最後の決闘裁判
「記憶」という都合の良いもの
監督:リドリー・スコットさん
出演:ジョディ・カマーさん、他
リドリー・スコットの新作、「最後の決闘裁判」を観てきました。すごい映画でした……!!
映画自体の話の前に余談なんですが、基本的に私映画館で映画を見る時は席を真ん中ではなく、端にとるんですよね(壁寄り)。好みの問題ですが。で、いつも行ってる映画館で軽く時間。今回も端に(壁横)に席をとって座り、前を見ると、壁についてるスピーカーがスクリーンに被っとるやないかーい(笑)
上が幕間の宣伝時に真正面を向いてとった写真。こっから暗くなりスクリーンの光度が上がるとますます気になり……。幸いかなり空いていたのでひとつ隣に移動して映画を鑑賞しました。設計時に誰も気づかなかったのか(笑)何年も通ってるいつもお世話になってる映画館なので…やや複雑な気持ちになりつつ(一応Twitterで映画館の公式アカウントに連絡済み)。でもこの形のスピーカーを壁に寄せることができるのだろうか…。これまでまったくクレームがなかったのかな…(笑)
ま、そんな事件がありつつ席を移動して快適に鑑賞。いや〜それにしてもすごい映画でしたし、また後だった疲れがきて心底キツい気持ちになりましたが、ちゃんとおもしろかった!これが偉い。
羅生門方式!なんて言われてますが、こんだけ映画観てて「羅生門」を観てないなんて恥ずかしくて言えない!!(笑)ま、そんなわけで今作がおもしろかったのは同じシチュエーションでもそれぞれで回想が違うところですよね。これほんとに良く出来てるというか、記憶というのはやっぱりそれぞれの主観が入ってこその記憶だよなと、改めて思わされました。「自分の都合の良いように」とは良く言いますけど今回ほどそれを見事に可視化し映画化してる映画もないよなと思いました。細かい些細なやりとり、事件の前からすでに記憶がそれぞれで違う。受け取り方、受け取られ方が違う。最後に「真実」が浮かび上がる第3幕でそれがゴリっと露わになる構造も含め、ともかくすごい映画だったし、なによりうまいし、おもしろい。心底嫌な気持ちになり、また後は死ぬほど疲れたんだけど、だがしかしこの題材を扱いつつ、ちゃんとエンターテイメントとしておもしろいというのが本当に素晴らしいことだと思います。何気ない描写もとにかく絵力がハンパないんですよね〜。さすがっす。
ジョディ・カマーははじめてちゃんと観たんですが、素晴らしい女優さんだなと思いました。ベンアフはクソみてぇなやつを演じさせればさすがだし、マット・デイモンの脳筋っぷりも、アダム・ドライバーのゴミっぷりも、とにかく役者が凄かった。
男たちの誇りをかけた戦いというものがいかにしょうもないものか、その誇りのために何人の人間が犠牲になってきたのか。負けたら妻が裸にされ縛られ火炙りになるのに裁判で妻が知るってとことか印象的。というか裁判シーンが1番キツいまである。ラスト周辺の夫が勝ってのあの表情とかも。1番最後がまだ希望めいたなにか…か。
てなわけで、ものすごい見応えの一本でした。素晴らしかったです!