Three Pieces for Flute and Oboe - Eugene Bozza
本格的な寒波がやってきているようです。北陸の皆さんには、少しでも暖が取れるようにできるといいです。私は、岩手の雪深いところに育ちましたので、寒さには強いと思っていましたが、関東に来て長いのですっかり弱くなりました。南極の越冬隊の仕事を終えた年は、日本の冬を半袖で過ごせるそうですが、次の年にはもう普通の人と同じになるそうです。寒さへの耐性と言うものは、この程度のことらしいです。どうかお大事に!
さて、今日はボザの「3つの小品」を聴きますが、同じタイトルの作品は幾つかあって、このタイトルで検索をかけると、この作品の他「Eugène Bozza - “Trois Pieces” for four flutes」「Ensemble Corrélatif, Eugène Bozza - 'Trois pièces pour une musique de nuit'」など多くの作品が示されます。これが、ムラマツの楽譜の説明にある内容と関連します。
どうやら3と言う数字はサンドイッチと同じで、相性が良いようです。文学作品などでは、起承転結などと言う形もありますが、これは音楽では交響曲を思わせます。小曲では、3つ位のまとまりが収まりがいいのだと思います。緩急緩だったり、急緩急だったりします。いわゆるシンメトリックな感覚が収まりを感じさせるのでしょう。
形と言えば、図形では唐草文様に見られる、いわゆるアラベスクは永遠の命への憧れや螺旋へと変化します。この文様は、古くは蛇が蛇を咥えた形アラビア数字の8を横にした、メビウスの輪の形に似ています。中国では、ラーメン丼に見られる模様、日本では風呂敷に代表される唐草模様ですが、イスラムではモスクなどの装飾に豪華で華麗な姿を見せてくれます。
このように数字は、形とリンクしています。さらに三十一文字(みそひともじ)に代表されるように奇数の組み合わせは日本で好まれます。ローマ時代には、メーターという韻律があり、二歩格 (dimeter)、三歩格 (trimeter)、四歩格 (tetrameter)、五歩格 (pentameter)、六歩格 (hexameter)、七歩格 (heptameter)、八歩格 (octameter)といった形を持った詩が読まれていました。こうした詩の形はソネット、ヴィラネル、パントゥーンといった形で音楽にも表れます。つまり、言葉と音楽は対になっており、それが音楽の形式にも影響しているのです。本作から大分離れてしまいましたが、3という数字から関連した事柄を少し記述してみました。
さて、肝心のボザですが人物については以前の記事をご覧ください。日本では、ボザの作品は管楽器の楽曲が好まれてよく演奏されています。
※ 以前の記事
○ フルートの出番です53 ボザ「フルートのためのイマージュ」
※ 演奏会のご案内⑫
Bozza, Eugene TROIS PIECES
<解説>
この各楽章には具体的標題が付けられていませんが、3つの小品からなる牧歌 (田園歌)、つまり≪3つのパストラール≫と考えます。オーボエとフルートの不思議な響きの綾が奏でる「牧神の笛」です。第1曲 Moderato 4/4はオーボエの現代的な増4、減5度音程の響きを放つ半音階的旋律に、フルートが優しく応答し対旋律を奏でます。第2曲 Allegretto 9/8は中世風の古い民謡を牧童達が悲しげに奏で、軽妙に踊る農民舞曲を思い起こさせます。第3曲 Allegro 6/8は快活に踊る楽しいジーグ風舞曲で、時折、フルートとオーボエが共に下行半音階で滑り降り、主題と主題を結び合わせます。E.ボザは20世紀を代表するフランス現代音楽の作曲家で、管楽器室内楽作品のジャンルを多種多様な楽器編成により手がけ、芸術的な領域から教育教材の分野まで幅広く独創的に生み出しました。ちなみに、この小品は“ (ou flûte) ”の指示があるように「フルート二重奏」としても演奏されます。同タイトルの四重奏の名曲「TROIS PIÈCES [4Fl.]」や、同編成の二重奏曲の「TROIS ÉVOCATIONS [2Fl.]」と混同せぬように仲間入りさせて、共に舞台に上げてください