劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
手で書いて伝える
監督:石立太一さん
出演:石川由依さん、他
京都アニメーション作品はだいたい観てるんだけど、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」はタイミングが悪く未見のままだったので、前日にアニメ版などを一気見してお勉強し、「劇場版」を観に行ってきました。
京都アニメーションはこれまで楽しんできましたし、これからも楽しみたい。とにかくお金を落とすことが1番の応援だろうと思いまして、行ってまいりました。
とても感動しました〜!
アニメ版も初めて観たので、アニメ版も含めての感想になりますが、手紙の代筆と戦後のPTSDというこれまでになかったフレッシュな組み合わせが新鮮でした。
なにより手紙っていいなって、思ったんですよね。手で書いて何かを伝えるという「手紙」と、手で書いて何かを伝える「アニメーション」。手紙論にも見えるけど京都アニメーションとしてのアニメーション論にも見えるところがものすごくグッときて。ところどころちょっと涙止まらないところが何度もあったなぁ。
あと、手紙を代筆するという仕事をすることで、ヴァイオレットちゃんが人間味を獲得していくという過程もすごく好きで。誰かの気持ちを慮ることが、自分の気持ちを慮ることに繋がって、これってコミュニケーションの本質というかさ、他者を理解することで自分を理解する。ものすごく普遍的なコミュニケーション論だよなぁなどと思いました。後半なんかは、獲得した人間味がより繊細になっていくことでこれまで見えてなかったもの、気持ちが見えて来る。この辺はイ・チャンドンの「ポエトリー アグネスの詩」をちょっとだけ思い出したりもしました。
ぶっちゃけ今回のお話はほんとに大団円的にかな〜りウェットなところに着地します。結構近年まれに見るくらい「さぁ泣け」と言わんばかりにどストレートにウェット要素マックスなクライマックスなんですよね。しかし、それまでの丁寧な物語の積み上げや、私たちのたまりにたまったヴァイオレットちゃんへの応援の気持ち、幸せになってほしいという気持ち、そしてその場を盛りに盛り上げる京都アニメーションの超絶的な作画、そして素晴らしい声優の演技。これらが奇跡的なマジックを起こしてて、ちょっとウェットだなぁ〜というこちらの気持ちをねじ伏せてくるような力強いクライマックスにとても感動させられました。
あと個人的に今後すたれると言われている分野のものづくりを生業にしてるので、この作品における「手紙」の役割にはグッとこざるを得ず、でした。いつの時代も、誰かと誰かをつなぐ場に自分の作品があるといいなと、そんな祈りを込めながら見てました。確かに「電話」も便利だ、でも「手紙」だったからあのお孫さんはヴァイオレット・エヴァーガーデンにたどり着いたのではないか?と思うんですよね。いく年の月日を超えても、残るものって尊いなって、最後の切手の彼女にとてつもない希望を個人的にいただきました。素晴らしい作品だったと思います。