precious jp
世界最高峰のシューズメーカー「ジョンロブ」に聞く「梅雨時の革靴ケア」5選
使い続けることで足になじみ、愛着も湧く本革靴。長く使うためには、毎日のケアがとても大切! 特に梅雨の時期は、雨に濡れたり、高い湿気でカビや型崩れを起こしやすく注意が必要です。今回は、知っておきたい梅雨時の本革靴のケアについて、イギリス発祥の老舗シューズメーカー「JOHN LOBB(ジョンロブ)」に教えていただきました。
革靴は濡れたまま放置しておくと、雨染みやカビが発生する可能性も。今回は、1866年の創業以来、約150年近く高級靴をつくり続けている、イギリス発祥の世界最高峰のシューズメーカー「JOHN LOBB(ジョンロブ)」に、知っておきたい「梅雨時の本革靴のケア」について教えていただきました。
■Q1:外出先で靴が濡れてしまったら? その場でできる応急処置
天気の変わりやすいこの季節は、「アプリの天気予報では、雨が降るなんて言っていなかったのに……」ということもしばしば。急な雨に対処できず、お気に入りの靴が濡れてしまったときは、どうしたらいいのでしょうか?
革表面の水分をタオル等で拭き取って、自宅でしっかりとケアを
「まず、その場の応急処置として、革表面の水分をタオル等で拭き取ってください。その後、自宅でしっかりとケアをしましょう」。濡れた靴をそのままにしておくと、型崩れや、濡れた箇所が水ぶくれや染みになってしまう“雨染み”を引き起こす原因に。砂利などの小石が入り込んで、外側のソール(靴底)を傷めてしまうこともあるといいます。
「これらのダメージを繰り返すと、革にひびが入る “革割れ”が起こったりして、靴の寿命を縮めます」
靴の上から履くラバー素材「オーバーシュー」を持ち歩くのもオススメ
でも、濡れないようにするのが一番。万一に備えて、靴の上から履くラバー素材「オーバーシュー」を持ち歩くのもいいですね。天気予報で雨が降るとわかっている日はお気に入りの靴はお休みさせて、雨の日用の靴を履いて出かけましょう。
■Q2:濡れた革靴。帰ったらまずすべきケアは?
靴を斜めに立てかけて新聞紙やタオルを靴の中に入れると、水分が抜けやすくなる
雨でびっしょり濡れてしまった本革靴。家についたらすぐに、まず革表面の水分をしっかりと拭き取り、丸めた新聞紙やタオルを靴の中に入れて、染みこんだ水分を吸わせます。この際、靴を斜めに立てかけて、ソールに染みこんだ水分が抜けやすくするのがポイント! 水分を吸って濡れた新聞紙やタオルは、その都度取り出して、乾いたものに入れ替えましょう。
「シューツリー」と「シュークリーム」で、靴の型崩れと皮のひび割れを予防
風通しの良い日陰で乾かしたら、靴の形を維持する器具「シューツリー」を中に入れ、保湿効果を与えるクリーム「シュークリーム」を塗ります。「保湿をしないと、革が乾燥してひび割れてしまいます」。シュークリームは、靴に近い色を選びましょう。
「シュークリームは、油分や水分など、革に必要な成分を補給してくれるアイテムなので、普段のお手入れにも必須です。艶出し効果もあるんですよ」。
■Q3:梅雨時の保管はどこで?
じめじめした梅雨時は、カビが生えたり、雑菌が繁殖したりと、本革靴の保管に一段と気を遣う時季。靴のコンディションを保つためにも、ベストな保管場所を探しましょう!
靴箱には入れず、 通気性のよい場所で保管しよう
「家の中であれば、湿度が高くなく、通気性の良い場所で保管するようにしましょう。保管をする際には、型崩れを防ぐためにシューツリーを必ず入れてくださいね。可能であれば、通気性をよくするために、ボックス等に入れずに保管するのが望ましいです。保管場所の状況に応じて、除湿剤を使うのもよいですね」。
■Q4:お気に入りの革靴にカビが……。元通りにするには?
久々に靴箱から出してみたら、カビだらけだった……なんて時はどうすればいいの?
しっかり水気を切ったやわらかい布で、カビの生えた箇所などを拭く
まずカビの生えた箇所と、靴の甲の部分「アッパー」、中敷き部分「インソール」をそれぞれよく拭きます。このとき、しっかり水気を切った柔らかい布で拭くのがポイント! 仕上げに靴をしっかり磨いて、艶出しをしたら完了です。
ケアの後に普段通り履き続けることで、靴からカビが抜けていく
「その後は、いつも通り履き続けていくことで、自然とカビが革から抜けていきます。それでも改善されないようでしたら、専門家にケアをお願いすることをおすすめします。
なお、クレンジングやカビ除去のケアをしても、完全にカビは取れず、時間が経つと再び表面に出るケースもあります。毎日、こまめにお手入れすることが大切ですね」。
白い粉が浮き出る「塩吹き」も磨いてケアしよう
アッパー部分に白い粉が浮き出る「塩吹き」も磨いてケア。塩吹きは、革に含まれる塩分や脂分が雨水で溶け、乾燥することで発生します。
「塩が浮いた部分を湿った布でよく拭き取り、アッパーとインソールもピカピカにしたら、仕上げに全体をよく磨いて艶出しします。風通しのよい日陰で乾かしてください」。
■Q5:濡れてしまったスエード靴は、どうすべき?
スエード靴も革靴の一種。革の内側を起毛させることで、ふわふわとした可愛らしいデザインになります。
付着した水分を拭き取り、スエードの状態に応じてブラシでブラッシングを
スエード靴のケアも、本革同様にまずは付着した水分を拭き取ります。その後、本革はシュークリームを塗りますが、スエード靴の場合は素材を悪化させてしまうため、ケアはブラッシングで行い、スエードの状態に応じてブラシを使い分けます。
スエードのクレンジングや汚れ落とし、補色などは、専門家にお願いしよう
「軽い汚れや毛羽のむれを整えるときはクレープブラシ、強い汚れや、少し傷がついてしまったときのお手入れはワイヤータイプのブラシを使います。泥などで汚れたときには、スエード用の消しゴムを使うと良いですよ。ただ、スエードのクレンジングや汚れ落とし、補色等については自分でやるのが難しいため、専門家にお願いした方が良いです」。
乾燥方法も本革と同じで、新聞紙やタオルを丸めたものを詰め、風通しの良い日陰で乾かします。しっかり乾いたら、ブラシで仕上げのお手入れを。