ペース早くてまるで映画にハマった人みたいになってる。
自分の行動だけでなく、周りの人物や目に見えている景色、記憶、全てが神様に演出されたものだったら・・・なんて誰でも考えたことありますよね?あらすじを見てとても気になったのでこの作品にしました。けど本当はあらすじも知らずに見た方がいいのかもしれない。
トゥルーマン・ショー
1998年公開
あらすじ
トゥルーマンは保険会社の平凡なセールスマン。しかし彼は自分の生活が少し変だと思い始めた。もし自分の人生が、実は“演出された作りもの”だったら…? 鬼才ピーター・ウェアー監督のもと、才人ジム・キャリーが絶妙な名演技を見せて絶賛されたヒューマン・コメディの傑作。
ネタバレを含む内容
・ネタバレを書く前に
途中までつまらなくてうまく没頭できず、オチまで見た後にもっとしっかりと作品を理解したくなってもう一周しました。二周目おもしろ!耐えて最後まで観てよかった。もし少しでも興味あるならここで引き返して自分の目で見てね。
というわけで以下内容のおさらい。
・とあるプロデューサーのインタビューから始まる
俳優の作られた演技にはもう飽き飽き。”トゥルーマン・ショー”こそが本物のエンタメだとファンにメッセージを送る。果たしてトゥルーマン・ショーとは・・・
・トゥルーマンの平凡な日常
彼は30歳を迎える保険のセールスマン。妻のメリルとともにアメリカの離島シーヘヴンに暮らしている気のいい男性。
10909日目のテロップから始まる。
トゥルーマンの一日が始まるといつも通りスーツに着替え、向かいの家族に「おはよう!そして念のため”こんにちは”と”こんばんは”も」とお決まりの挨拶をする。
この日は外に出ると、トゥルーマンの家の近くに天から照明機材が落下してくる。のちに飛行機の部品であることをラジオニュースで知るが、さほど気にすることもなく出社するのであった。
仕事中にトゥルーマンはアメリカの正反対にあるフィジー島についてこっそりと調べをいれる。彼がフィジー島に関心を持つ理由は、後述する大学時代のとある体験によるものだった。
トゥルーマンは仕事の出張でウェルズパークに行くことを命じられる。ウェルズパークに行くためには船での移動が必要だが、彼は幼い頃水難事故によって父親を失ったことで水にトラウマがあり、船に乗る直前まで向かったものの結局行くことはできなかったのであった。彼はそのトラウマの影響もありこの離島から出たことはなかったのだ。
そんなある日、トゥルーマンは街で一人のホームレスとすれ違う。それは自身が子供の頃に水難事故で行方不明になったはずの父親だった。父だと思って声をかけた途端、そのホームレスは何故か周りの住民によって攫われてしまい、トゥルーマンは慌てて追いかけようとするも不自然なマラソン団体や車の横断に妨害されてしまい後を追うことはできなかった。
この体験を母に話すが、他人の空似、ホームレスが街から駆逐されるのは当然のこととまともに相手をしてもらえなかった。
・大学時代の運命的な出会いを回想
彼には忘れられない女性がいた。大学のイベントでたまたま目が合っただけで一目ぼれをした女性、ローレン。
図書室で再び彼女を見つけた大学時代のトゥルーマンは彼女をデートに誘い日程を決めようとすると、彼女は何かを警戒するように筆談で『NOW』と伝え、駆け足で夜の海へデートに向かうのであった。
海につくとキスを交わし良い雰囲気になるが、ここで彼女の父親を名乗る男が現れ二人を引き離す。
ローレンは引き剝がされる去り際に彼にこう伝えた。
「トゥルーマン、皆があなたを見ていて、あなたの前で芝居をしている。ローレンも偽名、私の本当の名前はシルヴィア。空も海も全部舞台装置、番組の一部なのよ」
困惑するトゥルーマンを尻目に父親を名乗る男性は、彼女はフィジー島で療養すると言い残して、以来ローレンと会うことはなかった。
その後トゥルーマンはメリルという当時から友人だった女性と結婚をするが、今もローレンのことを忘れることができず、彼女に似たパーツを持っている女性の写真を切り抜いては、ひそかに集めて福笑いのように作って思いを馳せるのであった。
・メッキが剥がれていく日常
冒頭で天から落ちてきた照明装置の他にも、トゥルーマンの日常には不自然な点があった。
