云う伏魔殿と戦い、医療のありかたを変えて来ました。この実績と実力を、今、日本に必要なあらゆる改革・構造改革に活かして参ります。心から、今、日本は変わらなければならないと考えれれるのであれば、新しい社会への道を期待されるのであれば、どうぞ、自由連合と投票用紙に書き入れ、その思いを投票箱の前までお持ち下さい。」
 と、言うような内容を主旨とする演説をしていました。
 野党がこぞって、同じような批判を小泉首相に向ける中で、唯一小泉政権を支持する姿勢を明確に訴えれば野党の間で目立つと云う点。また自民党内部からも批判するグループがあって孤立した立場で、負けじと闘う首相を、党派を超えて支持すると云う仁侠的姿をアピールすると云う点で、父さまの演説の内容は一つの面白いアイデアではありました。
 しかし、これは大変問題でした。党首の徳田虎雄さんは、はっきりと首相批判をされていましたから、こんな父さまの演説は党の方向性とは違うものだったのです。

 父さまは自由連合が要件を満たした政党として存在しているといっても、議席は徳田代表の1のみで有権者に対する存在感は全くないといってよい。メディアへの露出度もゼロに等しく、党の政策や理念などは、九州までは全く伝わっていない。で、あれば、止めようがない小泉人気を利用できる演説に内容まとめ遊説の現場でコンパクトに有権者へ伝えていく方が有利と考えたのです。
 こんな時父さまは、必ず独断専攻で行動を起します。大人の良識があって欲しいところなのですが『俺のやる事が気に食わんならいつでも辞めちゃるけん』とお腹にいつも持ってやっているからしかたありません。

 選挙公示後、党首・徳田虎雄さんが福岡に入り、九州一の繁華街福岡市の天神で街頭に立つことになりました。東京から自由連合の立派な選挙カーも入り父さまは徳田党首の前座でしゃべる事になりました。バス型の街頭カーでしゃべるのも初めてですが、小さいと云えども政党の党首の前座でしゃべる経験も初めてでした。聴衆は徳洲会福岡病院が集めた人数100名程度と、通りすがりの人30~50名と云うところだったでしょうか。
 徳田党首の到着が遅れると連絡が入り、前座の父さまは一人で車上に上がりしゃべり始める事になりました。憲法、安全保障、教育と国政レベルでの父さま得意分野をしやべり始めたのですが、30分過ぎても党首はまだつきません。途中、気を利かせたスタッフがしゃべり続ける父さまに缶コーヒーを渡してくれました。受け取った缶コーヒーを聴取の前で3口で飲んでしまった父さまは話題を転じて、徳田党首が集まりをする度に必ず触れる石原都知事を首班にした新党構想についてしゃべりはじめました。それでもまだ徳田党首があらわれないから、普段の遊説で話している自由連合は党派を超えて小泉改革を支えて行くと云う話しを始めると、散発的ではありますが初めて拍手がおこりました。この時、父さまは、やはりこの演説は受けると確信したのです。そして、しゃべり初めて1時間党首を乗せた黒塗りのプレジデントが、やっと信号の向こう側に見えました。助手席から秘書が手を振っています。父さまはしゃべりながら、秘書の合図を確認して話しをまとめ
「お待たせ致しました!ただいま党首の徳田虎雄、福岡の皆さまへ御挨拶に本日は札幌・千歳空港から飛んでまいりました。」
 党首がこの日どこから福岡入りするか父さまは聞いていなかったのですが、どうせ長時間遅れたのだからできるだけ遠いところから来たといってやろうと思い付き札幌からと言ったのでした。こんな所は不思議に気転が利く父さまなのです。
 徳田党首を乗せたプレジデントが、父さまが演説を続ける街頭カーの後ろへ寄せられ、党首が元気良く降りて来ます。まず歩道上で聴衆へ手を振り拍手がおこります、街頭カーの梯子に手をかけ、演説を締めくくり党首を紹介するしゃべりへと入って行く父さまへ党首が『オー』と重量級の声でかけられます。マイクを持ったまま、その声に会釈を返しながら父さまは
『それでは、世界第3位の医療機関、徳洲会病院をひきつれ、日本医師会を相手に闘い、独り医療改革に邁進する徳田虎雄・自由連合党首の肉声を!改革にかけるその迫力を、福岡の皆さまどうぞお聞き下さい!おまたせ致しました!』
と最後に最大限の声で党首を紹介しマイクを渡しました。

と、党首は『わたしは外科医です!患者に出血をさせず治療にあたるのが名医。小泉構造改革は国民へ出血を求めるばかり!小泉首相は政治の名医とは言えない!』と口火をきって演説を初められたのでした。