Feld Duo Concertant for Two Flutes
Jindřich Feld- Duo Concertant for Two Flutes
I. Introduzione
II. Toccata
III. Intermezzo
IV. Scherzo
V. Epilogo
Anglea Jones-Reus, Flute Nicole Esposito, Flute
LIVE University of Iowa School of Music October 2, 2017
ずっとフォルテだということは、ずっとピアノなのと同じことだ。ずっと音楽が鳴り続けているのは、音楽が鳴っていないのと同じ?物理的な意味ではない。フォルテとピアノは、比較において始まる。大と小も同じである。物差しが何かによって基準が変わるので、ここに絶対は存在しない。それゆえ、G・P(ゲネラルパウゼ)は有能であり、雄弁であり偉大なのだ。とは言え、どこかの国の住人のように、「沈黙は金であり美徳だ」などと言う意味でもない。
近代や現代の音楽において、リズムは切り刻まれ、数学的に或は人為的で感覚で捉えることのできる極限まで追求されてきた。そうした音楽は、極端に緊張を強いるものであり、時には独りよがりの思想を押し付ける。ある意味カルト集団にも似ている。そうした意味においても武満徹の音楽は偉大だった。「僕は、嘘をつくしね」と自分の文章について語ったことがある。
実は、嘘は偉大だ。いや正直に言えば、少なくとも本人は嘘だとは思っていないのだから、彼にとっては真実かも知れない。彼にとって間違いなく虚構だと信じて疑わないものも、実は真実と全く変わらないと言うこともできる。出来上がった作品と言う形で存在するものに見える意思は百人百様に捉えることができるだろうか。人は推測することでしか判断することができない。優れた人は、蓄積したデータから経過を辿り分析し、傾向からこれを類推するだろうが、必ずしも正解を導き出すとも思えない。ここにも不確定性の原理は働くのだろうか。ああ、この文章は頭の悪い奴が書いたと自白しているようなものだ。
つまり、近代や現代の音楽作品の多くが、こうした矛盾と危機をはらんでいるが故に、今日も探求者は進んでいく。
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今日の作品、「協奏的二重奏曲」ですが、私はこの作曲家についてあまり詳しくはありません。資料を基に紹介していきます。インドゥジヒ・フェルト(Jindřich Feld、19 February 1925年2月19日 – 2007年7月8日)は、チェコのクラシック音楽の作曲家です。
フェルトは音楽一家に生まれ、父親はオタカル・シェヴチークの伝統を受け継ぐプラハ音楽院の有名なヴァイオリン教授でした。母親もヴァイオリニスト。彼は、ヴァイオリンとヴィオラを父に師事する傍ら、早くから作曲を学び始め、プラハ音楽院で学び、1952年に音楽アカデミーを卒業しました。この年、プラハのカレル大学で音楽学、美学、哲学の学位を取得し、博士号を取得しています。
1968年から2年間、フェルトはオーストラリアのアデレード大学の作曲の客員教授としての招聘され、またプラハ音楽院でも教鞭を執り、1972年から1986年まで作曲の教授を務めています。1981年と1984年にはインディアナ大学で客員講師を務め、デンマーク、ノルウェー、ドイツ、フランス、イギリス、そして1991年には日本でも教鞭を執っています。
オペラや合唱曲、交響曲、室内楽などの作品の他、国際的に最も有名な作品の1つは、1957年に書かれたフルートとオーケストラのための協奏曲です。ジャン・ピエール・ランパルはこの協奏曲を委嘱し、複数のコンサートで演奏し、録音しました。フルートのためのソナタ(1980年)は、すべてのヴィルトゥオーゾのレパートリーの標準的な曲です。ランパルは、フルート、弦楽四重奏、打楽器のための非常に精巧で名人芸的な幻想協奏曲を注文し、パリで初演されました。
フェルトは半世紀以上にわたる活動の中で美的指針を鍛え上げ、当初はマルティヌーに親近感を抱いていましたが、それ以上にドビュッシーからメシアン、そしてオネゲルを含むフランス楽派に親近感を抱いていたことを認めています。彼は、ストラヴィンスキーやプロコフィエフのよりフランス的な側面や、バルトークの民族的な側面に似ていると感じていました。
※ お知らせ
ネットでも各社予約受付中です(ネット発売日は11月1日です)
Feld, Jindrich DUO CONCERTANT
<解説>
J.フェルト (1925-2007) はチェコ生まれの現代作曲家で、1972年から母校のプラハ音楽院で作曲の教鞭を執りました。彼の音楽の特徴は簡素化、明瞭さを追求した器楽曲が多く、それぞれの楽器の特性を熟知した活用法と色彩感は魔術師のようです。この 『協奏的二重奏曲 (1982) 』 は、半即興性を伴う楽句や近代特殊技法を用いた 【超技巧的演奏会用二重奏曲】 です。組曲風で自由な形式による緩急の5曲からなります。I.イントロダクション(序奏)II.トッカータIII.インターメッツオ(間奏曲)IV.スケルツォV.エピローグ(後奏曲)以上、全曲共に半音階的な (1st & 2nd) 音の綾で結ばれ、現代風で神秘的な響きが美しく魅力的です。(解説/佐野悦郎)