トゥルーマンが感傷に浸っている時に彼の周りにだけ激しく降る雨。車のラジオの周波数が乱れるとトゥルーマンの進行状況を監視しながら誰かに指示を出しているような声が流れる。
なにかがおかしい。
トゥルーマンは何かを試すように出社することをやめ、突然走り出して見知らぬビルへと入る。明らかに周りの人間の警戒度が上がりトゥルーマンをビルから追い出そうとするが、そのビルの中で彼が無理やりエレベーターに乗り込もうとすると、エレベーターのドアの向こうは楽屋裏のような空間に繋がっていた。
無理やり追い出されたトゥルーマンは親友のマーロンの元に向かい自分の周りに起きている異変について相談するが信じてもらうことはなかった。ここでトゥルーマンは旅に出たいことをマーロンに打ち明けるが、この街が一番だと説得をされる。
翌朝、トゥルーマンはナースとして働いている妻のことを尾行して様子を伺うと、まるでごっこ遊びのような手術のフリをしている姿を目撃する。
不気味な予感にトゥルーマンは強行して島を出ることを決め旅行会社へ向かう。壁には旅行会社に似つかわしくない、飛行機が災害に遭っている恐怖心を煽るポスターが貼られていた。今日今すぐに出発したいと要望を伝えるが、一か月先まで満員と突っぱねられてしまう。続いてバスにて島を出ようとするが、バスは故障によって発車することはないのであった。
・異変は確信に変わる
「まず赤い自転車に乗った女性」→「花を持った男性」→「フェンダーの凹んだワーゲン」
彼は自分の身の回りの交通が一定の人物で周っていることに気付く。
妻のメリルを連れて強引に車に乗り込むと、狂ったようにあてもなく車を走らせ始める。不自然な渋滞に捕まり一度は進行経路を変えるフリをするが、ニューオーリンズに向かうと声に出して嘘をついた直後に再び先ほどの道に戻ると、ついさっきまで進行を阻害していた車たちはいなくなっていた。
謎の妨害を振り払って島をでるための橋に辿り着くが、ここで水に対するトゥルーマンのトラウマが発症してしまう。するとトゥルーマンはメリルに強引にハンドルを握らせると目をつぶってアクセルを踏み始める。
こうして強引に橋を渡って島の外に進もうとするが、山火事、そして放射能汚染と次々に阻まれ、振り払って進もうとしたことでとうとう警察に捕まり強引に家に連れ戻されてしまった。
家に戻されたトゥルーマンは妻と奇行について話そうとするが、妻は突然「そんなことよりこの新しいココアを飲まない?ニカラグア産の人工甘味料なしのココアよ」と宣伝口調で話を逸らし始める。
訳がわからず問い詰めるトゥルーマンと揉めて争いが激しくなり身の危険を感じると、メリルはどこかに向かって「誰か助けて!」と叫ぶ。するとその直後には家に親友のマーロンが遊びに来たテイで家に駆けつけてくる。
刃物を向けられて錯乱したメリルは「いくら仕事といってもあんまりだわ」と泣き叫ぶ。そしてトゥルーマンは自分の生活の異常さに確信を持ち始める。
トゥルーマンはマーロンにいつもの場所で自身の悩みについて打ち明ける。疑いを持ちつつもマーロンだけは信じたいトゥルーマン。そのマーロンに対してイヤモニでテレビ局から指示を出すプロデューサー。
マーロンが振り返るよう言うと、後ろには霧のかかった道路からゆっくりと、亡くなったはずの父親が歩いてきた。
感動で全ての感情が吹き飛ぶトゥルーマン、劇的すぎる感動的な親子の再開。
演出の成功に湧くテレビ局。テレビ越しにこの様子に感動する全世界の人たち。
ここでトゥルーマンの人生は、視聴者17億人超えを誇るトゥルーマン・ショーという全世界で大好評のリアルショー番組であることが視聴者に明かされる。
・トゥルーマン・ショー
番組が始まったのは彼が母親のおなかのなかにいた時から。
彼の日常は5000台の隠しカメラによって毎日24時間、1日も休まずに30年間放送され続けており、シーヘヴン島にあるドーム状の世界最大スタジオの中で、彼以外の全ての人物がエキストラとなり、主人公『トゥルーマン』の人生は演出されていた。
番組が様々な宣伝にもなっておりセット内で使用されている全ての生活品はトゥルーマン通販で全世界に売り出されていた。
トゥルーマンが子供の頃に父親が亡くなってしまったのも、本人に水のトラウマを植え付けて島の外に出られないようにするためだった。幼いころから島の外に興味を持たないよう恐怖心を煽ってコントロールもされていた。
