アメリカは意外に面白い作曲家を輩出して入る国なのですが、評価が分かれていることも事実です。しかし、ここでは均等に、そしてなるべく多くの作曲家を取り上げたいと思います。その結果、名前だけの紹介文も出てきますが、気になった方はご自分で掘り起こしてみてください。
スティーブン・フォスター （Stephen Collins Foster, 1826年 - 1864年）はご存知の通り、「主は冷たい土の中に」や「オールド・ブラック・ジョウ」「草競馬」などで知られる作曲家です。20年間に約200曲を作曲し、その内訳は135曲のパーラーソングと28曲のミンストレルソングです。メロディの親しみやすい黒人歌、農園歌、ラブソングや郷愁歌で、「アメリカ音楽の父」とも呼ばれています。その人生は、放浪と貧乏生活で知られていますが、亡くなった時も次のような逸話が残っています。
37歳没。この時のフォスターの所持品はわずか38セントの小銭と、「親愛なる友だちとやさしき心よ」と走り書きされた紙片だけであった。フォスターの死を知らされた妻ジェニーは遺体と対面するやその場で泣き崩れたと伝えられている。1862年の作品「夢見る人」（「夢路より」）が発表されたのは死後2か月後のことである。
懐かしきケンタッキーのわが家 フォスター
アディソン・ワイマン （Addison P Wyman, 1832年 - 1872年）詳細不肖。
ヘンリ・クレイ・ワーク （Henry Clay Work, 1832年 - 1884年）
フォスターと並んで19世紀のアメリカ合衆国を代表する歌曲作曲家です。コネチカット州ミドルタウンに生まれ、奴隷制廃止運動の活動家の家庭に生まれ育ち、自らも地下鉄道 (秘密結社)の組織活動に助力をしたことで知られています。フォスター歌曲と同じく、ワークの「ジョージア・マーチ」（東京節/パイのパイのパイの原曲）は、アイヴズ（後述）の交響楽の中で引用されています。一番有名なのは、「大きな古時計 "My Grandfather's Clock"」です。
My Grandfather's Clock 大きな古時計 カタカナ歌詞
スコット・ジョプリン（Scott Joplin, 1867年か1868年 - 1917年）はアメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人の作曲家、ピアノ演奏家。ラグタイムで有名な演奏家・作曲家であり、「ラグタイム王」（King of Ragtime）と呼ばれています。
テキサス州で、黒人元奴隷農夫の父次男として誕生、早くから音楽的才能を見せ、バンジョーを上手くこなしたようです。両親は彼の才能を伸ばすことを考え、特に母は生活費を削ってピアノを買い与えました。この時代の黒人は教育の機会が与えられず、仕事も限られていたので、「何か自分の身を助ける才能があれば」と願ったのだと考えられます。8歳から音楽を習いますが、ピアノは独学と言われるます。10代でダンス音楽の演奏家になりました。
14歳には、親元から離れサロンで演奏をはじめます。シカゴなど幾つかの年を転々しながら演奏。8人の仲間と共にカルテットを編成し、ニューヨークまで演奏旅行をします。27歳には、 クラシック音楽のピアニスト・作曲家としての人生を歩みたいと願い、黒人のためのジョージ・R・スミス大学で学ぶことになります。彼はヨーロッパのクラシック音楽とアフリカ系アメリカ人のハーモニーとリズムを結びつける音楽について考えていました。これは後日、音楽ジャンル「ラグ」として認知されるようになります。そして、34歳代表作「ジ・エンターテイナー The Entertainer」を作曲、その前に書いたメイプル・リーフ・ラグ と並んで彼の名前を一躍広めることになります。
Scott Joplin: Maple Leaf Rag
The Entertainer on a 1915´s Piano
古き良きアメリカの風景
オムニバス(クラシック) (アーティスト), & 10 その他 形式: CD