フルートの出番です㉟クロンマー「フルートとクラリネット、ヴァイオリンのための協奏交響曲」 | 翡翠の千夜千曲

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Krommer Sinfoniaconcertante for Violin,Flute,Clarinet and Orchestra Op.70.Takashi/Birgit/Albert

 

  演奏家以外は、クラマーシュやクロンマ―なんて知らないなあ,という人もいるかもしれません。時代的に言うと、ベートーヴェンより10年ちょっと前に生まれて、少し後に亡くなった作曲家です。フランティシェク・ヴィンツェンツ・クラマーシュ(クラマールシュ、František Vincenc Kramař, *1759年- 1831年)は、ボヘミア出身のウィーン古典派の作曲家で、フランツ・クロンマー(Franz Krommer)というドイツ語名で知られています。多作家で、近年彼の作品の掘り起こしもされているようです。

 正式には、フルートとクラリネット、ヴァイオリンのための協奏交響曲変ホ長調 PadK II:5 作品70という作品で、1808年に書かれた曲です。

  おじのアントニーン・マチャーシュ・クラマーシュにオルガンとヴァイオリンを学び、ハンガリーのいくつかの土地で活動する。1785年にウィーンに行き、シュテュルム伯爵の宮廷に仕える。1790年から1795年までハンガリーのペーチ大聖堂の教会楽長に就任。その後はカーロイ連隊楽師長やグラサルコヴィチ侯の宮廷楽長を歴任。1810年よりウィーン・ブルク劇場の楽長を務め、1818年に皇室専属作曲家の称号を得る。
 クロンマーは300曲以上の作品を残し、そのうち100曲以上の弦楽四重奏曲と、13曲の弦楽三重奏曲、30曲の弦楽五重奏曲、ヴァイオリン協奏曲、オーボエ協奏曲、クラリネット協奏曲、吹奏楽、9つの交響曲(第8番は消失)、管楽合奏のためのパルティータ、ミサ曲などの宗教曲がある。今日ではクラリネット協奏曲および2本のクラリネットのための協奏曲(2曲)がよく演奏される。

  クロンマーには、多くの室内楽や交響曲があります。フルート協奏曲も近いうちに紹介できればと思っています。交響協奏曲も合わせると10曲ほどあります。いかにも宮廷での演奏向きの華やかな曲が多いと思います。

 

<演奏者>アルベルト・モラ

  スペイン・バルセロナ生まれのアルベルト・モラは、ドイツ・ミュンヘン音楽大学で、パウル・マイゼンの下で学び、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めました。ジャン=ピエール・ランパルの下でも研鑽を積んだ彼は、現在、故郷バルセロナのカタルーニャ州立高等音楽院で、フルート・室内楽・即興演奏のクラスで後進の指導に当たっています。

 これまでに、デュオ、CGAC現代音楽アンサンブル(スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ)、アンドラ国立クラシックオーケストラなどのメンバーとして活躍した他、バルセロナ交響楽団、カスティーリャ・イ・レオン交響楽団、リセウ大劇場オーケストラ、バルセロナ216、カダケスオーケストラ、近年では、カタール管弦楽団や、ウィーン国立歌劇場などでも演奏しています。彼の音楽活動は演奏に留まらず、ユースオーケストラでの指揮、カタルーニャ国立ユースオーケストラ、リセウオーケストラアカデミー、バルセロナ音楽学校での指導や、バルセロナ室内管弦楽団の芸術監督なども務めてきました。近年では、アルゼンチン・ブエノスアイレスで、コースを持っており、様々な室内楽団や交響楽団とのレコーディングも積極的に行っています。

<演奏者>ビルギット・コーラー

  1970にオーストリアのヴァイトホーフェンに生まれる。6歳より音楽学校にてヴァイオリンを習い、その後ウィーン国立音楽大学にてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターのライナー・キュッヒルと助手のジェラ・スピトコワの下で研鑽を積みました。

  これまでに、イギリスでの世界ユーディー・メニューイン国際コンクールで入賞し、メニューイン指揮でロンドン交響楽団と共演すしています。その後、ソリストとして世界有数のオーケストラと共演。ウィーン楽友協会ムジークフェラインやウィーン・コンサートハウス、東京文化会館などでも演奏しています。
 ミュンヘン弦楽四重奏団を設立し、2008年まで第1ヴァイオリニス、2009年には、ウィーン交響楽団とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーらと弦楽四重奏団「Seraphin Quartett Wien」を結成し、CD録音や欧州各地において演奏活動を精力的に行っています。
 1994年ウィーン交響楽団のコンサートミストレスに就任。1997年2月からはリンツ・ブルックナー管弦楽団の、2000年からはミュンヘン放送交響楽団のコンサートミストレスを務める。2005年からはバイエルン州立交響楽団(ミュンヘン国立歌劇場管弦楽団)、ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、グルベンキアン管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団などにおいてゲスト・コンサートミストレスとして活動。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の日本ツアー、トヨタ・マスター・プレイヤーズ・ウィーンのメンバーとして来日している。後進の教育にも積極的に関わっており、2003年3月よりウィーン国立音楽大学で助手を務めている。

 

 

F.Krommer: Works for Clarinet & Orchestra
ハワード・グリフィス 、 ノーザン・シンフォニア