フルートの出番です294 ペンデレツキ「フルート協奏曲」 | 翡翠の千夜千曲

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Penderecki, Claudio Barile, Concerto for flute and Orchestra, Eijie Oue, ofba

Penderecki, 

Claudio Barile, flauta flute 

Concerto for flute and Chamber Orchestra, 

Eijie Oue, director conductor

orquesta filarmónica de buenos aires 

Buenos Aires Philharmonic Orchestra

live concert 2017 

Teatro Colón- Colon Theatre, May 18, 2017 

 

Andante 

Vivace 

Andante 

Allegro con brío 

Adagio-Vivo

Vivace 

Andante recitativo 

 

Claudio Barile plays a 14K gold Emanuel flute

 

 

 

 クシシュトフ(またはクリシュトフ)・エウゲニウシュ・ペンデレツキ(Krzysztof Eugeniusz Penderecki 1933年11月23日 - 2020年3月29日)は、ポーランドの作曲家で指揮者です。クラクフ生まれのカトリック教徒でした。ポーランド楽派の主要作曲家の1人とされています。指揮者としても活動し、古典から現代作品まで指揮しています。

 「広島の犠牲者に捧げる哀歌」などで知られるように、この曲は音響作曲法を曲頭から最後まで用いている。音響作曲法では、より自由な形式とともに厳格な対位旋律を生み出そうと、音色・テクスチュア・アーティキュレーション・音の強弱・旋律進行といった作曲技法などを用い、オーケストラを用いたトーンクラスターに大きな特徴がありました。創作の頂点と言われている「ルカ受難曲」を書き上げた後は新ロマン主義へ傾倒し、作風を古典的なものへ回帰させていきます。

 ペンデレツキは、広島市長に宛てた1964年10月12日付の手紙に「『哀歌』が、広島の犠牲が忘れ去られることは決してなく、失なわれてしまうこともなく(...)との、私の深い信念をあらわすものとなることを願っております」と記しているが、これは作曲後の話である。1990年にペンデレツキはハンブルク北ドイツ放送交響楽団の広島公演を自ら指揮して広島初演を果たした。

 このフルート協奏曲は、1992年、ローザンヌ室内管弦楽団50周年を記念して委嘱されたとあるように、晩年の作品に近いと言えますが、さらにその後80を過ぎても作曲していたのですからタフな人物でした。作品については三上さんの説明に詳しいので省略します。

 

 

<演奏者>

 ブエノスアイレス生まれのクラウディオ・バリレは、アルゼンチンの芸術音楽の伝統を代表する人物として、南米、ヨーロッパ、アメリカで長く成功を収めてきました。
 1984年よりブエノスアイレス・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者兼ソリスト、1974年より同楽団員として、有名なテアトロ・コロンで主要なフルート・ソロ・レパートリーを演奏している。今シーズンのソロ演奏では、ジャック・イベール、モーツァルト、CPEバッハのフルート協奏曲を演奏しました。
 また、ブエノスアイレス・ミュージカル・アンサンブル、メキシコ・オーケストラ・オブ・ジ・アメリカズ、アルゼンチン国立交響楽団のオーケストラも務めている。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演する傍ら、クラウディオ・アバド指揮ブラームス・セレナータ第1番ニ長調作品11の録音に参加。
 カメラータ・バリローチェのメンバーとして、ヨーロッパやアメリカでのコンサートや、ニューヨークのカーネギーホールの100周年記念式典での歴史的な演奏など、国際的なソロ活動を行っている。

<大植英次>

 広島市で生まれ、4歳よりピアノをはじめる。ティンパニ、トロンボーン、フルート、ホルンなど多くの楽器を経験。桐朋学園で斎藤秀雄に師事、1978年に小澤征爾の招きで渡米 。ボストンのニューイングランド音楽院で学んだ。タングルウッド音楽祭に参加。幼少の頃からの憧れであったバーンスタインと出会い、各地の演奏会で助手をつとめた。1985年にはバーンスタインと共に広島平和コンサートに出演し、糀場富美子の「広島レクイエム」を指揮した。1990年の第1回PMF音楽祭では病で帰国したバーンスタインの代演をしている。

 

 

 

ペンデレツキ、クシシュトフ/フルート協奏曲(1992)

Penderecki, Krzysztof CONCERTO (1992)

<解説>

 ペンデレツキはポーランドの現代作曲家。1960年、トーン・クラスター技法を全面的に使った弦楽のための「広島の犠牲者の追悼のための哀歌」で一躍、注目を集めました。宗教的な題材を用いた「ルカ受難曲」(1965)は、代表作とされます。その後、スターン、ロストロポーヴィチ、アンネ=ゾフィー・ムターなど著名なソリストのために次々と協奏曲を作曲するようになります。

 「フルートと室内オーケストラのための協奏曲」は1992年、ローザンヌ室内管弦楽団50周年のために委嘱され、翌年にランパルと作曲者自身の指揮によって初演されました。ソロのフルートと木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器それぞれのパートが室内楽的に精密に関わり合い、各所にカデンツァをはさむ、独特なスタイルの協奏曲となっています。3音の音形がしりとりのように他の楽器に受け継がれるなど、分かりやすい工夫が見られます。クラリネット・ソロに始まり、主にスタッカートで各楽器が活発にやり取りする最初の部分、トランペットが主導する対位法的な部分を経て、抒情的でなだらかなAndanteを中央に据え、Allegro con brioからトムトムの伴奏を皮切りに始まる整然とした部分、フィナーレにふさわしいにぎやかな展開を経て、中間部のAndanteを回想して静かな終止に到ります。(解説/三上明子)

 

ライネッケとペンデレツキ:フルート協奏曲

クシシュトフ・カチカ 、 フェリペ・トリスタン 、 ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団