フルートの出番です⑯ テレマン「フルート協奏曲」ト長調 TWV51:G2 | 翡翠の千夜千曲

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         Pahud/Telemann:Flute Concerto in G major

 

  ためらいがちに歩むような曲調で始まります。テレマンには沢山の作品がありますが、フルートがらみの作品もあります。ほぼ同時代のバッハやヘンデルから比べると技術的には少し楽になりますが、むしろバロックから古典派にかかる時代の人気作曲家の作品と考えると、この時代の雰囲気を味わいたくなるような演奏を心がけるべきかと思います。

  テレマンと言えば、ターフェルミュージックが有名ですが、どれほのものか見てみましょう。

  ターフェルムジーク(「食卓の音楽」1733年)。宮廷の宴席で好んで演奏された室内楽を集めたもの。三つの曲集からなり、各々の曲集に、管弦楽組曲、コンチェルト、クヮトゥオル、トリオ・ソナタ、ソロ・ソナタといった異なった器楽合奏曲が含まれ、「バロック音楽の百科全書」とも呼ばれている。この作品を販売するに当たっては、特別価格での提供と予約者を当作品集の冒頭に記載すると広告したところ、ドイツ国内、海を越えてイギリスからヘンデルが、フランスやロシア、スウェーデンからも予約注文が集まった。

  この時代は、郵便事情も決して良好なものでもありません。仮に届いたとしても往復で数ヶ月などと言うのはざらでしょうに、これだけ売れると言う子とは大したものです。とは、云え大衆に迎合しすぎたと言う評価もあり、無くなると忘れ去られ当時活躍中のバッハの作品へと人の心は動いていきます。そういうバッハといつか忘れられて、再評価を浴びるのはメンデルスゾーンの開く演奏会まで待たなければなりませんでした。人の関心とはそんなものかもしれません。

  「不協和音のために飢えるのはまっぴらご免だ」と言って保険屋家業に就いた、アメリカの作曲家アイヴスの言葉を思い出します。

 

 

テレマン:フルート協奏曲集
エマニュエル・パユ