フルートの出番です㊱ メンデルスゾーン「フルート協奏曲」 | 翡翠の千夜千曲

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 Mendelssohn flute concerto op. 64, Karl-Heinz Schütz. NKO. Shalev Ad-El

 

  え、メンデルスゾーンがフルート協奏曲を書いていた?いやいや編曲でしょう。それにしても、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトをフルート用 に編曲するなんて、あいつ(失礼)以外には考えられないと思ったら、やはりランパルでした。さすが、コンセルヴァトワールの伝統を踏まえた天才君です。

   ランパルは、マルセイユに生まれ、音楽院教授だった父ジョセフにフルートの手ほどきを受けます。はじめは医学の道を志し18歳で医科大学に進みましたが、第二次世界大戦の影響で1943年にパリ音楽院に入学し、わずか5ヶ月でプルミエ・プリを得て卒業しています。

  パリ音楽院ではガストン・クリュネルに師事し、 1946年からはヴィシー歌劇場管弦楽団のメンバーとなり、1947年にジュネーブ国際コンクールで優勝してからソロ活動を開始します。1956年からパリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者となり、1962年に退団後はフランス最高のフルート奏者として世界各地に演奏旅行の傍ら、フランス管楽五重奏団とパリ・バロック合奏団を作り演奏を展開しました。

 ピエールランパルは、20世紀の最も偉大なフルート奏者とみなされている。フルートという楽器を、ピアノや弦楽器と同じように大聴衆の鑑賞に堪えうる楽器として、世界的に認識させた最初の演奏家である。世界の最も有名なオーケストラや室内合奏団と共演したほか、アイザック・スターンやムスティスラフ・ロストロポーヴィチと室内楽の演奏を行なった。プーランクなどの作曲家から作品を献呈されている。数多くの忘れられたバロック音楽を発掘し、編曲し、上演してきたことでも著名、1992年には70歳で世界初録音となるヴィヴァルディの『四季』のフルート協奏曲への編曲版を録音している。

  有名な曲ですから、私が付け足すほどの内容は余りありませんが、独奏部分が多くオーケストラは伴奏に徹することに始終させられる部分が多いこと、逆にソロは演奏しっぱなしであること、休みなく連続して演奏されることなどの特徴が挙げられます。一方、カデンツまで書き込まれていて、楽曲の統一性を保とうとする姿勢が見えベートーヴェンなどの影響も見えます。

 

<演奏者>カール=ハインツ・シュッツ(フルート)
Karl-Heinz Schütz, fluteウィーン・フィルのソロ・フルート奏者。
 フォアアールベルクの州立音楽院でエーファ・アムスラーに、バーゼルでオーレル・ニコレに、フランスでフィリップ・ベルノーにそれぞれ師事。2000年にリヨン音楽院を卒業。
 在学中の1998年にカール・ニールセン・コンクール、1999年にクラコフ・コンクールの2つの国際的コンクールで優勝。以来、世界中でコンサート活動を展開し、ソリストとしてダニエル・バレンボイム、サー・ネヴィル・マリナー、ファビオ・ルイジ、ベルトラン・ド・ビリー、マルクス・ポシュナー、オットー・タウスク、エンリコ・カレッソ、ハンスイェルク・シェレンベルガー、ミラン・トゥルコヴィッチ、尾高忠明、ディミトリ・キタエンコ、ヤコフ・クライツベルクといった数々の指揮者と共演。

 

<指揮者>シャレフ・アド=エル Shalev Ad-El

  1968年、イスラエル生まれ。アメリカ・イスラエル文化基金からの奨学金を得てハーグ王立音楽院を卒業し、1987年にイスラエルのフランソワ・シャピーラ・コンクールで第1位を獲得した。イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団等の著名なオーケストラと共演し、一流のチェンバロ奏者としての地位を確立した。現在、イスラエル国内にあるキブツのメンバーで構成されるイスラエル・ネタニヤ・キブツ・オーケストラの音楽監督を務めている。

 指揮者およびチェンバロ奏者として、これまでに、ロンドンのウィグモア・ホール、ニューヨークの92Yとフリック・コレクション、ソウルのLGアートセンター、東京ではサントリーホールと東京オペラシティに登場している。

 イル・ガルデリーノ、ドリアン・コンソート、ベルリン・フィルハーモニック・ストラディヴァリ・ソロイスツのメンバーであり、アカデミア・ダニエルとオスロ・バロック・ソロイスツでは芸術監督を務めている。

 1997年から2007年までハレ・フィルハーモニー管弦楽団に定期的に客演したほか、これまでに、ベルリン交響楽団他数多くのオーケストラ等を指揮している。

 

 80枚を超える録音をドイツ・グラモフォン、シャンドス、デノン、CPOなどのレーベルよりリリースしている。後進の指導も積極的に行っており、1992~93年ドレスデン古楽アカデミー、1992~2000年ブルノ・マサリク大学、1999年ボストン大学でチェンバロの教授を務めるほか、モスクワ音楽院、タリン、ラインスベルク城、フロリダ州立大学、インターロッケン・センター・フォー・ザ・アーツ、ブルーミントン、ロンジー音楽院、福岡古楽音楽祭、北京中央音楽院、ハバナ国立音楽院、リマ音楽院、ラパス音楽院、教皇庁立アルゼンチンカトリック大学、香港演藝學院、シドニー室内音楽祭、ソウル大学校、エスタード・デ・リオ・デ・ジャネイロ国立大学管弦楽団等でマスタークラスを開催した。

 2008年、ドイツを中心とした音楽復興への貢献を讃えられ、ドイツ人以外で初めてファッシュ賞を受賞した。

 

   

 

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64bis【フルート版】
(【520657】/2851/フルート・ソロ&ピアノ/輸入楽譜(T))出版社:International Music Company

 

    

ヴァイオリン協奏曲(フルート版)、無言歌集(ヴァイオリン&フルート版)、他

クシシュトフ・カチカ、ヤロスラフ・ナドジツキ、ヤナーチェク・フィル
メンデルスゾーン(1809-1847)