花の歌⑪ わらべ歌「ひらいたひらいた」 | 翡翠の千夜千曲

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  日本の童謡でありわらべうたです。「ひらいたひらいた れんげの花がひらいた」「なんの花が ひらいた れんげの花が ひらいた」と歌われる、良く知られたうたですが、実は良く知られていないのです。今の、幼児や子供は生まれた時から、JポップやKポップに出会い、インターネットやユーチューブでありとあらゆる音楽や情報に接しています。少子化のせいばかりではなく、子供同士が自由に触れ合う生活は遠くなりました。「おしくらまんじゅう」などしたら先生や親に咎められます。

 しかし、私は知っています。ある事情があって、2年間ほど毎日10Kmほどの道を通って畑を耕していました。仕事は、半日で終わるようにして帰宅していましたが、学校は半日単位で運営されていた頃でしょうか、学校から帰る小学生の子供たちは、赤信号の手前で大きな口を開けて笑ったり、耳打ちしたり、突っつきあったり、抱き合ったりしているのです。何とも微笑ましいのですが、違和感もありました。・・・子供は、子供の意思や理屈で動いている、という単純でしたたかな感性です。

  彼らや彼女は、学校で距離を保つように言われ、中にはビニールやアクリル板で保護され、或は隔離されての勉強でしたが、帰宅の道は先ほどのように、じゃれ合い、話し合い、抱き合っていたのです。私は、この光景が好きでした。大人の隔離政策は、すべてではありませんが、少なくとも私の知っている子供たちには浸透しない規律でした。

  そうして、改めてこの歌を取り上げてみると、何とも嬉しい気持ちになります。子供たちが手をつないだり、放したりして輪を作りながら、「ひらいた」、「つぼんだ」の歌詞に合わせ、手を広げて開いた大きな輪になったり、花がしぼむように小さな蕾になったりする遊び歌として歌われていました。この歌は、子供たち同士の互いの距離感や、手という身体の一部を触れ合う感触、同じ遊びをする仲間として味わう空間の共有、音楽的な要素を通しての祝祭的な儀式でもあるのです。
  「ひらいた ひらいた」の歌詞にある「れんげの花」とは、インド原産の水生植物「ハス(蓮)」のことで、仏教伝来により「蓮華 れんげ」と呼ばれれていることはご承知と思います。私の田舎では、お盆の時に蓮、間に合わないときは里芋の葉などに白いおこわや煮物などを添えてお供えしたりしました。蓮は7月から8月にかけて、白やピンク色などの花を花を咲かせますが、早朝に咲いて、昼には花を閉じてしまうので、この歌は、そんな様子も描いています。時に、蓮華(れんげ)と紫雲英(げんげ)の違いは調査中です。

 

 

    

        ひらいた ひらいた


「ひらいたひらいた」


ひらいた ひらいた 
なんの花が ひらいた
れんげの花が ひらいた
ひらいたと おもったら 
いつのまにか つぼんだ

つぼんだ つぼんだ
なんの花が つぼんだ
れんげの花が つぼんだ
つぼんだと おもったら
いつのまにか ひらいた