ベスト8で書いてアップ忘れたままベスト4が出揃っちまった。

ちょっと加筆しながらベスト8から振り返り。

 

 

ジョコビッチ(1)-ルード(7)

ズベレフ(4)-デミノー(11)

チチパス(9)-アルカラス(3)

ディミトロフ(10)-シナー(2)

 

()の数字はシード順です。こう見るとかなり順当な勝ち上がりですね。

 

 

 

 

まずはジョコビッチ。

今年は不調というか、ついに年齢による低下がやってきたのかなという雰囲気でした。

3回戦のムゼッティ戦、4回戦のセルンドロ戦はいずれも2セット先取された状態からフルセット逆転勝利を収めました。

調子の波があっても劣勢から怒りをエネルギーに変換して鬼神の如き強さを発揮するジョコビッチのメンタリティは嫌というほど知っていましたが、また見せつけられてしまいました。本当に勝負の神さまです。

正直ナダルが第一線を退いたことで、ようやく心の底からジョコビッチを応援できるようになりました。これまではやっぱりフェデラーやナダルの記録をことごとく阻んで上塗りしていくジョコビッチの強さが好きでもあり憎くもあったから。

 

さて、2戦連続のフルセットで消耗しきってるかもしれないし、テニスの神さまだからそれによって逆に復調していたりして~なんて呑気にどうなるかを予想していた最中、試合前にジョコビッチは準々決勝リタイアを発表しました。

右膝半月板損傷との診断。なんとこのまま本日、手術に踏み切ることになったそうです。

恐らく早くて1か月の離脱。ウィンブルドンは絶対に出られないでしょう。

それでも診断から早々に手術を決意したのは、8月にジョコビッチ悲願のオリンピックが控えているからにほかなりません。

オリンピックにギリギリ間に合ったとして、テニス勘を取り戻すまでにかかる時間を考えると、ジョコビッチが今どれだけ絶望しているかは想像することすらできません。

さっきも書いた通り、今は心の底からジョコビッチを応援しています。まずは無事に競技に復帰できることを祈るばかりです。

 

また、このリタイアによってジョコビッチは世界一位陥落が決定し、シナーがイタリア人初の一位となります。

 

今大会のハイライトはゾーンに入ってハイになってるのか、スーパープレーからのこのおもしろ飛行機。

 

こいつやっぱネジぶっ飛んでるわ。

 

 

 

続いてルード。

最高ランキング世界2位まで上り詰めたこともある生粋のクレーコーターです。

このコートに愛されていると感じることがこれまで何度もありましたが、今回のジョコの離脱もまた、ルードにとってはこれ以上無いほどの追い風であることは間違いありません。

テニスはちょっとした幸運が結果に結びつくことが多いスポーツでもあるので、ルードのクレー適正の高さと併せて考えると、本当に優勝が見えてきたかもしれません。

ただ僕は正直ルードの実力を認めてないところがあるので、勝ったら複雑だなあという感じです。

なんにせよ一番休息が欲しいタイミングで休めて状態はいいはずです。

毎年ジャパンオープンに参戦してくれて日本にとって馴染み深い選手でもあるので、好きになれるようもっとルードのことを知って行かなきゃなと思ってます。

サーブからの三球目攻撃の質の高さは随一だと思ってます。

 

 

 

ズベレフ

前にも書いた通り、僕が大会始まる前から優勝に旗を立てていた選手です。

でも決して本命というわけではありません。

それでも旗を立てた理由は、これ予想当てたらカッコいいからっていう浅ましい考えもあるっちゃあるのですが、一回戦でナダルと対戦したことも大きいです。

そら全仏でナダルに勝った選手には優勝してほしいですよ!そういった願いも込めて、ナダルからのバトンを持って走り切ってほしいわけです。

 

もちろんそんな感情的な理由だけでなく、ズベレフは二年前にこの全仏OPの準決勝で選手生命を脅かす大怪我をしたわけなんですが、そこから時間をかけて復帰したことで精神的に強くなって帰ってきました。

最近までは誰もそんなこと言ってなかったので、僕が勝手にそう見えてるだけかなと思っていたのですが(むしろおとなしくなって闘志が減ったという意見が多かった)、

今や他の選手と比較しても品行方正な選手になったと言えるほどです。

 

 

ピンチで顔を出していた弱気の虫もいなくなり、明確なウィークポイントであったセカンドサーブも自信を持って打てるようになりました。

 

とはいえ、ズベレフもジョコビッチと同様、二試合連続のフルセットを経てここに上がってきています。消耗具合はかなりのものでしょう。不安要素もある中、どれだけ最後までタフにいられるかに注目しながら応援したいと思います。

