シェーンベルク「室内交響曲1番」ロマン派の音楽㉗ | 翡翠の千夜千曲

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アーノルド・シェーンベルク:室内交響曲第1番 作品9|クリスティアン・マチェラル|WDR交響楽団

アーノルド・シェーンベルクの「室内交響曲第1番 op.9 〜15の独奏楽器のための〜」は、クリスティアン・マシェラル指揮WDRシンフォニエオーケストラが2021年2月6日にケルナー・フィルハーモニーで演奏。

 

 

 

 

 以前に書いたように、シェーンベルクは最初から12音音楽を書いていたのではありません。

全曲12音技法で書かれた「ピアノ組曲」op.25の「プレリュード」(1921年7月完成)が最初です。

 初期は「ペレアスとメリザンド」「浄められた夜」などのような、後期ロマン主義の作品を書いていましたが、その著しい半音階主義からやがて調性の枠を超えた新しい方法論を模索していきます。「室内交響曲第1番」は後期ロマン派の大規模な管弦楽編成からあえて室内オーケストラを選び、4度を基本とした和声を主軸とした高度なポリフォニー作品となっています。これ以降、彼の実験は更に深められ、次第に調性の放棄=無調による作品を志向するようになっていきます。

 ではいつも通り、シェーンベルクの簡単なおさらいをしておきましょう。生年月日を見れば分かりすが、モーリス・ラヴェル、エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ、オットリーノ・レスピーギなどより若いのです。

 アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg, 1874年9月13日 - 1951年7月13日)は、オーストリアの作曲家、指揮者、教育者。 調性音楽を脱し無調に入り、十二音技法を創始したことで知られる。アメリカに帰化してから1934年以降は、「アメリカの習慣を尊重して」"ö"(o-ウムラウト)を"oe"と表記したSchoenbergという綴りを自ら用いた。アメリカでは「アーノルド・ショーンバーグ」と呼ばれた。

 室内交響曲第1番ホ長調(Kammersymphonie Nr.1 E-Dur)作品9は1906年に書かれた作品です。15人の奏者による編成で、管楽器が弦楽器の数を倍を超えます。当時の常識では考えられないほどに斬新なスタイルでした。大量の弦楽器が管楽器を補うといった考えが主流でしたが、そうした常識に真っ向から対立したと考えられます。トッティになれば当然非常に鋭い音色になります。

 初演時は非難の嵐であったが、聴衆の中には新しい響きを評価する者も少なからずいて、居合わせたマーラーなどは毅然とした態度で拍手を続け、野次を飛ばす人をたしなめるあまり、喧嘩になりかけたほどであった。もっとも、マーラーは「曲のよさはわからないが、おそらくシェーンベルクが正しいだろう」とこの帰途に妻アルマに感想を述べている。

オリジナル版(作品9)
フルート(ピッコロもちかえ)、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット2(D管、A管)、バスクラリネット(A管)、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
管弦楽版(作品9b)
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、イングリッシュホルン、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、弦五部

 アーノルド・シェーンベルク(1874年~1951年)の室内交響曲第1番作品9の第4番の冒頭のファンファーレは、新しい音楽の出発の合図のようなものと考えられています。珍しいタイトルが示すように、厳密には別々の世界だった2つの世界が合体した作品です。交響曲と室内楽。その際、シェーンベルクは後期ロマン派作品の大規模なスケールから目を背け、(木管楽器)と弦楽器の混成アンサンブルに頼っています。楽器編成により、音色の簡潔さと透明感が確保されています。楽器の性格が違うため、すべての声がはっきりと聴こえてきます。ソリストとして必要とされる15人の音楽家は、それぞれが音楽イベントに参加し、等しく重要な役割を果たします。
 しかし、1907年2月8日に行われたロゼ四重奏団とウィーン宮廷歌劇場管弦楽団のメンバーによるウィーン初演はスキャンダルとなりました。"多くの者はこの作品が終わる前に 外務省から笑いながら逃げ出した 多くの者はヒースと口笛を吹いていた "と "Illustrierte Wiener Extrablatt "紙は報じています 一般的にシェーンベルクの作曲は、"音楽と間違えることのできない、荒々しく、民主主義的な音を奏でる "と続けています。しかし今日では、彼の室内交響曲第1番は、20世紀初頭の紛れもない古典の一つとなっています。(文:マティアス・コルビン)

 今私たちが聞けば、少なくともこれほどの騒ぎになるほどの作品ではないと思えるのは、幸いなのかは判りませんが、少なくともこの時点ではシェーンベルクが間違えた道を歩いていたのではないことは判ります。 

 今日は、早朝から身内のケガがあって現在19:00に帰宅したところです。乱筆乱文お許しあれ!

 

※ 以前の記事

・ 前衛の哀しみ シェーンベルク(モン)「チェロ協奏曲」

 

 

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アルフレート・ブレンデル