死んだはずの父親が再び出てきたのは、父親役の男性が番組の都合で早くに出番を失って不満を持っていたため、いわゆる番組を妨害するためにトゥルーマンの前に姿を現した飛び入りの珍入者であり、今回の再登場はその帳尻合わせとして実は生きていたことに話を作り直して演出されたものだった。
そして総合プロデューサーへの生放送インタビュー番組中に、一人の女性から電話がかかってきた。
それは大学時代にトゥルーマンが恋した女性、シルヴィアだった。シルヴィアはトゥルーマンの人生を晒し物にすることに不快感があり、当時のトゥルーマンに真実を伝えようとした台本の外の女性であった。
シルヴィアは監督にこれは一人の人生を見世物にするよくないことだと問い詰めるが、監督は彼に自由を与えていると返し論破する。
実際にこのような批判は少数意見であり、世界中の大多数の人はこのリアルショーを感動的な番組として注目しているのであった。
もちろん監督もトゥルーマンには愛があり、世界中の人間がトゥルーマンを産まれた時から知っている自分の血縁のように感じていたのであった。
・そしてトゥルーマンは…
死んだはずの父親と再会できた喜びでトゥルーマンは日常に戻り、規則正しく生活して仕事に取り組んでいく。
ある日、トゥルーマンは家の地下室で布団に包まって眠りこけてしまう。
が、実はこれはトゥルーマンが自分が寝ているように見せかけた人形であった。彼は監視されていることに既に確信を持っており、監視者を欺くために偽装トラップを行ってカメラを掻い潜り家から抜け出したのだ。
トゥルーマンの偽装に気付くのが遅れた番組制作側は急いで島中の人間にトゥルーマンを探すように指示を出す。
そして番組は慌てて放送画面を『しばらくお待ちください』のテロップに切り替えるが、これまで無かったトラブルに注目度は増す一方だった。
島では全エキストラによるローラー作戦、そして時間は夜であったが人工太陽を昇らせて朝にすることで見通しをよくさせるなどなりふり構わずに徹底した捜索が行われる。
そんな中、海上のボートにトゥルーマンの姿を確認する。番組側は雷と嵐を起こして彼の進行を妨害しようとするが、トゥルーマンは嵐を乗り越えて船を進めていく。
すると船の先端が空にぶつかった。ここはドーム内の世界で、この世界の端は絵に描かれた海と空だった。ドームの壁に辿り着いたトゥルーマンは真相を理解し、そのままドームの外に出るための出口を発見する。
番組は再び放送を再開させ、番組のプロデューサーがトゥルーマンに戻るよう呼びかける。
「君はスターだ。嘘ばかりの外の世界よりも、この世界が君のとっての本物が溢れている」
黙りこくるトゥルーマンに監督が世界中のファンに何か話せと問いかけると、
「念のため”こんにちは”と”こんばんは”を」とお決まりの挨拶を伝え、愛したシルヴィアを探すために外の世界に旅立つのであった。
こうしてトゥルーマン・ショーは幕を閉じた。
その様子に涙を流して感動する視聴者たちだったが、数秒後にはテレビ欄を確認して、他の番組を見始めるのであった。
感想
・創作に関わる全ての人が嫉妬したに違いない
SFなのかヒューマンドラマなのかドキュメンタリーなのかコメディなのか、はたまたホラーなのか。
僕的には世にも奇妙な物語が近い印象を受けたけど、この設定を思いついて、この規模感で実現して綺麗に落とした力量に観終わった後は感心しきりでした。似た設定を思いついてもこんなに美しく一本の作品に纏めることができる人はそういないんじゃないでしょうか。
デスノートを読んだ時の感覚にも近かったかも。設定は斬新ではあるけどシンプルで、それ以上に料理する腕前が凄いというか。
そして当時から評価の高い作品ではあったんだろうけど、全人類がストリーマーになれる今の時代にこそ合っている内容だとも思いました。実際に演出がくどいテレビに飽き飽きしている人が多い現代で、求められているものはこういうものかもしれませんね。実際はテラスハウスとかみたいにリアル風をウリにすると不快感が強そうだけど。
24時間監視という設定にも関わらず下品にしなかったのも凄いですよね。僕なら下世話な場面絶対入れたくなっちゃうけど、これは作中監督のクリストフがスターとしてトゥルーマンを愛していたからだと受け取りました。これいい目線でしょう。
