ホルンの出番です106 ビバルディ「調和の霊感」から | 翡翠の千夜千曲

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     合奏協奏曲集「調和の霊感」から ベルリン・ウィン8人のホルン奏者たち

      長岡 慎 編曲  合奏協奏曲集「調和の霊感」から

 

  シュテファンドールがいますから結構前ですね。サラ・ウイリスも健在です。「調和の霊感」(L'estro Armonico)作品3は、アントニオ・ヴィヴァルディが作曲した全12曲からなる協奏曲集です。1711年にアムステルダムのエティエンヌ・ロジェより出版されています。トスカーナ大公子フェルディナンド・デ・メディチに献呈されています。ヴィヴァルディの最初に出版された協奏曲集で、「調和の幻想」とも呼ばれています。

 この協奏曲集はヴィヴァルディの様々な意図がある。例えば、曲の配列においても、長調→短調→長調……となるような工夫がなされている。ただし、長調でこの曲集を完結させるという意図があり、第10・11・12番は短調→短調→長調となっている。
 独奏楽器はヴァイオリン4本のもの、ヴァイオリン2本のもの、ヴァイオリン独奏のものがそれぞれ4曲ずつある。チェロは独奏に加わることもあるが、多くは通奏低音と同じ旋律を演奏する。ヴァイオリン4部、ヴィオラ(楽譜の上では2部に分かれているが実際には異なる音を演奏することは少ない)、チェロ、通奏低音からなる伝統的な協奏曲の編成を使用しているが、もはやコレッリのもののように独奏楽器はトリオ・ソナタの形式をして いない。
  ヴィヴァルディはソロ楽器の技巧的な楽想とリトルネロの対比による急・緩・急の3楽章からなる協奏曲で有名であるが、作品3は初期の作品であり、新旧様式が混在している。
  同様の様式を持つ協奏曲にはすでにジュゼッペ・トレッリの合奏協奏曲集作品8(1709年)や、ジュゼッペ・ヴァレンティーニの合奏協奏曲集作品7(1710年)があるが、ヴィヴァルディの作品3およびそれに続く協奏曲集はオランダのロジェから出版されたために国際的な名声を得、テレマン、ハイニヒェン、バッハらがヴィヴァルディの様式を採用した。

<編曲者>

合奏協奏曲「調和の霊感」から第1曲、第2曲、第3曲 長岡 慎 1947年松江市生まれ。東京芸術大学卒業。76年に東京フィルハーモニー交響楽団に首席ホルン奏者として入団し、15年間活躍した。同楽団事務局を経て、2003年、プラバホール(松江市)のアートディレクターに就任。14年から現職。コンサートの企画、運営の中心として活躍している。