前野曜子、藤圭子、中島みゆき、越路吹雪、加藤登紀子、岩崎宏美、市川由紀乃、ちあきなおみ等々、わが国の女性歌手の中でも歌唱力が優れている、心に響く歌を歌う人々について以前より触れてきたが、過日からの降雪と寒さの中で部屋にこもって為すこともなくユーチュブで音楽を行き当たりばったりに聴く中で、今更ながらに他にもなかなかに優れた歌い手がいるものだと改めて気付いた次第。
まずは、大橋純子さんがいた。あの突き抜けるようなゆとりある声量に気分が解放されます。例えば『たそがれマイ ラブ』など。闘病生活の後、TVなどへの露出が減ったために私は長らくのご無沙汰ですが、ミーシャさんを超えている感があります。「光陰矢の如し」でいつの間にか古希を過ぎておられますから寂しいですね。同様に五輪真弓さんの『恋人よ』なども勝るとも劣らずでよいですねえ。
次は、高田みずえさんです。彼女の現役当時は『硝子坂』などで知ってはいましたが、私にとっては、きれいな声で森昌子の後釜かといった感じ程度でさほど心に残る歌手ではありませんでした。相撲部屋の女将さんになってしまって記憶からは消えていましたが、カバー曲に心を打つ歌声を残していました。なかでもさだまさしの曲のカバーに聴き惚れています。『精霊流し』や『無縁坂』などです。久保田早紀さんの『百万本のバラ』も加藤登紀子さんのそれに負けないくらいいいですよ。
もう一人忘れてならないのは、岸洋子さん。シャンソン歌手がメインなのでしょうが、『希望』とか『夜明けの歌』など比類がないと感じます。当時はどっしりとした低い声で威圧されるような感じがして好きではなかったのですが、今聴くと『希望』など作曲者いずみたくの名曲を見事に歌いきっていると感動します。涙が出ます。
その他ついでながら、ジャズやシャンソンやと私が知らなかっただけで、実に味のある力量、表現力と魅力的な歌声を持った方々がいたのだと知りました。ジャズでは阿川泰子さんの色っぽさ、『人形の家』の弘田美枝子さんなども「え、こんなに上手くジャズが歌えるの?」と感心するばかり。シャンソンでも………と、とめどなく長くなりますから、ここらで打ち切りましょう。
……… ごきげんよう。