・完璧に創られたものの面白さと予想がつかないリアルの面白さ
個人的に、もちろんモラル的にアウトなんだけど不快感を感じることはなく、シルヴィア以外の登場人物が疑問を持つこともなく熱狂している姿もいいスパイスというか、じわじわと浸透する毒のような皮肉を感じてよかったです。人によるだろうけど、実際僕は現実でもこういうの不快感なく見ちゃうかもなあ。
自分も自分の意思がなさすぎて誰かにコントロールしてほしいなとよく妄想しますけど、作品のメッセージ的にたぶんそれじゃダメなんでしょうね。
・これって僕の中にだけある感覚じゃなかったんだ
最近のオープンワールドゲームみたいに、自分が見えている視界にだけフィールドが用意されていて、出会う人だけでなく目に入るもの全てが僕のためにポップされているもの、みたいな妄想を昔によくしていたことを思い出しました。急いで振り返ったり、自分の気持ちに反した行動を取ったら世界がバグらないかなあとか。その時はロード読み込みの概念みたいなものも知らなかったはずなのにね。自分だけにある感覚だと思ってたけど、案外そういう感覚を幼少期から持ってる人いるみたいですね。ラジ父のワープみたいな話とかもこれだよね。
あえて完璧に創らずにミスやにおわせを散りばめているところがとてもニクい。マジで2回見てよかったし、まだまだ全然気付けてないんだろうなあ。
一周目はマジで前半つまらなくて途中で打ち切ろうかと思ったけど。
・面白さに気付くまで時間がかかった
あらすじも見たし、ちょくちょくテレビ視聴者目線が描かれていたからこういう話っていうのは最初からわかっていたんだけど、流石に種明かしが遅かったかなとは思いました。
それでも違和感が徐々に確信に変わっていくのは日常に潜む非日常のようでわくわくしたし、種明かし後に失踪したトゥルーマンを探すためのローラー作戦の機械的な動きとか、人が意思を持っていないようなぞくぞくとくる描写が多くて非常によかったです。
・音楽の力
音楽もここまで見た映画3作品の中で一番印象に残ったなあ。特に印象的だったのが、トゥルーマンがラジオで自分を監視する声を聴いてしまった後の一幕。視点が目まぐるしくぐるぐると回りながら、今までの日常が全く違う人工的なものに見えるかのような演出のシーンがあるんですが、そこの場面でかかっている力強いBGMが不気味なシーンとあんまりマッチしてなくて超よかったです。マジであの辺は演技と映像とBGMと全部最高だった。
例えるならMOTHER3のニューポークに着いた時みたいな雰囲気とBGM?あっちはちょっと不穏か。まああんな感じ。
・最後に海のトラウマが出なかった理由
水没死したと思ってた父が生きていたから、というかそれすら嘘だと自分の中で確信できたから。ということでいいんですよね?
わざわざ説明はなかったけど、トラウマすら消え去るほど価値観が変わったと捉えました。
・街の人たちの妙な決めポーズの理由
わざとらしくビールのラベルをまじまじと見せつけたあとにうまそうに飲む友人、いつも決まったチキン屋の看板前で話しかけてくる双子の老人、奥さんが欲しがる新しい芝刈り機やココアの説明、これら全ては番組スポンサーのCMだったことに二回目を観て気付きました。
他にも、家にある大量のサプリメントは、人工の太陽では摂取できない栄養をサプリによって補うようにトゥルーマンは知らず知らずのうちに教育されていたのかもしれませんね。こういうのは細かく観て行けばもっと色々ありそう。
・最後に
うーんなかなか!やっぱり前半ダレたのがもったいない。でもこういう話は大好きです。感想の最初にも書いた通り、全クリエイターはこういうの思いつきたいでしょ。
八日目の蝉が頭に残りすぎてて疲れていた頭にちょうどいいSF感と爽快さでした。
そしてこの作品は時代が変化しても古臭くなったり色褪せることはないだろうと思います。すごい名作。エンタメ作品の金字塔ですよ。おすすめ。
今日知ったけどこれから古参ヅラして、知らないの!?人生損してるよ!って言っていこうと思います。
ちなみに全くあらすじ知らないんですけど、”カメラを止めるな”ってタイトルからこの手の作品だと勝手に想像してました。気が向いたら見てみようかしらね。
二周しただけあって今までで一番上手にあらすじを書けた気がしますが、読み返したら長え。次の課題ですね。
次何観ようかな~