今年のジャパンオープンにも来てくれるみたい。やったあ。

 

 

 

 

デミノー

デーモンの異名を持つともかくフットワークとカウンターに特化した守備力重視の選手です。

とはいえフラット寄りの球質だしミスがべらぼうに少ないわけではないので、クレーコートではデミノーのパワーだと決めきることも凌ぎきることも難しいかなと予想してました。それだけにこのベスト8はちょっとびっくりです。まあ対抗シードがクレー不得意のメドベージェフだったからラッキードローではあった。

 

とはいえ、準々決勝ではズベレフの総合力には及ばずにストレートで敗退してしまいました。

インタビューの様子を見る限り、本人はここまで勝ち上がった結果に満足してそうです。恐らく今年もジャパンオープンには来てくれると思うので、芝やハードシーズンで更なる躍進に期待しましょう。

 

 

 

 

 

チチパス

このコートで決勝経験もある、総合力の高いクレーコーターです。

昔、チチパスが何故クレーコートで強いのかがわからずに分析した記事を書いた記憶があります。

 

今大会も素晴らしいクレー適正を見せてベスト8進出しましたが、相性最悪のアルカラスにストレートで敗退してしまいました。今のアルカラスの怪我状況を考えると競ると思っていたんですが、わからないものですね。

まあ好きになりきれないところもあるのですが、日本にゆかりのある選手でもあるので(たしか祖父が日本人?)、今年のジャパンオープン参戦を期待してます。この締めばっかだなw

 

 

 

 

 

アルカラス

まず初めに、今回の勝ち残りで一番応援してます。ズベレフに旗立てといてなんだけど、優勝してほしいのはアルカラス。

とはいえ、今年は軽いスランプと怪我に悩まされている印象です。それだけにここでこんなに調子が上がってきていることに驚いています。

こないだティームのフォアが一番好きだったって記事を書いたけど、今はアルカラスのフォアが一番好きです。

アグレッシブでエネルギッシュでエンターテインメントなテニスは、全テニスファンのロマンが詰まったBIG3の後継者だと思ってます。本当に最高の選手です。観ていて一番面白い選手!

チチパス戦も素晴らしいプレーでした。シナーに負けるな!(シナーも好きです)

 

 

 

 

ディミトロフ

錦織世代(ヤングガンズ)最後の希望です。

彼の選手としての寿命の長さを観ていると、本当に身体の柔軟性が選手生命を伸ばすと思わされます。

彼が2016年USでスランプから復調した時に言った「またテニスと恋に落ちた」というセリフは、僕が長年テニスを観てきた中で最も好きな言葉です。(2位は錦織の「あさって試合か」)

 

メンタル面に不安があり、ポテンシャルは世界一位になれる素養がありましたが、錦織やラオニッチには一歩置いて行かれていた時代が長かったです。

30代中盤に差し掛かってようやく安定した強さを手に入れたことからも、本当にテニスを愛し、ずっと向き合い続けてきたんだなと思わされます。

 

残念ながらシナーにストレートで負けてしまいましたが、比較的苦手なクレーでベスト8に残ってくれたことが本当に嬉しかったです。

ディミトロフについて語りたいことは山ほどあるのですが、今回は負けてしまったのでこのくらいにしておきます。

 

 

 

 

シナー

先ほど書いた通り、ジョコビッチのリタイアにより初めての世界一位が決定しました。

アルカラスと同様、今世界で最も強い選手ですが、大会前に故障してしまい今大会は期待できないとのことでした。

それがあっさりベスト4進出。だからズベレフに旗立てたのに、この詐欺野郎って感じです。

 

ボールが破裂するんじゃないかと思うほどのショットをミスなく毎回打ち続ける、令和のトレンドである長身高速テニスのトップに君臨する選手です。本当にシナーの試合は1.25倍速かなと錯覚するほど早い。

 

アルカラスとの準決勝は絶対に見逃してはいけません。

世界最高峰のテニスがぶつかり合うのが今から本当に楽しみ。これ普段テニス観ない人にも観てほしい試合だなー。

 

 

 

 

 

というわけでおさらい。ベスト4は、

 

ルード-ズベレフ

アルカラス-シナー

 

の対戦となりました。

予想というよりは理想としては、決勝はズベレフ-アルカラスがいいかな。応援はアルカラスですが、ルード以外なら誰が優勝しても嬉しいです。ルードごめんね。

まあジョコビッチが心配ですが、本当に良いメンバーが残ったと思います。