アルビノーニ(ジャゾット)の「アダージョ」 | 翡翠の千夜千曲

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       Tomaso Albinoni - Adagio (best live version)

 

  「アルビノーニのアダージョ」とずっと思われていた作品が実は違ったなんてことは、この世界ではごくあり得ることなのです。モーツアルトの子守歌も、ハイドンのコンチェルトも枚挙にいとまがありません。向田邦子の書いたドラマのテーマ曲に使用されたことがあります。はっきりとは覚えていませんが、何となくじれったいような寂しいドラマだった気がします。

<ストーリーのあらまし>

  製薬会社勤務の水田仙吉と戦争成金の門倉修造は、姿も性格も正反対であるが無二の親友。門倉は水田の妻・たみをひそかに愛しており、水田もたみもそれとなく察している。互いに気付きながら、誰も口にしない微妙な関係と周りの人々との人間模様を、昭和初期の時代と風俗を背景に描く。タイトルは男2人を一対のこま犬に例えたもの。向田邦子の脚本ならではの情感を細やかに表現した、1980年(昭和55年)放送のドラマである。

贋作?それとも原曲? 

 「アダージョ ト短調」は、レモ・ジャゾットが作曲した弦楽合奏とオルガンのための楽曲で、弦楽合奏のみでも演奏されます。1958年に初めて出版されました。弔いの時になんかかけられるとたまんねえなあ。
  この作品は、トマゾ・アルビノーニの「ソナタ ト短調」の断片に基づく編曲と推測され、その断片は第二次世界大戦中の連合軍によるドレスデン空襲の後で、旧ザクセン国立図書館の廃墟から発見されたと伝えられてきました。作品は常に「アルビノーニのアダージョ」や「アルビノーニ作曲のト短調のアダージョ、ジャゾット編曲」などと呼ばれてきましたが、この作品はジャゾット独自の作品で、原作となるアルビノーニのものではまったくなかったのです。

 アルビノーニの贋作で、ジャゾットの手になるただのアダージョとなれば原曲になりますなあ。「おいら、しらねえもん」って言ってるよきっと。  

  レモ・ジャゾット(Remo Giazotto, 1910年9月4日 ローマ – 1998年8月26日 ピサ)はイタリアの音楽学者で、ト マゾ・アルビノーニの系統立った作品目録を作成したことでとりわけ名高い。また、アルビノーニのほかに、アントニオ・ヴィヴァルディなどの評伝を執筆した。

 レモ・ジャゾット(Remo Giazotto, 1910年9月4日 ローマ – 1998年8月26日 ピサ)はイタリアの音楽学者で、トマゾ・アルビノーニの系統立った作品目録を作成したことでとりわけ名高い。また、アルビノーニのほかに、アントニオ・ヴィヴァルディなどの評伝を執筆した。ジャゾットは、ザクセン国立図書館から受け取ったアルビノーニの自筆譜の断片を編曲したと称して、《ト短調のアダージョ》を出版した。この作品が《アルビノーニのアダージョ》として親しまれるようになると、ジャゾットの名もアダージョの編曲者としてとりわけ有名になった。ジャゾットは、自分は編曲したのであって、作曲したのではないと言い張ったが、現在では完全なジャゾットの創作であることが判明している。自筆譜の断片が公表されたため仕方なく、ジャゾットはバス声部のみが該当の部分だと述べており、しかもこの曲の版権はジャゾットが持っていたのである。

 

        

The Bone Society - Adagio G Minor - Tomaso Albinoni arr. Matthias Höfs - Stefan Schulz

 

 

楽譜 ジャゾット/アダージョ ト短調 (アルビノーニのアダージョ)(チェロとピアノ/輸入楽譜(T))