ショスタコービッチ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 | 翡翠の千夜千曲

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Schostakowitsch: Lady Macbeth von Mzensk – Suite ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Carlos Miguel Prieto

Dmitrij Schostakowitsch: Suite aus der Oper »Lady Macbeth von Mzensk« ∙ Zusammengestellt und bearbeitet von James Conlon ∙ 

(Auftritt) 00:00 ∙ 

I. Im Hof der Ismailows 00:40 ∙ 

II. [ohne Titel] ∙ 

III. Gefährliche Spannung 02:54 ∙ 

V. Katerina und Sergej I 04:55 ∙ 

VIII. Katerina und Sergej II ∙ 

IX. Der Trunkenbold 07:38 14:23 ∙ 

X. [ohne Titel] ∙ 

XI. Anrücken der Polizei 19:35 ∙ 

XII. In der Verbannung 22:08 ∙ 

hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony ∙ C

arlos Miguel Prieto, Dirigent ∙ 

hr-Sinfoniekonzert ∙ 

Alte Oper Frankfurt, 28. Februar 2019 ∙

 

 

 

 

 プロコフィエフは自分の作品の特徴を、「古典的な要素」「近代的な要素」「トッカータ、もしくは "モーター" の要素」「叙情的な部分」「グロテスク」の5つを上げているのですが、出来上がった作品は全く違うものの恐らくはショスタコービッチも似た要素を持っています。奇妙で奇抜、そして前衛的であり時に保守的であったり、彼なりの苦悩や葛藤や苛立ちも伺えます。ジャズやマーラーへの傾向を見せた時もありますが、一貫してパワフルでリズムへの集中、オーケストレーションの透明性などは大きな特徴と言えます。

 その、ショスタコービッチが26歳の時に発表したオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が、1934年の今日「ムツェンスク郡のマクベス夫人」がレニングラードで初演されています。いわく付きの作品で、当時の話題作ではありましたが、そんな折、1月26日にヨシフ・スターリンが側近と共にボリショイ劇場を訪れ、注目作品であるこの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を観に来ていたのですが、内容に激怒したと見え、2日後の1月28日、共産党中央委員会機関紙「プラウダ」に「音楽のかわりに荒唐無稽」と題する批判的な内容の無署名記事(プラウダ批判)が掲載されたのです。アルハンゲリスクでこのことを知った本人は至って冷静でしたが、スターリンの逆鱗に触れたことで、作曲者の身に危険が及びかねない状況となったため、この作品はレパートリーから外され、以後20年以上にわたり事実上の上演禁止となります。内様が、いわゆるエログロ、つまりスケベなもので、欧米では評判が高かったのですが共産党一色のソビエ ト連邦にあっては格好の餌食の対照でもあrました。今日は、その組曲版を聴きます。

  その後この作品は改作されますが、卑猥なセリフは上品になり表現も穏やかなものになりますが、原作とは別物だとかえって非難を浴びる場面もあったようです。その後は、以下のような記事が示しています。

 上述のプランは結果的に「プラウダ批判」によって潰れてしまい、以降作曲者はオペラ創作から遠ざかることになった。その後、ショスタコーヴィチはさまざまなオペラの創作に挑戦したが、結局『賭博師』(1941年)、『モスクワ・チェリョームシキ』(1957年 - 1958年)の2作しか手をつけておらず、しかも前者は未完、後者はオペレッタであまり高い評価を受けていない。ショスタコーヴィチの完成されたオペラは本作と『鼻』の2作のみである。当局がショスタコーヴィチに与えたトラウマの大きさがうかがえる。
 1978年に、EMIにて『ムツェンスク郡のマクベス夫人』の初演原典版スコア(リブレットはロシア語)による全曲初録音が行われた。指揮は作曲者と親交の厚かったムスティスラフ・ロストロポーヴィチで、ワシントンD.C.とウニヴェルザール出版社で発見されたスコアをもとに、妻のガリーナ・ヴィシネフスカヤやニコライ・ゲッダなどの歌手陣と、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団ほかの演奏にて録音されている。
 ドイツでは本作の人気が高く、ドイツ語版も盛んに上演されている。日本初演(1992年)もケルン歌劇場の来日公演によるドイツ語版であった。なお、ロシア語による日本初演は1994年に演奏会形式にて行われた。 

 思想と言えば高尚に聞こえますが、簡単に言えば共産党にとって不利な言葉や考え方は、徹底的に批判され、場合によっては命さえも失いかねない仕組みは誠に過酷なものです。ショスタコービッチならずとも苦しんだ人たちは多くいます。

 

※ 一年前の記事

○ フォスター / ヤッシャ・ハイフェッツ「金髪のジェニー」 

 

※ 演奏会のご案内⑫

 

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ヴラディーミル・ヴァネーエフ (出演), ジャンヌ=ミシェル・シャルボネ (出演)  形式: DVD