ホルンの出番です361  デンツァ「フニクリ・フニクラ」オーストラリア「ウオルシング・マチルダ」 | 翡翠の千夜千曲

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Funiculi Funicula

 

Funiculi Funicula ·

 Luigi Denza Four Corners! 

℗ 2011 Gebr. Alexander GmbH 

Released on: 2011-11-07

 

Waltzing Matilda

Waltzing Matilda · 

James Barr Four Corners! 

℗ 2011 Gebr. Alexander GmbH 

Released on: 2011-11-07

 

 

 

 

 今日は、ベルリンフィルの4人組フォーコナーズのCDを音源にお話です。正式には、ベルリン・フィルハーモニー・ホルン・カルテット、構成員は、シュテファン・ドール、ファーガス・マックウィリアム、クラウス・ヴァレンドルフ、サラ・ウィリスです。どれも楽しい曲ですが、今日はフニクリ・フニクラとウオルシング・マチルダを聴きます。

 両方とも、小学生位から知っている曲です。片や「鬼のパンツ」であります。出所は世界で一番古いコマーシャルソングとして知られています。1880年にヴェスヴィオ山(火山)の山頂までの登山鉄道(ケーブルカー、イタリア語で「フニコラーレ(Funicolare)」)の「ヴェズヴィアナ鋼索線」が設置されましたが、利用者が少なかったことから、運営会社が宣伝曲を作ることを考えたのです。依頼を受けた作曲家のルイージ・デンツァが作曲し、ジャーナリストのジュゼッペ・トゥルコが作詞したものですが、にわかにこの曲はヒットし利用者が増えたことは事実です。

 この山は活火山ですから1944年に噴火し運行は中止されました。しかし、この曲は生き残り世界中で歌われるようになったから不思議です。不思議続きは、リヒアルト・シュトラウスに飛び火します。この曲を知ったリヒャルト・シュトラウスは、イタリアに古くから伝わる民謡だと勘違いしたようで、1886年に作曲した交響的幻想曲「イタリアから」(Aus Italien) にこのメロディを使ってしまったのです。それを知ったデンツァは裁判に訴え勝訴し、以降この曲が演奏されるごとにシュトラウスはデンツァに対して著作権料を支払っていたという話です。

 このCDは世界旅行に皆を連れて行ってくれるのですが、オーストラリへも行っています。これもオーストラリアの民謡かと思っていたらイギリスの歌が元歌らしいです。1895年にウィントンのキャトルステーション「Dagworth Station」に滞在していたジャーナリストのバンジョー・パターソンが、婚約者の友人クリスティーナ・マクファーソンがツィターで演奏した行進曲風の「Thou Bonnie Wood Of Craigielea」というスコットランド音楽のメロディに歌詞を付けたものです。

 ワルチングは「当てもなくさまよい歩く」という意味で、マチルダは「寝袋かそのような寝具が束になったもの」を指します。放浪者の歌とでも言えば良いでしょうか。この歌は、第二国家とも言われるほどで、女子サッカーチームは「マチルダズ」と言っていたのではありませんか?「なでしこ」とか「サムライ」と言うのと同じです。

 歌詞には色々なパターンが存在するそうですが、一般的なものは下記のようだと言われています。

 ある日、陽気なスワッグマン(Swagman,で放浪者の意)がビラボン(三日月湖や大きな水たまり、沼の意)のそばに野宿していると、羊が水を飲みにやって来た。どこかの農場主の羊であるに違いないが、あまりにも飢えていた彼は捕まえて食べた。残りの肉はずだ袋に入れて、歌った。「Who'll come a-walzing Matilda with me?  誰か俺と一緒にマチルダワルツ(毛布ひとつで放浪)するやつはいないか。」

 やがて、3人の警官がやって来た。「お前のその袋の中に、盗んだ羊があるだろう?」。捕まれば縛り首になることがわかっていた彼は「You'll never take ma alive. お前らなんかに、おめおめ生きて捕まるもんか」と言って、沼へと跳びこんだ。

 今でもその沼のそばを通れば、幽霊の歌声が聞こえるらしい。「誰か俺と一緒に放浪するやつはいないか?」と。

 唄だけが生き残る、こいつは凄いことだと思います。詠み人知らずと言うのがありますが、主なしとて花は咲くのですなあ。念のため出所を記しておきましょう。「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな(春な忘れそ)」菅原道真ですなあ。そう言えば、今年のNHKは紫式部の話ですね。

  メロディを吹いているのはシュテファンドールでしょうが、下吹きをしているサラ・ウイリスがまたいい味出しているんだよなあ!3番と4番馬鹿にすんじゃねえぞ!

 

 

Four Corners!
Berlin Philhamonic Horn Qurtet
clasical 2011

【曲目】
ベスト・オブ・ザ・ウェスト(名作西部劇より)
オールマン・リバー
ベサメ・ムーチョ
コンドルは飛んでいく
アリア・カンティレーナ(ブラジル風バッハ 第5番 第1楽章)
粉屋の踊り(「三角帽子」より)
パリの空の下
フォー・コーナーズ(イギリス各地の民謡より)
アニトラの踊り
ソルヴェイグの歌
山の魔王の宮殿にて
ピツィカート・ポルカ
フニクリ・フニクラ
誰も寝てはならぬ
カリンカ
ライオンは寝ている
ワンタン・ホルンズ(チャイニーズ・キッチン・ドリームズ)
ずいずいずっころばし
東京地下鉄ポルカ(または「西高島平」)
ワルチング・マチルダ
ブラームスの子守唄
【演奏】
ベルリン・フィルハーモニー・ホルン・カルテット
 シュテファン・ドール、ファーガス・マックウィリアム、クラウス・ヴァレンドルフ、サラ・ウィリス
(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ホルン・セクションより)
【録音】
2011年 ベルリン・フィルハーモニー 室内楽ホール