ホルンの出番です269 ベートーヴェン「六重奏曲変ホ長調 作品81b」 | 翡翠の千夜千曲

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Beethoven: Sextett für zwei Hörner und Streicher Es-Dur op. 81b ∙ Musiker des hr-Sinfonieorchesters

I. Allegro con brio 00:00 ∙ 

II. Adagio 08:00 ∙ 

III. Rondo. Allegro 11:39 ∙ 

 Laurent Weibel, Violine ∙ Alexandra Raab, Violine ∙ Kerstin Hüllemann, Viola ∙ Christiane Steppan, Violoncello ∙ Marc Gruber, Horn ∙ Gerda Sperlich, Horn ∙ Final Call: Beethoven ∙ hr-Sendesaal Frankfurt, 6. Dezember 2020 ∙

 

     

       ベートーヴェン:六重奏曲変ホ長調 作品81b (スコア付き)

作曲年代:1795年 ホルン:ヘルマン・バウマン,ウラジミール・シャムバソフ 弦楽四重奏:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

00:00 第1楽章 Allegro con brio (変ホ長調) 

07:50 第2楽章 Adagio (変イ長調)

11:32 第3楽章 Rondo: Allegro (変ホ長調)

 

 

 

 「六重奏曲変ホ長調 作品81b」は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した、2本のホルンと弦楽四重奏のための室内楽曲です。1795年(25歳)頃に作曲されたベートーヴェン初期の作品ですが、1810年に出版されたため、作品番号は大きくなっています。2つのホルンと弦楽四重奏のための作品ですが、弦楽四重奏は伴奏の役割が主で、ホルンに高度な演奏技術を要求する点で協奏曲風です。

 作曲当時はヴァルブ付きホルンの発明前で、ナチュラルホルンを前提としていますが、ストップだけで音をコントロールすのは相当に難易度が高いです。勿論、現代のホルンを用いても演奏難易度は高い方です。 

 第1楽章はソナタ形式で、第1ホルンの超高音(実音F5)、第2ホルンのアルペジオが印象的であす。第2楽章は変イ長調の緩徐楽章で、E♭管ナチュラルホルンには演奏は難しい調性です。第3楽章はロンドで、第2ホルンに登場する16分音符のアルペジオや、超低音(実音B♭1)が難易度が高いと思われます。つまり、様々な角度から見て結構大変な曲であると言えます。

 普通の編成の協奏曲に組み込まれるフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットなどの木管楽器がありませんので、華やかさや色彩的な変化をもった響きは余りありません。ブランデンブルク協奏曲第1番のような各楽器の対比の妙は味わえず、あくまでもホルンの響きを楽しむ曲といえます。曲はホルン協奏曲のような趣きを持っており、ベートーヴェンの作品の中でも変わった作品と言えます。弦楽器は伴奏に近い扱いで、終始2本のホルンによって曲が進行していきます。総譜の書法や曲の構成から見ても、かなり協奏曲に近い作品と言えます。

 

※ 演奏が困難なホルンパート

 ホルンの難所が楽譜に散見される。現代のバルブ付きホルンを用いればストップ奏法に頼らずに音を出せるものの、演奏はあまり楽にならない。

第1ホルン

 音階的な動き及びレガートが終始高音で要求される。

・ 12度にわたる急速な音階の演奏とその終着点の超高音(in E♭で上第2線の「レ」、実音のF5)。

・ 高音域でのレガート奏法による息の長いメロディーの演奏。

・ 全楽章で頻繁に出てくる上第2線の「ド」(実音のE♭5)。

第2ホルン

 急速かつ幅広い音の跳躍によるアルペジオや中低音での半音階など、第1ホルンよりも技術的には高いものが要求される。

・ ストップ奏法ではかなり演奏の難しい音の多用。

・ 跳躍幅は狭いものの、16分音符で滝のように落下していく急速なアルペジオ。

・ 8分音符で12度音程の跳躍を含むアルペジオ。

・ 自然倍音にない音が多く、演奏不可能な場合のOssiaがわざわざ書かれている第3楽章の16分音符のアルペジオ。

・ 終楽章コーダ前の、第2倍音のE♭2から完全四度下のB♭1まで下がる低音域での半音階。  ※ 資料ウィキペディア

 困難な点を多々挙げてしまいましたが、音楽そのもは青年ベートーヴェンの若々しく瑞々しい感性を楽しんで聴いてほしいです。

 「弦楽6重奏曲作品81b」「六重奏曲変ホ長調 作品81b」など表記は数種あるようですが、作品番号81bで確認します。今日は、12月14日(水)に行われる演奏会。東京ジュニアオーケストラソサエティ卒団生によるClassical  Concert  ~ドイツ音楽を巡る旅~で演奏される作品の事前学習をしてみました。

 

 

ベートーヴェン: 弦楽五重奏曲、六重奏曲 [UHQCD]

アカデミー室内アンサンブルAcademy of St. Martin in the Fields Chamber Ensemble

アカデミー室内アンサンブル
ケネス・シリトー、マルコム・ラッチェル(ヴァイオリン 作品29、作品81b)
ロバート・スミッセン(ヴィオラ 作品29、作品81b)、スティーヴン・ティース(ヴィオラ 作品29)
スティーヴン・オートン(チェロ 作品29、作品81b)
アンドルー・マリナー、リチャード・ウェスト(クラリネット 作品71)
グレアム・シーン、ギャヴィン・マクノートン(ファゴット 作品71)
ティモシー・ブラウン、ニコラス・ヒル(ホルン 作品71、作品81b)