フルートの出番です177  キュイ[5つの小品]op.56 | 翡翠の千夜千曲

翡翠の千夜千曲

音楽を学びたい若者で困難や悩みを抱えている人、情報を求めている人のための資料集

    

       Cesar Cui - 5 petits duos op.56 for flute, violin and piano

-Badinage (0:00) -Berceuse (1:10) -Scherzino (3:35) -Nocturne (5:30) -Valse (8:20) Eva Álvarez (flauta) Iván López (violín) Fernando Cruz(piano) Ciclo de Música de Cámara de la Orquesta de RTVE Concierto celebrado el día 14 de Febrero de 2015 en el Teatro Monumental de Madrid Chamber Music Concert. Members of RTVE Orchestra in Teatro Monumental, Madrid.

 

 

 

 何ともミスマッチで可愛らしい逸品です。作曲者本人の風貌もさながら、筋金入りの本職軍人だったセザール・キュイが作曲した作品です。そうです、今日の大事な教訓は「人を見た目で判断してはいけない」のであります。

 ツェーザリ・アントーノヴィチ・キュイ( Це́зарь Анто́нович Кюи́ Ru-Tsezar-Antonovich-Kyui.ogg , 1835年 - 1918年)は、ロシアの作曲家、音楽評論家・軍人で、ロシア五人組の一人である。作曲者自身の用いたフランス語表記に従って、セザール・キュイ(César Cui)と呼ばれる。リトアニア語では「ツェーザリウス=ベニヤミヌス・キュイ(Cesarius-Benjaminus Cui」となる 。10曲のオペラを残したほか、ピアノ曲『25の前奏曲』など素朴な作品もある。五人組の中では長寿に恵まれ、厖大な作品数を残した。
 実践的な軍事教練の専門家として著名でありながら、余技で精力的に作曲活動を続けた。同時に、辛辣で攻撃的な音楽評論家としても活躍した。このためロシア楽壇内で人望がなかったが、没年まで作曲を続けた。ロシア国内においても全集編纂の話はなく、出版された全作品がLyle Neffの手によって回収できたのは、20世紀末に入ってからである。

 と、まあかように評判の悪い男なのでありますが、当然と言えば当然。5人組の一人でありながら、身内でも容赦なく酷評したものですからキュイの歩いた後には草も生えなかった。少し大げさでしたが、ラフマニノフの交響曲第1番では、酷評されたラフマニノフが楽譜を破り捨て、しばらくの間筆を取れなくなってしまうほどでした。

 評論家としての当初の目標は、同時代のロシアの作曲家の名を広め、特に「五人組」の(こんにちではキュイより有名になった)他の同人の作品を広めることにあった。しかしながら「五人組」の仲間でさえ、キュイの文面のそこかしこに、否定的な反応に出くわさずに済んだ訳がなく、とりわけ1874年のムソルグスキーの《ボリス・ゴドゥノフ》の初公演は、不愉快な批評がなされている。(後においてキュイはムソルグスキーの作品を擁護し、《ソロチンスクの市》の最初の実用版を作成するまでになる。)

 キュイ作品の数多くの音楽作品は、全音音階や和声法において、19世紀ロシア音楽の作曲様式上に関心は示しながらも、キュイ自身の作風は、グリンカやダルゴムイシスキー以降のロシア音楽へのこだわりは薄く、シューマンなど同時代のフランス音楽にに近いとも思えます。

 彼は、ピアノ曲や、弦楽四重奏曲を含む室内楽も数多くあり、厖大な合唱曲や管弦楽曲を残しましたが、作曲家としての最大の関心はオペラに向いていたようです。そのオペラは14ほどあり、比較的人気の高いものは「赤ずきん」「黒死病の時代の饗宴」「大尉の娘」「長靴をはいた猫」などです。

 この5つの小品は1897年に書かれたもので、作品の簡単な紹介は下にある佐野氏のライツノートと重複しますので割愛します。ですが、色々なことを分かったうえでもこよなく可愛らしいこの曲をぜひ子供達や音楽好きの皆さんに紹介してあげてください。

 

 

キュイ、セザール/5つの小品 OP.56

Cui, Cesar 5 PIECES,OP.56

<解説>
 キュイはフランス系ロシアの作曲家、批評家、軍人です。ロシア国民楽派で「ロシア5人組」の一人として活躍し、10曲のオペラをはじめ多くの室内楽作品等を残しています。また、築城学の権威でもあり、それに関する著述も書き残しています。この作品は癒しの二重奏曲集(Fl.Vn.Pf.)で、美しい色彩に包まれた特徴的な叙情的組曲です。I. Badinageは「冗談」の意味で、軽妙で陽気なバディヌリ舞曲です。II. Berceuseはゆりかごが揺れるようなオスティナート・バス上に静かに穏やかな旋律が流れます。III. Scherzinoは三部形式で書かれた軽快で楽しい小スケルツォです。中間部は優美なワルツ風に変身します。IV. Nocturneはヴァイオリンが悲しげに旋律を奏でるなか、小夜啼鳥のようにフルートが囀り、また歌います。V. Waltzは三部形式で書かれ、軽妙なリズムで踊られるスケルツォ風ワルツですが、中間部では優美なワルツに変身します。(解説/佐野悦郎)