チャイコフスキー「 ヘルヴィムの歌」 | 翡翠の千夜千曲

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         Pyotr Ilyich Tchaikovsky — Hymn of the Cherubim op. 41 No. 6

 

  天使とは天の使いという意味でしょう。たいてい背中に翼が生えています。私にとっては、森永製菓のお菓子だったリ、ランドセルのシンボルくらいですが、あれは何かを本気で考えたことはありません。あれは、何なのでしょうか。

  ヘルヴィムの歌(ギリシア語: Χερουβικός Ύμνος、ロシア語: Херувимская песнь、英語: Cherubic Hymn)というものがありますロシア正教会の聖体礼儀で大聖入の際に歌われる祈祷文・聖歌だそうです。問題は、このヘルヴィムです。これを調べると、次のような答えに出会います。

 

   ヘルヴィムとは、ケルビムのギリシア語、正教会スラブ語の現代読みを言う。ケルビム(cherubim)とは、ヘブライ語 cherubの複数形。人面または獣面で翼をもった旧約聖書の超人的存在。神の玉座や聖なる場所を守衛すると信じられ,契約の櫃には黄金のケルビムが配置されていた。アッシリアの神殿を守護した,人面,雄牛の身体,ライオンの尾,翼をもったケルブ (ケラブ) が取入れられたものと思われる。キリスト教 (特にカトリック) では智天使と訳し,天使の一つとしている。美術では頭と翼だけの幼児に描かれる。  ブリタニカ国際大百科事典

  元々は、教会の中で歌われる匿名性の高い曲で長間歌い継がれてきたものですが、近代になってこの詩に様々な作曲家が曲をつけるようになってきました。おそらくは、敬虔な気持ちと、より高い芸術性を求めることによって神への信頼や信仰を深めようとするものであったかもしれません。ギリシア正教を信奉する世界では近代になってからこうした動きが始まります。

 

  西欧文化の影響を受けて以降、多くの作曲家がヘルヴィムの歌を作曲した。そうした作曲家の多くは他の正教会聖歌も手がけており、正教会聖歌作曲家のカテゴリに挙げられる作曲家の殆どがヘルヴィムの歌を作曲 している。特に近世以降、ウクライナ、ロシア、セルビア、ブルガリア、ルーマニアなどにこうした作曲家が多く出現した。こうした作曲家の中には、ボルトニャンスキー、チャイコフスキー、ニコライ・リムスキー=コルサコフ、モクラーニャッツ、フリストフ、ラフマニノフのように世俗音楽の領域で活躍した者もいれば、アルハンゲルスキー、チェスノコフのように、その音楽活動の殆どが正教会聖歌に占められているような者もいる。 ウィキペディア

  今日聞きますのは、チャイコフスキーの作品ですが、実に深く静かに心に染みてくる音楽です。私は、実家が曹洞宗だったという程度の信仰心の薄い、正月には神社に行き、クリスマスにはケーキを食べる程度の人間ですが、さすがに敬虔な気持ちにさせられます。最初の動画は、エカテリーナ・アントネンコ指揮のイントラダ・ボーカル・アンサンブルの短い演奏でしたが、フルサイズの演奏を楽しみたい方は下をどうぞ。演奏は、こちらの方がテンポが遅く、息の長い深い演奏です。  

 

      

         Hymn of the Cherubim - Pyotr Ilyich Tchaikovsky - Extended

 

 

      

 

チャイコフスキー(1840-1893):〔宗教合唱作品集〕
聖ヨハネ・クリュソストムス Op.41 他
[シグヴァルズ・クラーヴァ(指揮)/ラトヴィア放送合唱団