おそらくシリーズ化しない好きな漫画作品を紹介するシリーズ第一弾。

 

 

『みどりのマキバオー』でおなじみの『つの丸』が昆虫の世界のシリアスな弱肉強食を描いた異色作。

全三巻、最終エピソードは単行本で加筆という典型的なジャンプ打ち切り漫画。

ただし、作品としての評価は非常に高く、今尚強く心に刻み込まれている作品です。

 

ルーキーズでもどのシーンか忘れたけど、朝礼でモブ女子高生が「あのジャンプの虫のやつ泣けるよね~」って言ってたシーンがありましたよね。

 

個人的に打ち切りで残念だったジャンプ漫画のトップ5には入ります。

あと『P2!』と『太臓もて王サーガ』と・・・あとなんだろ。『シューダン!』とか?

他にぱっと思い浮かんだのは『ごっちゃんです』だったけど、つの丸信者なわけではない。でも、人間ドックのやつも大好き。

あ、『アクタージュ』とか『たけし』は別枠ね。

 

話をサバイビーに戻します。

 

 

 ジャンプ版『進撃の巨人』

 

なんて言われてるのを見たことがありますが、まさにです。

みなしごハッチであり、進撃の巨人でもあるこの作品は、あまりにも残酷な幕開けから物語は始まります。

 

 以下あらすじ

 

主人公はミツバチの少年『バズー』。

みなしごのバズーは、長雨によって家族を失い、自分以外のミツバチすら見たことがありません。

それでも彼には家族ともいうべき仲間たちがいました。

 

口うるさい兄貴分のゴミムシのイップ

弟のようにかわいいゾウムシのポミー

ごはんを食べながらうんこの話をしてくるカナブンの文太

ヴァイオリン弾きのコオロギ、エンゾー

そして無口で大人なみんなのリーダー、ギロ

 

彼らは皆、長雨によって巣を流され、家族を失ったものたちの集まりです。

まだ小さかったバズーは、物心がつく前に彼らに拾われて育てられきました。

 

バズーは弱虫ですが正義感が強く、強い敵にも立ち向かう性格のため、生傷が絶えません。

そんなある日、偶然出会った死にかけのミツバチに『オーダイ』をミツバチの生き残りに届けてくれと任務を託されます。

 

周囲にはそのミツバチを探すオオスズメバチの群れ。

そのミツバチは、オーダイを受け取ったバズーを逃がすために、おとりとなって命を投げ捨て、バズーは恐怖と混乱の中、託されたオーダイを抱えて決死の思いでみんなのもとに戻ります。

 

逃げ帰ったバズーから経緯を聞いたギロとエンゾーの口から、こうなったら隠してはおけないと隠していた真実が語られます。

バズーの一族(ミツバチたち)は、実は長雨によって全滅したのではなく、頑丈な木箱にコロニーをつくっていたので雨の影響を逃れたが、住処を失くしたオオスズメバチによって巣を奪うために皆殺しにされたことが語られます。

真実を語れば無鉄砲なバズーはスズメバチに単身玉砕しに行くだろうという配慮から、これまで本当のことは隠されてきました。

 

仲間たちと一緒にミツバチの生き残りを探してオーダイを届けようと意気込んでいた最中、一匹のオオスズメバチが現れます。

たちまちに、仲間全員を惨殺するスズメバチ。

イップの命を賭けた最後っ屁によって追い払うことはできたものの、バズーは再び家族を全員失いました。

全てを失ったバズーは、オーダイを抱えて、ミツバチの生き残りを探す旅に出るのであった・・・。

 

 

 

あらすじおしまい。

余談ですが、本来ミツバチの働き蜂はメスらしいですね。まあ言いっこなしで。

 

 

 

 オオスズメバチという恐怖

 

この漫画に出てくる昆虫たちはデフォルメされた絵柄で、昆虫同士会話もするんですが、恐怖の象徴であるオオスズメバチだけはリアルに寄った絵柄で描かれ、言葉も発しません(厳密には百舌鳥も)

こっちの方が古い漫画のため例えとしては逆なので失礼かもしれませんが、まさにこれ巨人の恐怖なんですよね。

体格も能力もまるで違く、話も通じない。なのに集団で行動をしてくる。

 

残酷な描写や死ははっきりと描く。

絵柄や会話のコミカルさと、このいびつさがサバイビーという漫画の醍醐味の一つです。

うーん、かっこいい。

 

 

 ​魅力的な登場キャラたち

 

これはもうマキバオーもそうだし言うまでもありませんが、多くを語らずとも登場キャラの1匹1匹がいいキャラしてるんですよね。

旅の途中で新たに出会うゆるいキャラのゲンゴロウタガメのデブリン、口は悪いが頭の回転が早くバズーの相棒として活躍するケラのライバー、レジスタンスのミツバチたちの闘いに命を賭ける姿勢などなど。

 

そして、この漫画のキャラクターは生きているんですよね。

戦争の価値観というか、集団として勝つための犠牲心や葛藤を、長々とは説明せずに画と展開で描く力がある漫画です。

 

これは読んで確認してねとしか言えない。

 

 

 おわりに

 

たった3巻の中にドラマが詰まっている名作です。

派手さに欠けたり、尻すぼみ感だったり、まあ終わってしまったのも理解はできますが、集中して読むには丁度いいボリューム感だと思います。

 

以上、本日の漫画紹介でした。

 

 

どう?このシリーズ?