ホルンの出番です205 スタンフォード「ホルンと弦楽四重奏のための幻想曲 」 | 翡翠の千夜千曲

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           Fantasy in A Minor

Fantasy in A Minor · Daniel Ember · Anne Feltz · Brigitte Draganov · Alejandro Regueira Caumel · Georg Boge

 

      

 Medical Arts Symphony: Charles Stanford's Fantasy for Horn and String Quartet

 

 

  今日は、スタンフォードの「ホルンと弦楽四重奏のためのファンタジー」を聴きたいと思います。静止画の方が良い演奏ですが、実際の演奏場面を入れることを基本にしていますので動画も入れておきました。演奏と言うものは、見た感じというのも大切な要素ですが、音だけでも相当に様子が伝わってきます。特に、気持ちが入っているかどうかは大変重要です。気持ちのない音楽は最悪です。

  スタンフォードは、ファンタジーという名前のついた曲をかなり書いています。アイルランドを意識した作品には、好感が持てるものが多いのですが、情熱が足りないという批評も一部にはあるようです。裕福な家庭に育ったおっとり気質なのかもしれません。

 サー・チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(Sir Charles Villiers Stanford, 1852年 - 1924年)は、アイルランド人の作曲家で教師、指揮者でした。ダブリンの裕福で音楽的教養の高い一家に生まれたスタンフォードは、ライプツィヒとベルリンで音楽教育を受ける以前はケンブリッジ大学で学んでいました。そのため、彼は国際的に著名な演奏家を招きケンブリッジ大学音楽部との共演を実現させることで、同楽団の地位を引き上げる立役者となりました。 

  スタンフォードは7つの交響曲、約40の合唱曲、9つのオペラ、11の協奏曲、28の室内楽曲、歌曲、ピアノ曲、付随音楽そしてオルガン曲を含めて約200の作品を作曲した。スタンフォードの生涯を通じて、彼の卓越した作曲技術はほとんど疑念の余地のないものであった。作曲家のベイントンは彼についてこう語っている。「スタンフォードの音楽に関しては多様な意見があるだろうが、そういったものはいずれにせよ、技法に関して彼は完璧だということで落ち着くのではないか、と私は思っている。彼が手を付けたものは何でも'成功'した。」スタンフォードが永眠した日、彼の教え子であったホルストは、同じく教え子であったハウエルズに向かってこう言った。「我々が技術的に混乱した時、それが誰であっても救い出すことのできる人が逝ってしまったのだな。」

  「スターバト・マーテル Stabat Mater」と「レクイエム Requiem」は合唱のレパートリーとして地位を保っており、トーマス・ビーチャムは後者を擁護した。彼の2つの海に関する歌曲集と歌曲「青い鳥 The Blue Bird」は依然として時おり演奏の機会に恵まれていたものの、オペラに関しては最も人気のあった「探偵オブライエン Shamus O'Brien」ですら、使われている「アイルランド舞台言葉」が古臭いものと見なされるようになった。しかしながら、ディブル(Dibble)は2002年のスタンフォードに関する考察において、生の演奏でなくてもCDとして手に入る機会の増しているその音楽が、いまだ驚くべき力強さを備えていると記している。

  バーナード・ショー以後に書かれたスタンフォードの音楽に対する批判で最も多いのは、彼の音楽には情熱が足りないというものである。ショーは「ケルト人のスタンフォード」を称賛し、ケルト的情感を抑制した「スタンフォード教授」を忌み嫌った。スタンフォードの教会音楽に関して、ニコラス・テンパーレイ(Nicholas Temperley)はこう気付いた。「芸術体験としてすっかり満足できるのだが、おそらく心に深く染み入る宗教的衝動が不足しているのではないか。」スタンフォードが本気で争ったパリーや彼の競争的な性向により、スタンフォードはサリヴァンと張り合うことになった。しかし、彼はそれを本当ならば才能が発揮できたはずの喜劇ではなく、オラトリオで行おうとした。ロッドメルはそうしたオラトリオを「たまたま権力や深遠さといった価値観に合致しただけ」の大言壮語だと呼んでいる。

<演奏者>

ダニエル・エンバー - ソロホルン奏者
 ダニエル・エンバーは1982年にハンガリーのデブレツェンで生まれ、同国のゾルタン・コダーリ音楽学校でミクローシュ・コケニェシに音楽を学んだ。その後、ブダペストのフランツ・リスト音楽アカデミーでフェレンツ・タルヤーニに師事。この訓練の間、彼はブダペストのエルヌ・ドホナーニイ交響楽団とハンガリーのテレコム交響楽団ブダペストのメンバーでした。
  2005年、ダニエル・エンバーはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団アカデミーに入学し、2007年までステファン・デ・レヴァル・イェジエルスキに師事した。2010年から2011年まで、彼はベルリン音楽大学「ハンス・アイスラー」のマリー=ルイーゼ・ノイネッカーのクラスにいました。2014年から2018年までベルリン芸術大学でクリスティアン=フリードリヒ・ダルマンに師事。2007年から2013年までハンブルク国立歌劇場の首席ホルンを務めた。
  ダニエル・エンバーは、2001年のブルノ(チェコ共和国)、2002年のロンドン、2004年のテルフ(オーストリア)など、数多くの賞を受賞しています。2010年ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位、2012年マルクノイキルヒェン国際器楽コンクール第3位。
  2013年からベルリン放送シンフォニー管弦楽団の首席ホルン奏者を務め、2017年からはバイロイト音楽祭管弦楽団のメンバーでもある。

 

 

スタンフォード: ピアノ五重奏曲/幻想曲

ベルリン放送交響楽団のメンバー 、 ニコラウス・レーザ