NOPE/ノープ
監督:ジョーダン・ピールさん
出演:ダニエル・カルーヤさん、他
行きなさいシンジくん!!
とても楽しみにしていたジョーダン・ピール監督の新作「NOPE」を観ました。めちゃくちゃおもしろかったし、興奮した!が、まじ変な映画だなぁー!と思いながら観てました。好き。
予告から「未知との遭遇」感が凄くて楽しみにしてたんですけど、確かにベースはスピルバーグ感がかなりありつつも、どっちかというと全体的に良い意味でシャマランっぽい?と観ながら思ったりした「NOPE」。未知との遭遇を経由して最終的に黒人による白人からの「映画史」の奪還、みたいなところに着地するまさかの後半とか、とにかく展開が怒涛でした。それがうまいか?と言われれば、間違いなく構成としていびつなわけですが、まぁでもそこも含めなんか謎のハンパないエモーションで押し切る力強さがあり、クライマックスは敵がモロにエヴァの使徒なこともあり、心はもうミサトさんで、「行きなさいシンジくん!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために!」という気持ちで観てましたし、だいたいこのマインドで見守るのが合ってた。
ザ・未知との遭遇な前半も不気味でおもしろかったんですが、この映画で1番不気味なのが、あのチンパンジーとジュピター幼少期の回想。あれはまじで怖かったし、ジョーダン・ピール映画の中でも屈指のシークエンスだったと思うくらい好き。あれだけで映画一本観たいくらいです。まじ怖いよあのシーンは。ただ、なんというか、めちゃくちゃシーンとしては好きだけど、物語の比喩的な補足説明でしかなくて、別に物語の中でめちゃくちゃ重要かと言われればそうでもないという、なんか全体的にそんな感じの映画で。ジュピターくんとか最後までなんか別にめちゃくちゃ必要なキャラだったか?と言われればそうでもない気もして。ともかく全体的に構成がいびつ!と思いなが観てました。
後半の怪獣をカメラに収めてバズらせるぞ!な大撮影作戦の展開も諸々の比喩が直喩すぎて全体的にギャグスレスレの絶妙なバランスになってて、この比喩が直喩すぎる感じがシャマランっぽいと感じた原因かなと思ったりもしました。映画全体のテーマは序盤にエメラルドが撮影所でスピーチする「映画史と黒人の関係」そのものの再現なわけだけど、それをこの題材で、しかもこのタイミングで強引にぶち込む?笑 っていうその強引さがこの映画のなんか憎めないキュートなところだなと思うわけです。
ともかく諸々気になるところはありつつあの撮影作戦クライマックスはブチ上がったので私は全体的にいびつだけど好き!って感じでした。
非常に無邪気で、かつキュートな映画だと思います。めちゃくちゃだけど、好きです。